ARFIT港南台
-住み慣れたご自宅でいつまでも健康に生活できる老後をサポートする-

✓InBodyを活用する目的
● InBodyやその他測定結果を基に、オーダーメイド・フィットネスのプログラムを構築するため
● 提供する運動プログラムの効果を数値で確認するため

✓InBody770導入の決め手
● InBodyの測定データを使った研究を進めることができる点
● 測定精度の高さや、利用者の家族からの評判が良かった点

✓得られた効果
● 高齢者でも、身体機能の改善と併せて体成分の改善を確認できた
● 測定値の変化によってアドバイスがしやすく、利用者の納得感も高まりモチベーション維持にも繋がった

機種モデル:InBody770

ARFIT(アルフィット)は「オーダーメイド・フィットネス」という運動プログラムを中心とした機能訓練特化型デイサービスです。一般的にデイサービスと言えば、食事や入浴の介助およびレクリエーションを行ったりする施設が思い浮かびますが、ARFITでは筋力トレーニングを中心とした運動プログラムを行います。身体機能の維持・改善を主な目的とするため、入浴や食事介助は一切なく、利用者一人一人に合わせたオーダーメイドの運動プログラムを利用者へ提供しています。また、ARFITは「ライブケア」という新しい概念の介護予防サービスを提案しており、利用者が心地よく楽しみながら通える介護予防のフィットネスクラブとして、高齢者の健康で美しい人生をサポートしています。

2016年6月にARFIT本郷台がオープン、2022年2月に新しくARFIT港南台がオープンして以来、両施設の利用者は2022年7月現在で約250名、累計では400名以上となります。機能訓練に特化しているため、1回あたりの利用時間は3時間ほどで、利用者は要支援1~2または要介護1~2の方が多いです。利用者の平均年齢は80代の後期高齢者で、男女比率は男性4割、女性6割と、女性の割合が若干多いことも特徴です。


高齢者の健康二次被害予防支援が原点となったARFIT

▲ 竹内 洋司さん

ARFITを運営する株式会社インシークの代表取締役である竹内洋司さんは、元々介護事業と関わりがあったわけではありません。 商社の営業職として社会人生活を始めた竹内さんは、その後に経営コンサルティングや様々なベンチャー企業での新規プロジェクト立上げなどの経験を活かして、株式会社インシークを設立するに至ります。様々な事業分野の中から介護事業を選んだきっかけは、竹内さんが筑波大学発のベンチャー企業に勤めていた時の経験でした。当時、竹内さんの会社では、東日本大震災で被害を受けた福島県で、長きにわたる仮設住宅での避難生活を余儀なくされた方々の健康二次被害を解決するために、運動を中心とした健康増進事業に取り組むこととなりました。

竹内さん:
「津波や原発の問題で住み慣れない仮設住宅への移住を余儀なくされた方は、外に出て活動する体力や気力がなく、部屋に引きこもりがちになっていました。コロナが流行っている今のご時世でもそうですが、引きこもる生活が長くなると心身共に健康被害を受けてしまいます。私が当時携わっていた健康増進事業では、そのような健康被害を受けた多くの高齢者が住む仮設住宅エリアを訪問し、健康運動教室を開催するなど、被災した高齢者の方々の健康増進に取り組んでいました。この事業を実施した結果、教室に参加した方々の身体機能に加えて、心の健康状態も改善されたことが明らかになりました。そして私はこの事業の経験から、身体機能などをデータとして”見える化”することの重要性を学んだのです。それに加えて、何よりも参加した高齢者の方々が元気になって喜ぶ姿や、皆さまから感謝の言葉をたくさん頂くなど、その時の感動体験がARFITという高齢者の方々に向けた健康増進事業を始めることに大きく影響しています。」

竹内さんの経験はARFITの 「ライブケア」 という新しい概念にも明確に反映されています。

竹内さん:
「介護というと、一般的には寝たきりの方など、自立した生活が困難となってしまった方に向けたサービスという印象が強いと思います。実際に、身体機能が大きく低下してしまったご利用者様の多くは、どうしても受動的に介護サービスを利用するケースが多く見られます。ARFITの概念である “ライブケア(LIVECARE)” のLIVEは、住み慣れたご自宅でご家族の方と一緒に自分らしい生活を送るために、自分の意志で元気になることを意味し、CAREはそれをサポートするということを意味します。つまり、ご利用者様が介護予防という観点から、自分の意志で積極的に運動等に参加して、心身ともに元気になるためのサービスを提供するというのが “ライブケア”という概念なのです。」

ARFITのサービスが「介護」サービスではなく、一人で動くことができるうちに始める「介護予防」サービスであることは、利用者自身の意志でプログラムに参加することが重要だからなのかもしれません。


