学校法人 春日学園
-体成分から考える幼児期の発達-

✓InBodyを活用する目的
● 子どもたちの成長を体成分からモニタリングするため
● 収集した測定データを園でのより良いプログラムに活かすため

✓InBody270導入の決め手
● 多くの研究で目にしており、認知度と信頼性が高い製品である点
● 小児でも安全に正しく測定ができる点

✓得られた効果
● 測定データを分析することで、日々のプログラム内容をブラッシュアップでき、子どもたちのより良い成長に繋がっている
● 身長や体重だけでは把握しきれない子どもたちの発育をデータで客観的に追えるため、食事や運動など、包括的な面からアプローチできる

機種モデル:InBody270

岐阜県にある学校法人 春日学園は、幼稚園や子ども園を複数運営する幼児教育を中心とした教育法人です。1957年に幼稚園としてスタートし、現在は岐阜市や山県市を中心に 「はなぞの幼稚園」「はなぞの北幼稚園」「OHANAのりたけ子ども園」 などの施設を展開しています。春日学園では子ども一人ひとりの個性を大切にしながら、心・体・知能・社会性のバランスが取れた成長を重視し、教育・保育を実践しています。長年にわたり地域に根ざした教育活動を続け、子どもたちが安心してのびのびと成長できる環境づくりに取り組んでいます。

春日学園の三代目理事長を務める春日 晃章先生は、金沢大学教育学部を卒業後、同大学大学院にて修士課程を修了し、その後岐阜大学医学部にて博士(医学)の学位を取得しました。現在は岐阜大学教育学部教授として教育学の研究・教育に携わるとともに、春日学園理事長として学園全体の運営を担っています。

▲ 春日 晃章 先生

春日先生:
「もともとスポーツが好きで、子ども時代は目いっぱい体を動かして過ごしてきました。また、代々幼児教育に携わる家庭で育ったことから、自然と教育の道を志しました。その延長で体育教師を志し、大学では小・中・高の教員免許を取得しました。大学時代、子どものトレーニング効果を測定・評価し、それを実生活にフィードバックする研究に出会ったことが大きな転機となりました。現在は、研究で得られた科学的根拠を子どもたちの健やかな成長に活かすことをライフワークとしています。」


InBodyで子どもたちの成長をモニタリング

春日学園の大きな特徴の一つは、研究の知見と幼児教育の現場が密接に繋がっている点にあります。春日学園の教育・保育では、専門的な理論と長年の実践経験を融合させた、根拠のあるアプローチが重要視されています。

春日先生:
「かつては、”全ての幼児は戸外で元気に遊び、自然と健康に育つもの” という考え方が一般的で、幼児の体力や健康状態が課題として捉えられることはほとんどありませんでした。しかし、私が幼児を対象とした研究を始めた頃から、体力テストの結果は徐々に低下傾向を示すようになりました。日々子どもたちが遊ぶ様子を見ていても、体の使い方や持久力の面で変化が起きていることを実感するようになり、危機感を覚えました。」

春日先生の多岐にわたる研究の中で、体成分が重要な視点の一つとなっています。そして、その体成分を測定するツールとしてInBodyが活用されています。

現在は年長児を対象に、年に1回実施する体力テストのタイミングでInBody測定を行っています。測定した結果は、体力テストの結果やオリジナルの解説用紙と併せて保護者へフィードバックしています。数値をもとに伝えることで、幼児期の健康管理において重要な役割を担う保護者の健康意識や理解を高めるきっかけとなっています。

春日先生:
「もともとInBodyは様々な研究で使用されているのを見かけていて、知名度がとても高い製品であると認識していました。子どもの体成分を研究しようと思った時点で、小児の測定にも対応しており信頼性も高い点から、InBodyの導入を迷わず決めました。」

▲ 園児の測定風景

【InBody活用ポイント1】
InBodyは小児の測定にも対応しており、身長110cm以上を対象に結果を確認できます。110cm未満でも測定は可能で、成長の目安となる参考値として活用できます。
※小児のInBody測定について、詳しくトピック「InBodyは子どもにも活用できる? 測定前に知っておきたいこと」をご覧ください。

春日先生:
「保育施設や小学校での身体評価は、主に体重と身長、BMIが使われています。しかし、BMIが標準範囲内であってもInBodyを測定してみると、筋肉量が少なく体脂肪量が多い ”隠れ肥満” の状態である子どもが少なくありません。一般的に、体力テストの実施など、データに基づいた体力づくりが本格的に行われるのは小学生以降です。しかし私は、体や心の発達の土台が形成される幼児期こそが、最も重要な時期であると考えています。だからこそ、幼児を対象とした研究に取り組んでいます。」

