フリーランス管理栄養士 上萩 環
-フリーランスでInBodyを使う理由-

✓InBodyを活用する目的
● 部活動やスポーツチームへの出張サポートで活用するため

✓InBody270導入の決め手
● 体成分を数値化することで指導の説得力が増し、講習等にも活かせる点
● ジュニア世代のサポートを行っている福岡県の株式会社New Supportさんの取材記事を読んでInBodyの良さを感じた点

✓得られた効果
● 集計した測定結果を監督やコーチにも伝えられるため、チーム全体の傾向把握や課題個所の洗い出しをすることができる
● 測定結果から選手のコンディションを確認でき、具体的なアドバイスを行うことができる
● 選手の体成分とパフォーマンスを明確に数字で伝えれるようになった

機種モデル:InBody270

上萩 環さんは フリーランスの管理栄養士です。専門学校の講師をしながら、ジュニア世代から大学の部活動やクラブチーム、社会人スポーツチームまで、幅広くアスリートの栄養サポートに携わっています。

小学生から高校生まで野球に取り組んでいた上萩さんは、高校生時代に身体を大きくしようと筋力トレーニングに励んでいましたが、なかなか身体が大きくならず3年夏には高校入学時よりも体重が減少してしまう苦い経験をします。その原因を考えた結果、食事を疎かにしていたことに気付きました。元々料理が好きだったこともあり、栄養に関する職種を調べた結果、管理栄養士に辿り着きました。当時はスポーツ栄養が注目され始めた頃だったので、スポーツ栄養士に興味を持つようになりました。神戸学院大学栄養学部を卒業後、給食受託会社に入社して調理や献立業務を経験した後、スポーツ栄養に携わりたい想いから、メディカルフィットネスのトレーナー兼管理栄養士として勤務します。トレーナー業務はそれまで未経験でしたが業務経験を積みながら、NESTA-PFT(パーソナルフィットネストレーナー)の資格も取得しました。

▲ 上萩 環さん

上萩さん:
「メディカルフィットネスに入職した当初は高齢者へのトレーニング指導が多かったのですが、自分から動いて取り組みたかったジュニア世代へのスポーツ栄養活動を少しずつ増やしていきました。トレーナーの資格は入職後に取得しましたが、アスリートに関わる栄養士はトレーニングの内容も理解した上で栄養サポートをした方が良いですし、トレーナーやコーチと連携が取りやすくなります。」

その後2020年に独立し、フリーランスでの活動を始めました。現在は専門学校の講師をしながら、空いている平日や土日に受け持っているチームへのInBody測定・食事チェック・個別面談・チーム講習会・講演活動など行っています。上萩さんはフリーランスになって、一から自分で営業をかけ、近隣の学校や知り合いのつてを辿り、サポート先を一つずつ増やしていきました。現在、定期的に出張サポートしているチームは10チームにまで増えました。


珍しいフリーランス栄養士のInBody購入

上萩さん:
「勤務していたメディカルフィットネスにはInBodyではない体組成計があって、それを活用していました。その頃から体成分を数値化することで指導の説得力が増す、講習に活かせるメリットは十分感じていたので、将来的には自分でも体組成計を持ちたいと考えていました。自分の身体の中身を理解することは健康やパフォーマンスの面でとても大切です。インボディさんの公式Xからお声がけいただけたことや、InBodyを使って同じようにジュニア世代のサポートを行っている福岡県の株式会社New Supportさんの取材記事を読んでInBodyの良さを感じ、導入することを決めました。自分でもInBodyについて調べてみて、アスリートを測定する目的では、統計補正を行っていないInBodyが適していると思ったことも理由の一つです。」

※統計補正について、詳しくはトピック「今さら聞けない、体組成計のあれこれ -測定値の理解を深めるためのQ&A-」をご覧ください。

ちょうど補助金申請のタイミングだったこともあり、2023年1月にInBody270の導入に至りました。InBody270は約14kgと、立位で測定する業務用InBodyの中で最も軽く、車などで持ち運ぶことも可能です。フリーランスの管理栄養士でInBodyを持ち運びながら出張サポートを行っているという方は、全国で探してもなかなか見つかりません。

▲ InBody270を出張サポート先に持ち込み

上萩さん:
「InBody導入前は体重計なども使用しておらず、講習や個人面談を行う中で自分ができるサポートの限界を感じていました。定期的に測定を行って身体の変化を数値化することで、講習やアドバイスの内容に説得力が増すだけでなく、数値で示すことで選手の意識付けにも活用できると考えました。

