株式会社New Support :後編
-全世代の健康を支援する”地域の保健室”-

✓InBodyを活用する目的
● 健康支援事業の一環で、企業へのInBody出張測定や講演会を行うため
● 地域の保健室として、利用者の身体を見える化し、健康づくりへの意識を高めるため

✓得られた効果
● 食事や運動に全く興味がなかった利用者が行動を変えた結果、InBodyの数値にも反映され効果を明確に感じることができた
● 筋肉のバランスを見ることで、特に弱い部分を重点的に鍛えられるようにトレーニング内容を工夫できる

機種モデル:InBody270

前編では、New Support社の概要とジュニアアスリートのサポートについてお話を伺っています。


企業向けの健康測定

企業向けの健康支援事業では、中小企業に出張してInBody測定を含む健康測定や生活習慣病予防講習、運動プログラムなど、企業向けの健康支援の提供を行っています。事業を立ち上げた頃から、国が働き方改革の一環として従業員の健康を維持・増進して会社の生産性向上を目指す、健康経営を推進するようになりました。大企業の場合は産業医や保健師が既にサポートしていることもあり、New Support社は産業医がいない中小企業を中心にサポートしています。

塩生さん:
「中小企業は各都道府県の全国健康保険協会(協会けんぽ)に属していますが、協会けんぽ福岡支部が取り組む企業向けの健康づくりに関するプロジェクトに提携・協業させていただいています。従来の一般的な福利厚生サービスは従業員がスポーツクラブに行くと会費が安くなるなど、何かをしたときに得をするサービスが多く、従業員が主体的にやりたい・行きたいと思わないと活用されない課題がありました。そこで、その企業に出向いて社内でできることを提供してほしいという要望もあり、私たちの強みであるInBodyの出張測定・講演会を提案しました。私の知る限り全国の協会けんぽでこのような取り組みを始めたのは初めてだと思います。」

▲ 企業での測定風景

協会けんぽ福岡支部と提携し、加入している中小企業の中で健康づくりに取り組みたい企業へInBody測定を提案しています。協会けんぽを通じたInBody測定をきっかけに、健康に関する研修や運動指導などの講習を会社で行ってほしいという依頼も受けます。企業からの依頼は九州だと宮崎・熊本、本州だと広島・山口のような郊外からの依頼も多いです。福岡県のような大都市はジムなどで既に測定している人も多く、郊外ではそのような施設が少ないことも一因になっています。業種は工場や運送会社などの産業系、デスクワークがメインの事務所などが多いです。最近は、コロナ禍でリモートワークなどが増えたことで従業員の免疫力向上や生活習慣病予防への意識が高くなっている中小企業が増えており、健康支援に関する問い合わせも増えてきています。


看護師カフェと健康相談

▲ 看護師の中村さん

看護師カフェの店長と健康相談を担当されている看護師・心理カウンセラーの中村さんは、糖尿病のクリニックや治験コーディネーターとして勤務した後、New Support社の立ち上げに携わられました。看護師カフェでは、中村さんお手製のランチをいただきながら、気軽に健康に関する悩みを相談することができます。健康相談に来られる方は主に高齢者が多く、相談内容は食生活や今患っている病気のことが多いです。

中村さん:
「健康相談の内容によりますが、食生活や体力に自信がないといった相談ではInBody測定を勧め、継続して健康相談を受けていただき体成分の変化を確認するようにしています。3ヶ月に1回のペースで測定しますが、虚弱傾向にあり気になる方は月1回測定する場合もあります。」

InBodyの結果用紙では、筋肉量・タンパク質量・ミネラル量などについて説明し、食事や運動のアドバイスを行います。中村さんは以前勤務していたクリニックで糖尿病患者への食事指導などを行う糖尿病療養指導士の資格を取得しており、疾患を抱える方への栄養指導も得意としています。

