綾部市立病院
-糖尿病・肥満診療に不可欠なInBody-

✓InBodyを活用する目的
● 糖尿病患者さんをはじめ高度肥満・ネフローゼ症候群・心不全などの患者さんを測定するため
● 体重だけでなく筋肉量や体脂肪量が体のどこについているか確認するため

✓InBody770導入の決め手
● InBody は操作画面や印刷される結果用紙が圧倒的に分かりやすく、説明しやすかった点
● InBodyの測定結果は数字だけでなく棒グラフでも表示されるため、視覚的に理解しやすい点

✓得られた効果
● InBodyで筋肉量評価を行うことで、患者さんが運動をしたか、していないかを測定値の変化から把握できるようになった
● 細胞外水分比(ECW/TBW)を確認することで、筋肉量の増減が良い状態なのか悪い状態なのかを判断できるようになった
● 体の中身がどう変化しているかをInBodyで確認しながら治療を進めることで、間違った方向に進むリスクを回避できる

機種モデル:InBody770

京都府にある綾部市立病院は、患者に寄り添い地域に根ざした安心と信頼の医療を届けることを目指して1990年8月に開院しました。現代の大きな課題である生活習慣病や各種癌の予防・治療にも力を入れながら、病院開設以来24時間診療体制を維持し、地域に密着した医療を提供する総合病院として、綾部市をはじめとした周辺医療機関とも連携を強化しています。

内分泌・糖尿病内科 部長の大坂 貴史先生は、京都府立医科大学を卒業後京都府内の総合病院を経験し、2018年から綾部市立病院で勤務しています。大坂先生はXの 「筋肉博士」 というアカウントでも活動しており、「健康はぁ~筋肉ぅ~」 を合言葉に、糖尿病患者に限らず全ての方へ運動の大切さを伝えています。運動に関する書籍出版も多く、「Lumedia」 という医師主導のWebメディアも法人代表兼編集長として運営を行っています。綾部市立病院の糖尿病多職種チームである 「チームくろまめ」 のYouTubeチャンネルでは、誰でも気軽に行える運動が紹介されています。大坂先生は全国でも数少ない、糖尿病×運動を積極的に発信し続ける医師です。

▲ 大坂 貴史 先生

大坂先生:
「大坂家は明治維新の前よりずっと医者をしていたようです。先代は島根県に住んでいたようですが、幕末に蘭学を学ぶために大阪に出てきて、その時に名字を大坂(当時の大阪の旧名)にしたそうです。父親が医者として患者さんのために懸命に働く姿を見て、幼いながらもこういう職業に就きたいと思ったのを覚えています。私の父は消化器内科医ですが、息子の私にとっては今でいう “総合診療医” のように写っていて、私の医者に対するイメージも特殊な専門性を持つというよりは ”広く色んな疾患を診ることができる人” でした。そのため、医師を志し始めた当初は総合診療や集中治療などの分野を考えていたのですが、大学時代の実習で糖尿病が原因で脚を切断する患者さんと出会い、その病気の恐ろしさを痛感したこと、そしてちょうど同じ時期に友人が1型糖尿病を発症したことが糖尿病を強く意識するようになったきっかけだったと思います。」

以前から糖尿病における運動の重要性は言われていたものの、具体的な運動指導までできる医師はほとんどいません。大坂先生は2017年頃から運動に関する研究や講演活動を行っていましたが、当初はサルコペニアが医師にも全く知られておらず、筋肉の重要性も浸透していませんでした。

大坂先生:
「大学時代に研究テーマを探していたとき、たまたま先輩から体力医学会という学会が面白いと教えてもらいました。実際に参加してみて、今まで自分が知らなかった世界が広がっていると感じました。運動療法の重要性は以前から言われていましたが、糖尿病の世界ではまだまだ運動について知られていないことも多く、それを広く伝えていけたら凄く良いなと思いました。当時も今も、体力医学会に参加する糖尿病専門医は少ないと思いますが、ちょうど同じ時期にサルコペニアの概念も出てきて運動や筋肉の重要性がより強く説かれるようになってきたので、運動療法に関して極めたいと思ったことを覚えています。」