メンタルが弱いとフィジカルがどれだけ強くても結果が出にくいため、メンタルの強化も重要です。同様に食事やトレーニングもメンタルに大きく影響すると思っていて、食事やトレーニングを頑張ることで、自己肯定感を高める効果も期待できます。InBodyは、数値を確認できるという点でメンタルにも良い影響を与えていると思っています。測定した数値を見ることで意識は自然と高くなり、InBody点数を上げたいなど、数値を良くしたいという気持ちが強くなることで行動変容に繋がります。選手は結果用紙を自己管理していますが、きっちり管理している選手は食事についても意識が高く、行動に結びついているイメージがあります。」


スポーツ栄養の講習、部活動へのサポート

▲ 選手向け講習会の様子

上萩さんは現在10チームのサポートを受け持っており、各チームはそれぞれ1.5~3ヶ月のスパンで定期的にInBody測定を行っています。InBody測定に関する費用は年間のサポート契約に含まれることもあれば、定期的に単発の測定会として依頼されることもあります。上萩さんは単発の測定会の場合、【1,500円/人+出張料、20名以上/回(20名未満は要相談)】で受け付けており、InBody測定と測定結果のフィードバック・講習会が料金に含まれます。

上萩さん:
「私のようにスポーツチームをサポートしている管理栄養士やトレーナーの方はたくさんいらっしゃると思いますが、選手の強化に十分なお金を使えないチームをなんとかサポートしてあげようと、安い金額や場合によっては無償でサポートを引き受ける方も少なからずいらっしゃると思います。スポーツ栄養の仕事を今後確立していくためには、対価をいただいて取り組んでいく必要があると感じています。 “上手くなりたい、強くなりたい” と思って、費用を払って測定会を申し込んでくれるチーム・選手は講習を真剣に聞いてくれますし、その後の食事管理などにも意欲的に取り組んでくれていると感じます。私自身も、無償で行うよりもお金をいただいてサポートすることで対価をいただいている分、スポーツ栄養士としてしっかりサポートしなければならないと身が引き締まる思いです。」

出張サポートは ①InBody測定 ②前回の測定データと比較 ③個人面談もしくは全体への講習 の流れで行われます。個人面談では目標値に対してどこまで近づいているかの確認と、最近の食事内容などを聞き取ります。全体への講習として、測定結果をその場で集計してチーム全体にフィードバックします。フィードバックを行うときは選手の自己肯定感を上げるためにも、上萩さんは基本的に褒めることを意識しています。集計した測定結果は監督やコーチにも伝えられるため、チーム全体の傾向把握や課題箇所の洗い出しとしても役立ててもらえます。

▲ 測定結果を集計している時の様子

上萩さん:
「測定結果はその場で集計して、InBody点数・筋肉量・体脂肪量など、チーム全体で前回からどれくらい数値が変化しているか、学年別やポジション別など様々な角度から伝えます。野球はチームスポーツなので、フィジカルが秀でた選手が一人いるだけでは勝つことができません。チーム全体で底上げすることが大切だと思うので、チーム全体の現状を伝えています。ただフィードバックするだけではつまらないと思われかねないので、チームと個人の結果を絡めながら、自分の身体には想像以上のポテンシャルが秘められているんだということが伝わるように意識しています。それに気付かせるためには、やはりInBodyで測定された数値のように、自分の身体を可視化して意識させる必要があると思います。」

上萩さんは測定結果の話をするとき、選手に ”他の人と比べない” ことを必ず伝えています。InBody点数は他人の測定結果と比較するための良い指標にはなりますが、あくまで体成分を向上させることは自分自身との闘いです。過去の自分と比べて数値の変化がどうだったのか確認することで、自身の成長に繋がります。そのためには、誰かの真似ばかりではなく、自分に見合った食事やトレーニング内容を模索する必要があります。

上萩さん:
「選手の主観・感覚をよくヒアリングして、その時点の体成分と照らし合わせてみるようにしています。どれだけInBody点数が良くても本人のプレーしている感覚がイマイチなのであれば意味がありません。逆に体脂肪率が少し高くても、本人が調子良いと感じているならば無理に体脂肪率を減らす必要もないと考えています。サッカー選手だと競技特性上、体脂肪率が下がっていく子が多いので、逆に体重・体脂肪率の適正値を維持するような指導が多いです。成長期のアスリートでは、体脂肪率は男子で10%未満、女子で18%未満にはしないような指導を心掛けています。成長のために必要不可欠な体脂肪まで減らしてしまっている状態は避けるべきです。他にも、女性アスリートの三主徴の話もします。また、成長期の女性アスリートは本人の自覚がなくても、貧血を起こしていることがとても多いです。女性アスリートの三主徴が発生しないように体成分を適切に管理する必要があります。」

