知っておきたい、早食いが『全身の不調』に繋がる理由
「忙しくて急いで食事する」「気づいたら10分で完食している」そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。しかし、早食いは単なる “習慣” ではなく、体にも心にも様々な悪影響を及ぼします。例えば、胃腸障害・肥満リスクだけでなく、生活習慣病や虫歯・歯周病のリスクを高めることも明らかになっています。今回は、早食いがもたらすリスクと、その改善のための具体策を解説します。
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早食いってどういう状態?
その名の通り、通常よりも短い時間で食事をすることを「早食い」と呼びます。明確な定義はまだ存在していませんが、定食を基準におおよそ10分以内に完食するくらいのスピードや、咀嚼回数が少ないことが特徴です。
早食いは、食環境や心身の状態など、様々な要因が複雑に重なって習慣化してしまいます。
■幼少期からの食習慣
食習慣の大部分が形成される幼少期にどのような環境で食事をしていたかは、大人になってからの食習慣にも影響を及ぼします。幼少期に食事を急ぐ場面が多かったり、家族に早食いの傾向があったりすると、「食事は急ぐもの」という価値観が知らず知らずのうちに定着してしまうことがあります。
■食事をする環境
そもそも忙しくて食事をゆっくり摂る時間がないという環境では、食べるスピードはどうしても早くなってしまいます。このような状況が続くことで、食事を早く食べる習慣が無意識に身につき、急ぐ必要のない場面でも早食いをしてしまう原因となります。
■口腔環境の悪化
早食いの人は、噛む回数が少ない特徴があります。噛む回数が少なくなる原因として、虫歯や噛み合わせの悪さなど、口腔環境が影響していることもあります。定期的に歯のコンディションを確認してみましょう。
早食いがもたらすリスク
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■肥満になりやすい
私たちの体には、食欲をコントロールする「レプチン」というホルモンが備わっています。食事を開始して20〜30分ほど経つと、レプチンが脳に満腹信号を伝えますが、早食いの場合はこの信号が届く前に食べすぎてしまうことが問題です。満腹を感じないまま食べ続けると、ホルモンの働きが鈍くなり、肥満や太りやすい体質を作る原因となります。
■消化不良や胃もたれを引き起こす
早食いすると噛む回数が少なくなり、消化しにくい状態のまま食べ物が胃に入ります。その結果、胃に負担がかかり、胃もたれを引き起こすことがあります。また、よく噛まないと消化を助ける役割を持つ唾液の分泌量も減るため、消化不良の原因にもなります。
■糖尿病のリスクを高める
食事をすると血糖値が上がり、それを下げるためのインスリンが膵臓から分泌されて血糖値がコントロールされます。しかし、早食いをすると血糖値が急上昇し、インスリンの分泌が追いつかない状態になり、血糖値が高い状態が続いてしまいます。さらに、インスリンを急いで大量に分泌することで膵臓に負担がかかるだけでなく、インスリンによって脂肪も大量に作られるため脂肪が蓄積されやすくなります。
■虫歯や歯周病になりやすい
唾液には細菌を洗い流す洗浄作用や抗菌作用があります。食べ物をよく噛むことで唾液の分泌が促されますが、早食いでは噛む回数が減り、唾液の分泌量も減ってしまいます。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。よく噛んで食事することは、口腔ケアにも繋がる大事なポイントです。
改善するためのポイント
理想的な食事時間は1食20~30分程度とされています。そのためには、噛む回数や食べ方を意識することが重要です。
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①意識的に噛む回数を増やす
一口あたり30回を目標に、意識的によく噛む習慣をつけることから始めましょう。慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、それが本来あるべき噛む回数です。味わいながら噛むことを意識して丁寧に食事をしましょう。また、よく噛むには歯ごたえのある食材を積極的に選ぶことが有効です。よく噛むことで満足度が上がり、食べすぎ防止や脳の活性化、表情筋のトレーニングなど、様々なメリットがあります。
②一口ごとに箸やフォーク、スプーンを置く
料理を口に入れ、噛んでいる間に次の一口を用意し、口の中が空になった瞬間にまた詰め込む、という食事スタイルになっていませんか? 一度食具を置くことで、矢継ぎ早に料理を口に入れてしまう環境を防ぎます。一口ずつ落ち着いて食事をすることで、普段よりも噛むことや味わうことに自然と集中できます。
③一口の量を減らす
口の中に余裕がなくなるほど詰め込んでしまうと、よく噛むことも難しくなります。箸やスプーンに乗せる一口の量を意識的に減らし、その一口を味わうように食べましょう。特に温かい料理は、冷めないうちに食べきりたいという焦りから早食いになりやすい傾向があります。そんな時も、食べるスピードは変えずに一口の量を減らすことで、噛む回数を相対的に増やせます。
④ ”ながら食べ” をしない
テレビやスマートフォンを見ながら食事をしていると、食事に集中できず知らぬ間に早食いになってしまいます。食事の時は、目の前にある料理に集中して向き合うことが大切です。一人ではどうしてもながら食べをしてしまうという場合、誰かと一緒に会話を楽しみながら食事をすることも解決策の一つです。料理に対して感想を伝え合いながら食事することで、心も豊かになります。
毎日のことだからこそ、丁寧に
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食事は、私たちが生きていくうえで欠かせないものです。食事はただ栄養素を体内に取り入れるだけでなく、口に料理を入れたその瞬間から私たちの健康状態に様々な影響を与えています。「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」も大事な視点です。1回1回の食事を体のメンテナンスと捉えて、自分のケアを楽しみながら続けていきましょう!!