いざ運動のことを勉強しようにも、入門編のような書籍や論文はほとんどありません。見つけても専門的な内容が多く、患者や一般の方がそれを見て運動を始めてみようと思える内容とは言い難い状況でした。糖尿病専門医のための診療ガイドラインには、以前から運動に関する記載はあるものの内容は充実しておらず、このままでは糖尿病患者どころか一般に普及することさえも難しいと大坂先生は感じました。

大坂先生:
「筋肉量がインスリン抵抗性と関係することもあり、糖尿病分野で運動がもたらす効果は計り知れません。しかし、糖尿病専門医による運動指導には多くのメリットがある一方で、実際の現場で実施できる体制が整っていない現状があります。その要因として、運動療法では診療報酬が付かないことや薬剤の進歩などが挙げられますが、多くの医療従事者が 『運動は難しい』 と考えていることが大きな要因ではないかと考えています。

しかし、運動は難しいものではありません。一日の中で座っている時間を減らすことも運動ですし、移動に階段を使うことも運動です。運動を小難しく捉えてハードルが高くなってしまっている状態の人の殻を破り、運動は気軽に始められることを広めたいと思ったのが原点です。更に、糖尿病×運動の組み合わせとなると普及活動をしている人がおらず、自分が先駆者になろうと思いました。」


InBodyを用いた糖尿病診療

綾部市立病院では、2019年3月にInBody770+BSM170を導入しています。

▲ InBody770(中央)+BSM170(右)

大坂先生:
「以前勤めていた病院でもInBodyを使っていました。診療を行う上で必要不可欠な機器だったので、診療報酬が請求できることやそれによる収支計算、体成分管理の有用性を報告した多数の論文、臨床現場でどのように活用できる機器なのかを院内で繰り返し周知して、翌年にようやく購入することができました。」

現在InBodyは検査室に設置され、糖尿病患者をはじめ高度肥満・ネフローゼ症候群・心不全などの患者も測定しています。

大坂先生:
「体力医学会に初めて参加した当時は、BIA(生体電気インピーダンス分析法)を使って論文を書こうとすると様々な指摘を受けることがあり、BIAがDXA(二重エネルギーX線吸収測定法)よりも劣っているという考えが今よりも一層根強かったと思います。しかし、当時の京都府内ではDXAを導入しているところが大変少なく、たまたま勤務していた病院にInBodyがありました。骨格筋評価のためにいざ測定し始めてみると、患者さんの状態が結果にとても良く反映されていて、現状を理解することやこれからの運動指導を考えるためにとても役立つことが身に染みて分かりました。非常勤として勤務していた別の病院ではDXAを使っていましたが、InBody は操作画面や印刷される結果用紙が圧倒的に分かりやすく、患者さんにも説明し易かったです。測定自体も気軽に行えることから、これからBIAがどんどん主流になっていくのかなと思いました。」

▲ InBody測定の様子

綾部市立病院の全ての糖尿病患者に対して、年1回は必ずInBody測定を行っています。バースデー検査という制度を設けており、誕生日の前後でInBody・レントゲン・心電図・腹部エコー・ABI(血圧脈波測定)・血液検査(C-ペプチド・BNP等)を実施します。GLP-1受容体作動薬を用いて減量などを行っている患者は、導入初期には毎月の受診時にInBody測定を行い、状態が安定してからは2-3ヶ月毎の受診時にInBody測定+血液検査を行います。2025年の上半期は月に約100件測定していて、GLP-1受容体作動薬を使用する患者の増加に伴ってInBody測定の件数も増加しています。

大坂先生:
「測定結果を説明するときは、今回の数値だけでなく前回との比較を重視しており、まずは結果用紙下部の体成分履歴を見るようにしています。初回測定の人は、結果用紙上部の筋肉-脂肪(体重・筋肉量・体脂肪量)や肥満指標(BMI・体脂肪率)の棒グラフから一通り説明します。更に部位別筋肉量や部位別体脂肪量など、各部位の分布も確認してもらいます。患者さんには基本的に説明しませんが、糖尿病は浮腫を有することが多いので、全身・部位別の細胞外水分比(ECW/TBW)も確認するようにしています。2回目以降は前回の結果と比較しながら、血液検査・尿検査の結果も一緒に説明します。InBodyの測定結果を基に薬剤の投与量を決めたり、減量のペースが早すぎないか、筋肉量・体脂肪量が前回と比べてどう変化したかを確認したりします。」