運動サポート 「オーダーメイド・フィットネス」 と栄養サポート 「ARFIT Deli(アルフィット・デリ)」

▲ ARFITのオーダーメイド・フィットネスは自宅でも気軽にできる自重型の筋力トレーニング

ARFITのオーダーメイド・フィットネスは6種目 の自重型の筋力トレーニングで構成されています。ARFITでは他の利用者との交流も重要視しているため、トレーニングは集団で行いますが、運動負荷を利用者の体力レベルに合わせて個別に設定するのが大きな特徴です。体力レベルは、身体機能レベルと体成分の2つの側面から評価します。身体機能レベルはTUG・5m歩行・開眼片足立ち・握力・椅子立ち座り・2ステップテストといった体力テストを行い、体成分はInBodyを活用して筋肉量や栄養状態等を測定します。そしてこれらのデータを基にARFIT独自のアルゴリズムから運動負荷を設定します。このように、同じ運動でも利用者に合わせて個別に運動強度が設定されており、適切な運動をより安全に提供できる仕組みが構築されているため、運動の成果にも繋がっています。

竹内さん:
「機能訓練特化型デイサービスのご利用者様は、脳梗塞や関節疾患など様々な疾患を抱えているため、一般的なマシーンでトレーニングを行うことが難しい場合があります。しかし、その人の身体機能に合わせた自重型の筋力トレーニングがメインのオーダーメイド・フィットネスであれば、無理なく効果的に筋肉を鍛えることができます。故に運動の成果が出やすくなるという点もオーダーメイド・フィットネスの強みです。またその成果を主観だけでなくInBodyや体力テストのデータで”見える化”する。更に成果とともに本質的な課題までしっかりと確認をする。特にこの2点がご利用者様やご家族の方に高い評価を受けています。」

ARFITは運動のみではなく栄養面でのサポートにも力を入れています。運動と栄養に関しては、利用者と家族からよく相談される内容でもあり、健康な生活を送るためにはどちらも欠かせないものです。
運動の場合は、InBody や体力テストの結果という客観的なデータを基に、どうすれば課題を改善できるかを聞かれることが多いです。漠然とした疑問ではなく、データを基に利用者が自分の体の困りごとを明確に把握できているのが 「データの見える化」 のメリットとも言えます。

▲ ARFITの栄養サポートの一つである 「ARFIT Deli (アルフィット・デリ)」

栄養面については、足りない栄養素をどのように補えばいいかが主な相談内容になります。InBodyの結果で出るタンパク質量・ミネラル量が標準に達していない場合、改善するにはどうしたら良いかも聞かれることが多いです。その際は栄養学的な面でのアドバイスをするだけに留まらず、栄養補充に必要なサプリメントの提案や 「ARFIT Deli(アルフィット・デリ)」 と名付けている、その日に摂取すべきタンパク質量などを考慮した管理栄養士監修の手作り日替わり弁当 をお渡しすることで、栄養面でのサポートも行っています。これらの栄養サポートは様々な学術研究の内容を参照しており、運動効果の最大化に繋がるように計画されています。
▲ 体の健康だけではなく心の健康もサポートしている

竹内さん:
「運動指導においては、どうすれば成果に結びつけることができるかを考え、安全で継続可能な運動ができるように取り組んでいます。また高齢者の方々の健康づくりにおいては、運動と栄養の両面からのアプローチに加え、他者との交流も重要なポイントになります。他者との交流は、精神的健康度の向上や認知症の症状抑制にも繋がるからです。そのため運動時には、単に身体機能の維持・改善を目指していくだけではなく、他のご利用者様や施設のスタッフと楽しく交流しながら行うことを常に意識しています。また、若い方のようにストイックに運動をするのではなく、現場のスタッフがご利用者様の目線でホスピタリティを持って運動サポートを行うことも重要視しています。」


InBodyを用いた体の 「見える化」 の重要性

▲ 筋肉量だけでなく体水分均衡も測定できるInBody770

ARFITは株式会社ファンケルと共同研究を行っています。この共同研究を進めるため、ファンケルが研究目的で購入したInBodyを本郷台で借りて使用したのが最初のInBody導入です。ARFIT本郷台で2018年から利用者の体成分測定を定期的に行い、運動プログラムの効果をInBody770で確認し続けてきた竹内さんは、ARFIT港南台をオープンする際に迷わずInBody770の導入を決めました。

竹内さん:
「港南台にもInBody770を導入しようと思った理由は大きく二つあります。まず、ファンケル様との共同研究を継続するため、港南台でも研究を実施できる環境を構築したかったというのが一つ目です。ただ、研究はあくまでも一つのきっかけにすぎません。最大の理由はInBody770の測定精度や品質はもちろん、ご利用者様やご家族様の反応などを含め、InBody770を活用することでご利用者様に提供できる付加価値が極めて高かったためです。 」

機能訓練を行うデイサービス施設は多々ありますが、利用者の体成分データを定期的に測定・収集し、そのデータを 「見える化」 して積極的に活用する施設は珍しいです。しかし、竹内さんは前職での健康増進事業から経験したデータの重要性と価値を考え、両施設ともにInBody770を活用することを決めました。