女性アスリートの三主徴について、詳しくはトピック「女性アスリートが陥りやすい体の不調と対処法」をご覧ください。

▲ InBody体脂肪率の標準範囲(男性10~20%、女性18~28%)を下回らないように指導

選手には、結果用紙を持ち帰って親御さんにも見せるように伝えます。家庭での食事は親御さんの協力が必要不可欠なので、選手自身だけでなく親御さんにも普段の食事が足りているのかどうか確認してほしいためです。定期的にサポートしているチームでは、なるべく年1回親御さんにも参加してもらう講習会も行います。そこでは、どれくらいの量の食事を用意してほしいか、意識してほしい栄養バランスだけでなく、親御さんの負担にならないようなお手軽レシピなども伝えています。身体を大きくするためには炭水化物をたくさん摂ることが大切で、例えば高校野球では多い選手で1日に白米を4~5合食べる必要があります。場合によっては選手専用の5合炊きの炊飯器を買ってもらうこともあります。


サポートで変わる選手の意識

▲ 打球速度の計測風景

定期的に出張サポートしているチームの一つである大阪府立佐野高校では、年4回InBody測定を行っています。佐野高校ではInBodyの結果と併せて、別でチームで測定している打球速度・飛距離の計測データを確認しています。

上萩さん:
「佐野高校をサポートしているトレーナーと知り合いだった縁からサポートを始めました。最終的な目標として、体成分の向上がパフォーマンスにも結び付く必要があります。佐野高校には打球速度などを測定する機材があるので、体成分とパフォーマンスの関係を確認することができます。これまで見ていて、やはり筋肉量と打球速度には関連があるなと感じています。」

2グループに分かれてInBody測定と打球速度計測を交互に行った後、全体講習を行います。今回の内容は ①InBody測定結果から自分に必要なエネルギー摂取量を計算する ②試合前~試合後までの食事の摂り方 ③休養の取り方 についてでした。監督からは身体がしっかりしてきている、打球速度が速くなっているなど、チーム全体でパフォーマンスが向上しているといった感想がありました。

▲ InBody測定結果を基に必要なエネルギー摂取量を自分で計算

実際にサポートを受けている選手にも話を聞きました。

選手A:
「上萩さんには2023年5月からサポートに来ていただいています。監督にも以前から言われていたことですが、上萩さんより体成分とパフォーマンスの関係を教わって、チーム全員の意識が大きく変わってきました。毎日の食事や体重計測などを意識して、チーム全体で冬の間に体重をしっかり増量しようと目標を立てて頑張ってきました。特に朝ご飯を食べない選手が多く、今までは自分も朝ご飯はパンでさっと済ませていましたが、意識し始めてからは白ご飯に変えて朝からしっかり食べるようにしています。筋肉量が増えたときは、パフォーマンス面としての打球速度も上がり、ちゃんと数字に表れていたことは嬉しかったです。今回は直前に体調を崩してしまって思うような結果が出なかったのですが、ここからまた最後の夏に向けて練習も食事も頑張りたいと思います。」

▲ 選手Aの測定結果と体成分履歴

選手B:
「上萩さんから、空腹状態で練習すると筋肉が分解されてしまうので絶対にやってはいけないと教わりました。以前は空腹状態で練習していた選手もいましたが、それを聞いてからは必ず食事を摂り、空腹ではない状態で練習に取り組むようにしています。また練習の合間にはマネージャーが一口サイズのおにぎりや1日練習のときは卵かけご飯などを用意してくれるので、それを補食として摂っています。そうやってサポートしてくれるのはとてもありがたいです。」


終わりに

上萩さん:
「今、同じようにスポーツ選手の指導などを行われている方がいらっしゃいましたら、是非InBodyを活用してほしいと思います。InBodyを導入する前後で選手の反応が大きく変わりましたし、指導の質も間違いなく高まるので、栄養指導とInBody測定は必ずセットで行った方が良いと実感しています。」

現在、上萩さんはジュニア世代の栄養サポートに取り組んでいますが、今後は地域全体の栄養サポートにも取り組んでいきたいと考えています。

上萩さん:
「私の地元である滋賀県内の地域で活動しているスポーツチームを集めて一般の方も参加可能なInBody測定会を2024年2月に開催しました。こういった活動を継続して、参加してくださった各チームや一般の方に対して、将来的に『InBodyを定期的に測定すること』 を根付かせていきたいと考えています。健康のために年1回で良いので、自分の身体を数値化して確認してほしいです。私が定期的に測定会を開催することによって、地域全体でInBody測定を行うことが当たり前になり、その地域の健康度が上がったりすると嬉しいなと思います。」

上萩 環さんは関西を中心にご活躍されています。本記事内容に関心をお持ちいただいた方や、出張サポートをご希望される場合は、下記メールアドレスもしくは冒頭にあるInstagramアカウントよりご連絡ください。

メールアドレス: tamasanda123@gmail.com