測定結果は電子カルテ上のPDFを見せながら説明し、紙で欲しい方や特に良い測定結果だった場合は印刷してお渡しすることで特別感を演出するようにしています。

▲ 診療時に結果用紙を見せながら説明

大坂先生:
「InBody測定中に本体画面でリアルタイムに動く筋肉量などのバーを見て、患者さんは一喜一憂しています。患者さんは数値の僅かな変化にも敏感な方が多く、時には励まし、時には宥めながら患者さんのモチベーションを上げられるような説明を意識します。稀にInBody測定を拒む方もいますが、そういう方は食事や運動といった生活習慣から目を背けたくなっている場合が多いです。その場合は、せめて私のところに来たときは、糖尿病と向き合ってみませんかと提案しています。勿論強制はしませんが、この声掛けで前向きに糖尿病を捉えられるようになった方も多くいらっしゃり、自分の病気としっかり向き合ってもらうためにも、こういうときはハッキリとお伝えする事は大切であると考えています。」

食事は食べたものを全て書き出せば定量化することは可能ですが、運動を評価する指標やツールは歩数くらいで、レジスタンストレーニングなどの運動は実施した量を定量的に評価することは難しいです。活動量計を使えば心拍数が分かるので行った運動の強度はある程度分かりますが、実施した運動内容までは含まれず、全ての筋活動をモニターする機器は現時点ではありません。ただ、InBodyを含むBIA機器を用いて筋肉量評価を行うことで、運動をしたか、していないかを測定値の変化からはっきり分かります。

大坂先生:
「ある患者さんは毎日ジムに通って泳いでいると話してくれましたが、InBodyの測定結果を見ると何故か筋肉量が減少していました。『どうして毎日ジムに通っているこの方が?』 と思ってよくよく聞いてみると、ジムに行って1時間泳いで筋トレもするけれど、家に帰ると1日中横になって生活を送っていることが分かりました。ジムで運動はしているものの、1日の総活動量はとても少ない方であることにInBodyの測定結果から気付くことができました。また、InBodyの測定結果は数字だけでなく棒グラフでも表示されることで、患者さんも簡単に自分の筋肉量の過不足に気付ける点も良いと思います。研究などを行っていると数字だけあれば十分ですが、患者さんは数字よりも棒グラフの方が視覚的に理解できるので、どちらにも対応できるInBodyの結果用紙のデザインはとても気に入っています。」


糖尿病・肥満におけるInBody結果見方のポイント

糖尿病という疾患の特徴として血糖値が高いことが挙げられますが、血糖値が高い状態は筋肉が分解されやすく、合成も上手くいっていない状態、つまり筋肉が減ってしまいやすい状態とも言えます。そのため、血糖値をしっかりコントロールすることで筋肉量が維持されやすい状態になります。

大坂先生:
「糖尿病患者さんが体重を20kg減量しても、その間の血糖コントロールが良好だと筋肉量が綺麗に維持されやすい傾向があります。一般の方がダイエットで20kg減量した場合、筋肉量を維持するためにはレジスタンストレーニングをかなり頑張る必要がありますが、糖尿病患者さんはそこまでレジスタンストレーニングを頑張らなくても有酸素運動メインで筋肉量を維持、場合によっては増加する例もありました。食事・運動・薬剤など色々組み合わせて血糖値を下げる治療をしていきますが、この血糖管理が筋肉量の維持・増加のための重要なポイントになっていると思います。」

糖尿病は浮腫を有することが多い疾患なので、筋肉量を解釈するときに注意が必要です。筋肉は主に体水分とタンパク質で構成されているので、浮腫と筋肉量の増減はリンクしてきます。筋肉量が増減したとき、それが良い変化なのかどうかは細胞外水分比(ECW/TBW)を一緒に確認する必要があります。ECW/TBWとは、TBW(体水分量)に占めるECW(細胞外水分量)の割合を示す項目です。人体におけるTBWに対する標準的なECWの割合は38%前後とされていることから、ECW/TBWの標準値は0.380です。しかし、糖尿病などにより浮腫が生じた場合は、余分な水分が主にECWへ蓄積するためにECW/TBWが上昇します。また、加齢や低栄養によって筋肉量が減少してきた場合もECW/TBWが上昇することに注意が必要です。これはICW(細胞内水分量)が減少することで、相対的にECWの割合が増えていることを意味します。