InBody測定は施設利用の初回日に測定し、その後は3ヶ月間隔で2回測定します。2回測定が終わった6ヶ月後以降も、通い続ける方には半年に1回の体力測定と一緒にInBodyを測定する仕組みになっています。この測定間隔は、高齢者に対して運動・栄養介入によって効果が表れるまで3~6ヶ月が必要という研究結果を基にしたものです。

利用者は送迎車で施設に到着した後、バイタル測定→InBody測定→体力測定の順で測定します。この結果から利用者の状態を把握し、オーダーメイド・フィットネスのプログラムを作成します。ARFITに通う利用者は歩行能力が低下している方が多いため、部位別筋肉量は利用者のデータを管理・説明する際に使用する評価シートに記載して、身体機能の変化と一緒に確認できるようにしています。その他には、体のバランスが崩れていないか、疾患によってむくみが生じる可能性も考慮して、細胞外水分比を筋肉量と併せてチェックします。

竹内さん:
「体成分が数値でわかることは、スタッフにとってご利用者様の身体状況や介入結果をデータとして客観的に把握できるというメリットがあります。しかしながら一方で、ご利用者様は数値に気を取られ過ぎてしまい、良い結果を出そうと無理してしまう可能性もあります。そのため、スタッフからご利用者様へ測定の結果をお伝えするときは、必ず改善成果と一緒に、今後の課題も伝えることを心掛けています。また高齢者の皆さまにとっては、筋肉量を増加させ続けることは困難です。つまり、筋肉量を落とさずに現状を維持することも大きな成果と言えます。このようなことも踏まえて成果を伝えることで、ご利用者様が無理なく効果的に運動を続けられるようにしています。もちろん、課題に対してはそれを改善できるよう、適宜運動プログラムを見直すことも大事にしています。」


高齢者でも体成分と身体機能の改善が可能

ARFITが提供するプログラムの有効性が、利用者の体成分及び身体機能の維持・改善として明確に現れています。特に高齢者においては体重の増減が重要なポイントの一つです。食欲が落ちて食事量が減ると筋肉量の減少はもちろん、体力と体重が低下することで身体活動量も減少してしまい、更に食欲が落ちるという悪循環に陥って、低栄養状態となる恐れがあるからです。
先に取り組みを始めたARFIT本郷台に通われる利用者の中には、高齢にもかかわらず体成分と身体機能が改善できた理想的なケースが確認されています。

➤ 施設利用が2年以上の77歳女性のケース
施設に通い始めた頃は低体重で筋肉量も少ないことが課題でしたが、運動を始めてから食欲も出てきて、2年間で体重も筋肉量も標準に入るまでに改善されました。特に目立つのは、筋肉量の増加と共に体水分均衡も改善されている点です。加齢に伴い高くなりやすい体水分均衡が低くなることは筋肉の質が改善されていることを意味し、トレーニングによってしっかりした筋肉が付けられたと解釈できます。


▲ InBody結果用紙の体成分履歴からも2年でプラスの変化を確認可能


▲ 評価シートの部位別筋肉量変化


▲ 評価シートの身体機能変化

こちらの利用者は体成分だけでなく身体機能も改善傾向を示していることから、運動の成果がよく現れています。ARFITではこのように利用者の状態をグラフでまとめた 「評価シート」 を作成し、利用者とご家族に見せながら今までの成果や今後の課題について報告をしています。「評価シート」 には部位別筋肉量の変化グラフと身体機能の変化グラフを一緒に載せており、2つを関連付けて確認することができます。他にもサルコペニアやフレイルの程度もチェックしており、高齢者が注意すべき現状も把握できます。これらのデータから、利用者は自分が感じた変化が客観的なデータで裏付けられるため、運動の効果に納得でき、モチベーションの向上に繋がります。


より多くの高齢者が自分らしく生活できるように

現在、ARFITには400人以上の後期高齢者のデータが蓄積されています。65歳から74歳までの前期高齢者のデータは様々なところで研究・活用されていますが、後期高齢者のデータはその数が少なく、有効活用もあまりされていないのが現状です。竹内さんはこの後期高齢者のデータを活用できる方法を模索しています。

竹内さん:
「今後はデジタル技術と弊社で蓄積しているデータを用いて、高齢者の測定データから今後の疾患や運動による効果を予測・モニタリングできるサービスを構築したいと考えています。そのようなサービスが構築できれば、弊社の運動プログラムや評価などのメソッドとともに他企業様へ導入して頂くことも可能となります。また、ご利用者様が施設に訪問して運動をするという現状のサービス形態だけではなく、例えば私たちが団地のような集合住宅に出張してARFITのサービスを提供するような仕組みを構築することも可能であると考えています。ARFITの様々な取り組みで、より多くの高齢者の皆さまが健康に且つ自分らしい生活を送っていただけるよう、今後も積極的に事業を拡大していきたいと思っています 。」