【InBody活用ポイント2】
InBodyの結果用紙にある「肥満指標」では、BMIと体脂肪率が上下に並んで表示され、同時に評価しやすいレイアウトになっています。BMIは、体重を身長(m)の二乗で除して算出されますが、体重の内訳である筋肉量と体脂肪量がそれぞれどのくらいかという点までは考慮されていません。そこで、体脂肪率と合わせて確認することで、より詳細に肥満の状態を評価できるようになります。
▲ InBody結果用紙にある「肥満指標」

春日学園では、日々のプログラムが子どもたちの成長にどう繋がっているかを、体成分データなどの客観的な指標を用いて細やかに見守っています。

実際に、他地域の園児と春日学園に通う園児のInBody測定データを比較したところ、春日学園の園児は男女ともに体脂肪量が少ないという結果が出ました。さらに、特に春日学園の女児においては筋肉量を含む除脂肪量が多いという結果も出ました。

▲ 地域Aの園児と春日学園の園児の体成分データ比較

春日先生:
「本学園は普段の園生活やスポーツ教室を通して、ただ運動をするだけではなく、様々な種類の運動を経験させながら子どもたちが主体的に体を動かすような取り組みを行っています。そういった取り組みが子どもたちの発育を促進させているのかもしれません。このように、InBodyが示すデータを基に、園で力を入れている取り組みの効果が評価できます。

また、他地域との比較だけでなく、学園内のデータを評価する際には標準偏差(SD)も必ず確認しています。平均値だけでなくデータのばらつきも確認し、子どもによって成長に差が出ていないかを評価することで、プログラム内容や日々の声掛けの在り方を見直すようにしています。」


子どもたちの体と運動有能感を育てる ”運動群れ遊び”

春日学園が掲げるのは、心・体・知能・社会性のバランスが取れた教育です。その中心にあるのが、春日先生の研究成果を日々の活動に落とし込んだ独自のプログラムです。

春日先生:
「幼児を対象とした研究を進める中で、よく運動をしている子どもほど精神力や社会性が高いということが分かってきました。つまり、外で活動的に遊び、自ら遊びを深めている子どもは、心も体もたくましく育ち、社会性も高まるということです。この3要素を同時に育むことができるのが ”運動群れ遊び” です。」

▲ 園庭で自由に外遊びを始める子どもたち

自由時間になると、子どもたちは思い思いの遊びを求めて勢いよく園庭に飛び出し、自然と声を掛け合いながら、ドッジボールや鬼ごっこなどの集団遊びを始めます。

春日先生:
「健康的な成長のためには体を動かすことが欠かせません。しかし私たちは、体を動かすことだけを目的としたトレーニングのような活動ではなく、群れて遊ぶという中で運動を取り入れるようにしています。群れ遊びの中で、転んでも自分の力で立ち上がる経験、友だちと喧嘩しても話し合って解決する経験こそが、子どもたちのたくましさを育てます。春日学園では、体を動かすことを通して、強さと優しさ、そして集団の中で生きるための社会性を育むプログラムを大切にしています。」

また、週に1回はスポーツ教室を実施しており、普段の運動や遊びとは異なる専門的な動きを経験する機会を設けています。スポーツ教室を担当する職員が、器械体操やなわとび、ドッジボールなどを通して 「走る・跳ぶ・投げる」 といった基本的な動きを遊びの中で身に付けられるよう指導しています。今まで経験しなかったスポーツに触れ、新しい興味を持つ機会が増えることで、自分は運動ができるという運動有能感や成功体験が得られます。この有能感を持って小学校へと進学することで、より多くのことへ挑戦する姿勢が身に付きます。


スポーツクラブを通して小学校低学年まで体成分をモニタリング

この取り組みは在園中だけにとどまりません。週1回、約1時間実施している課外教室 「K-SPORTS CLUB(以下、KSC)」 では、小学2年生までの卒園児に対しても、半年おきのInBody測定を継続しています。

▲ KSCで指導にあたる岸本 卓也 先生

岸本 卓也先生は、このKSC専任の教員として子どもたちに運動の楽しさや必要性を伝えています。また、InBody測定をする際は、正しく測定が行えるように機器の操作や測定姿勢の確認など、一人ひとり丁寧にサポートしています。