ECW/TBWについて、詳しくはトピック「体水分均衡の特徴と重要性」もご覧ください。

大坂先生:
「浮腫が改善して筋肉量が減少した場合、ECW/TBWが減少していることも確認した上で、 ”筋肉量が減っているのは浮腫が改善している傾向で、必要な筋肉量は減少していないよ” といったように改善傾向であることを患者さんに説明します。しかし、浮腫によって筋肉量が増加している傾向がある場合は、そこまで細かく説明せずに、自分の中でそのデータを参考にしています。患者さんはネガティブなことに敏感な方もいらっしゃるので、医師から伝えることは取捨選択する必要があります。

ECW/TBWと筋肉量の増減は概ねリンクしますが、その内訳として 『良い筋肉はどれくらい増えたのか? 悪い筋肉(浮腫)はどれくらい減ったのか?』 を判断することは難しいです。この場合は、水分情報をもう少し細かく見て、細胞内水分(ICW)・細胞外水分(ECW)がそれぞれどれくらい増減しているかも確認が必要です。それらのトレンドと体脂肪量の変化なども併せて判断するようにしています。筋肉や水分の増減の解釈はすぐには難しいですが、体脂肪量が1kg減少したときは、その分は確実に体脂肪が減少した結果だと言えますね。」

▲ BMI40超の高度肥満患者の測定結果

大坂先生:
「BMI40超の高度肥満の方で、腹膜透析を受けながらマンジャロを注射して減量中の方がいました。腎機能が低下して以前よりむくむようになってきた結果、減量中にも関わらず体重が6kg増加しました。ECW/TBWも大きく増加している状態で、改善か悪化かの判断が難しい例でした。このとき、マンジャロの効果は体脂肪量で確認する一方で、浮腫の影響は体水分やECW/TBWを見て確認します。ただ体重が6kg増えているということだけを鵜呑みにするのではなく、その内訳を確認するためにInBodyの測定結果を深堀りして、減量と浮腫のそれぞれの側面から評価する必要がある例でした。」


一体感を高める 「チームくろまめ」

▲ 月1回院内で開催されている糖尿病教室の様子

綾部市立病院では、糖尿病患者に関わる多職種チーム 「チームくろまめ」 が活動しています。元々、院内には糖尿病に関して多職種で話し合う糖尿病管理運営委員会がありましたが、大坂先生が赴任して、チーム名やチームロゴなどを制作して一体感を高めようと思ったのがチームくろまめの始まりです。チーム名、チームロゴ共にチーム内で公募し話し合って決めました。チームロゴは当時在籍していた管理栄養士の方のデザインが採用されました。

大坂先生:
「糖尿病は多職種で関わっていくべき疾患であるとずっと思っているので、赴任して間もない2018年の秋頃に 『チームくろまめ』 を結成しました。チームには医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・事務(広報)が所属しています。コロナが流行する前は院内外で運動教室や糖尿病教室を開催したり、毎年11/14の世界糖尿病デーでイベントを行ったり、糖尿病以外の疾患で入院された患者さんの糖尿病予防支援も行っていました。最初は、患者さん一人ずつに運動指導の時間を割くのは難しいことが悩みでした。そこで外来では周知だけ行い、患者さんを集めて運動教室をやろうという流れになりました。運動教室は私の患者さんに限らず、どなたでも参加していただけます。」

コロナが流行し始めてからそれ以前の活動と同じことができなくなり、代わりに2020年5月頃からくろまめチャンネルというYouTubeチャンネルを運営し始めました。院内でアイデアを出し合った結果、運動指導用の動画をアップロードして、そのリンクを診療時に二次元コードでお渡しするようになりました。

くろまめチャンネル

大坂先生:
「YouTubeでは、作成した動画をアップするだけでなく、運動指導のライブ配信もできるので一石二鳥だと思いました。動画では私を含めて複数人が出演して、強度の異なる運動を同時に紹介していますので、ご自身の体力に合わせて運動を行うことができます。例えばダンベルやバーベルを使った筋トレなら重さを変えれば強度が変わりますが、自重運動だと動き方自体を変えないといけないので、そこを意識して動画を作成しています。私たちも日々どうすれば運動負荷を調整できるのか、色々な動きを自分たちでも試しながら考えています。ご自身で工夫できる部分もありますが、是非動画を見て参考にしていただきたいと思います。

私のXアカウントは元々くろまめチャンネルを宣伝するために立ち上げたものです。コロナ患者の診療を行う中で、医療現場での実際の様子やワクチンのことなどをツイートして、バズる度にくろまめチャンネルの宣伝をしていました。当時ステイホームが言われていて、運動不足にならないように家の中で運動しましょうという流れも相まって、くろまめチャンネルの登録者数・再生回数も私のXアカウントのフォロワーもどんどん伸びていきました。現在も診療時にYouTubeの運動動画を紹介しています。チャンネルを分析すると他県の方が見ていたり、最近は海外からも視聴されていて、今でも毎月1,000人くらいチャンネル登録者数が増えています。」


チームで活用されるInBodyの測定結果

理学療法士の岡田 貴文さんは糖尿病療養指導士でもあります。InBodyの測定結果をよく理解している方の一人です。

▲ 岡田 貴文 さん

岡田さん:
「大坂先生が赴任されて2年目くらいに、筋トレとか興味あるよね? と声をかけていただき、一緒に取り組むようになりました。InBodyの測定結果では部位別に筋肉量や体脂肪量が確認できるので、教育入院などで体幹や脚の筋肉量が少ないという説明がしやすくなりました。患者さんも定期的に測定してモチベーションの維持に繋げられていると思います。ECW/TBWがあるおかげで、むくんで筋肉量が多く測定されている患者さんに対して、これは浮腫の影響で実際の筋肉量は少ないかもしれないですよと伝えることができています。

家庭用の体組成計にも乗ったことがない人たちが多いので、『私の体ってこんな感じなんだ』 と知るだけでモチベーションが上がる人も多いです。運動を続けて筋肉量が増えたと聞くと、InBodyで測定していて良かったなと思います。InBodyがあると患者さんだけではなく看護師さんへの説明もしやすく、筋肉量などの結果を基に運動指導の内容を伝えることで、看護師さんもそれに倣って患者さんに運動を勧めてくれます。」

▲ 糖尿病教室内での運動指導の様子

外来で大坂先生が診療する前には管理栄養士の栄養指導と、必要に応じて看護師の療養指導が30分/枠で行われます。それぞれ1日に10-12枠あり、多くの患者に食事や運動指導ができる環境が整っています。管理栄養士の古賀 一紗さんは糖尿病や高度肥満の方の栄養指導を担当しています。

▲ 古賀 一紗 さん

古賀さん:
「患者さんから普段の食生活を聞き取り、先生の治療方針や血液検査のデータを見て血糖値が上がっていた場合には、改善点を患者さんと話し合い、次の目標を立てます。InBodyを継続して測定することで結果が目に見えて分かりますし、体重だけでなく筋肉量や体脂肪量が体のどこについているかも分かります。とても結果が良かった患者さんは反応が良くて、次回以降のモチベーションに繋がっていると思います。

最近は高度肥満の患者さんも栄養指導させていただくことが増えています。減量して体の中身を見ると筋肉量が減ってしまっていることが多いのですが、食事と運動の両方を頑張って筋肉量を維持しつつ減量できた患者さんがいました。糖尿病透析予防指導の対象患者さんに対しては看護師さんと協力して取り組んでいます。レジスタンス運動の紹介は看護師さんから、食事管理については私たちからお伝えして、一緒に栄養指導をすることもあります。」

▲ 栄養指導の様子


終わりに

大坂先生:
「InBodyの測定結果を用いて、患者さんに上手く説明できる糖尿病専門医がまだまだ少ないと思うので、InBodyの勉強会を開くなど啓発していきたいと考えています。最近は糖尿病のことではなく運動のことを人前で話す機会も増えていて、もっと筋肉に興味を持ってもらえるよう、糖尿病×筋肉について更に推し進めていきたいです。筋肉量を確認することは、私にとっては当たり前ですが、糖尿病分野では薬剤や栄養ほど十分に浸透していません。最近はGLP-1受容体作動薬の活用によって肥満治療も進んできていますが、体の中身がどう変化して減量しているのか、InBodyで確認しながら治療を進めないと間違った方向に進む恐れもあります。もちろん従来の検査指標や問診・触診なども併せて複合的な評価が必要です。その評価やアドバイスの結果、少しでも運動を始めるきっかけになってくれれば良いなと願っています。そして折角なので、くろまめチャンネルの登録者数を10万人目指したいです。」