岸本先生:
「幼児期や児童期は身長が伸びていく時期でもあり、順調に成長していると表面的に判断してしまいがちです。しかし、小学生になって運動量が減り、InBody測定をしてみると筋肉量が減少し体脂肪量が増えていたりと、声掛けやサポートが必要な場合も見受けられます。身長や体重だけでは把握しきれない子どもたちの発育を、しっかりデータで客観的に追えるため、InBodyは貴重なツールです。」

▲ 実際に測定した園児の結果用紙

【InBody活用ポイント3】

小児結果用紙では、3歳から(最新プログラムの成長曲線は5歳から)18歳までの成長曲線が表示されます。身長・体重・BMIのうち2項目を選び、発達の度合いを評価できます。また、InBody独自の成長点数という指標で体格と体成分の両面から発達を評価できます。

【成長曲線】
子どもの身長・体重・BMIの推移を、同年齢におけるパーセンタイルに照らし合わせて比較することで、身体的な発達の状態や伸び方を客観的に把握します。年齢に応じて測定結果がグラフ上にプロットされますが、過去の測定値も追加でプロットすることで、描かれる弧が標準的な範囲に沿っているか、各パーセンタイルの基準線をまたいで上向きや下向きになっていないかを確認でき、成長のプロセスを可視化できます。描かれる弧の傾きが急激に停滞したり、過度に上昇したりといった変化が生じた際には、背後に隠れた疾患や栄養状態の問題が疑われることから、小児の成長異常の原因を早期に発見するための重要なスクリーニングツールとして活用されています。

【成長点数】
成長点数は、体格と体成分を50:50に分けて点数化しており、100点が基準点となります。体格の評価は、身長と体重が成長曲線の50%に該当していると50点が与えられ、同年代より体格が大きいと点数が加算されます。体成分の評価は、BMI・体脂肪率が標準に該当すると50点が与えられ、筋肉量が多くなり体脂肪率が下がると点数が加算されます。身長が高く体成分が良いと、100点を超えることもあります。

岸本先生:
「子どもたちの健康管理には保護者の理解と協力が何より必要不可欠です。InBodyの結果用紙をお渡しするときには、チェックポイントに加えてInBody測定がなぜ大切なのかという点も含めてお話するようにしています。また、インボディ・ジャパンの公式YouTubeで紹介されている結果用紙の見方も案内し、ただ数字を見て終わるのではなく、その結果を生活に落とし込んでもらえるような工夫を心掛けています。」


データでモニタリングする科学的な子育て

現在の一般的な身体測定は身長と体重が中心で、体の中身までは把握できません。しかし、体の変化は体重の増減よりも先に始まっています。早い段階で気付くためには、体成分の評価が欠かせません。

▲ 実際に測定した園児の結果用紙

春日先生:
「今後は、年中児からInBody測定を始めて、子どもたちの成長をより縦断的に追っていきたいと考えています。そして、そのデータを活用しながら、子どもたちの成長を継続的に見守る “科学的な子育て” を、もっと一般的なものにしていきたいです。幼児期に体力テストや体成分測定は必要ないのでは、というご意見があることも理解しています。ただ、データによって現状を正しく把握し、課題や改善の方向性を早い段階で見つけられることには、大きな意味があります。」

InBody測定の真の目的は、単に数値を把握することではありません。現状から課題を見出し、生活習慣を見直した上で、その変化を定期的に追っていく継続的なモニタリングにこそ価値があります。特に幼児期の体成分は学童期・青年期・成人期と今後の健康状態の基盤となるため、早い段階での改善が重要です。

春日先生:
「体力は成長してからも十分取り戻すことができますが、私がより注視すべきだと感じているのは体成分の変化です。体成分は、日々の生活習慣の積み重ねで作られていくものなので、習慣を後から大きく変えることは簡単ではありません。大人になってから生活習慣を変えることがいかに困難かを考えれば、早いうちから正しい習慣を身に付ける重要性はより明確です。だからこそ、幼児期から測定を行い、丁寧に成長を見守っていくことが大切だと考えています。もし測定結果に特に問題がなければ、そのままの生活を続ければ良いですし、気になる点が見られた子どもに対しては、早い段階で気付き、教育現場と家庭が連携して改善に取り組むことができます。こうした積み重ねが、子ども一人ひとりの将来の健康に大きな影響を与える可能性があると思っています。

科学は日々進歩しています。その知見を正しく理解し、上手に活用しながら子どもたちの成長を支えていくことが、これからの子育てにおける、一つの理想の姿ではないでしょうか。」