中村さん:
「日本人はタンパク質が不足しがちなので、タンパク質を意識して摂取していただいたり、プロテイン・サプリメントを勧めたりしています。特に高齢者の方は、プロテインに対する偏見(マッチョな人だけが飲むもの・子供が飲むと背が伸びないなど)を持たれている方が多いので、お肉や魚を食事に取り入れる重要性やプロテイン・サプリメントの必要性を説明します。何よりも意識を変えてもらうことを重視しています。今まで食事や運動に一切興味を持たなかった人が少しずつ変わっていき、生活リズムやInBodyの測定結果が少しずつ変わっていくのを見るとすごく嬉しいです。」

コロナ禍で公民館での運動教室が中止になるなど、人と接する機会が失われている中でこのようなカフェがあることで救われたと仰る方もいます。中には親子3世代で一緒に通われているご家族もいて、お孫さんはトレーニングスタジオ、娘さんは整骨院でマッサージ、おばあさんはカフェで健康相談といった施設利用ができるのも特徴的です。伊都アクティブカフェ&ジム 新は家族間のコミュニケーションの場としても一役買っています。

▲ 健康相談をきっかけに、施設内のトレーニングスタジオへリハビリで通われている方も多数

▲ 理学療法士の羽田野さん

理学療法士の羽田野さんは塩生さんの学生時代の後輩にあたり、高齢者や介護施設でのリハビリ、放課後等デイサービス(障がいを持った児童が放課後に通う施設・サービス)に携わられています。ちょうど取材当日に普段から健康相談とリハビリに通われている86歳の女性が来られており、お話を伺うことができました。

羽田野さん:
「当店の介護予防サービス(総合事業)では、一人の利用者に対して様々な資格を持ったスタッフがサポートにあたります。本日来られていた86歳の女性は腰痛持ちで入院も経験されており、看護師・心理カウンセラーの中村と柔道整復師の吉川、そして理学療法士・スポーツトレーナーである私の3名でサポートに関わらせていただいています。この方は通い始めてもうすぐ1年になりますが、最初にInBodyを測定した時は腰を痛めていることもあり体幹の筋力低下が顕著に表れていました。私からは体幹の体操をメインに行って、全身の筋肉バランスが良くなるように心掛けています。」


▲ 体重に変化はなくても筋肉量が約1kg増加、体脂肪量が約1kg減少しており、86歳でも体成分改善が可能(初回2020年12月→現在2021年9月)

羽田野さん:
「毎週頑張ってリハビリを継続したので徐々に筋肉量も回復しましたが、半年前(21年4月)に入院されて筋肉量が落ちてしまいました。でも、運動に対してとても積極的な方なので、退院後は筋肉量も比較的早くV字回復し、今では通い始めて一番筋肉量が多い状態です。InBodyは全ての利用者で3-4ヶ月に1回測定しており、プログラムの効果や体の変化を数値でも確認することができています。」


▲ 通い始めてからの体成分履歴(退院直後2021年4月→現在2021年9月)

羽田野さん:
「他には、50代女性で脳梗塞の後遺症で右半身麻痺がある利用者さんの場合、幸い拘縮はなかったのでInBodyを測定していただくと、左半身よりも右半身(麻痺側)の筋肉量が少なかったので、本当に患者一人一人の状態を詳しく反映できていると感じました。私からはこれらの測定結果を基に、理学療法の観点でアプローチして、状態の改善を目指していきます。」

▲ 片半身麻痺は筋肉量の左右差が表れやすく、全身筋肉量・体脂肪量の過不足にも注意が必要


健康維持・増進を目指したサービス

個人向けの訪問支援事業では、看護師や理学療法士が高齢者の自宅を訪問して健康確認や予防リハビリのサービスを行っています。病気や怪我のリハビリとは異なり、予防リハビリでは健康な方も元気に過ごし続けられるよう健康維持・増進を目指してストレッチやトレーニングの指導を行っています。訪問後には遠方に住んでいるご家族へその日の様子の共有なども行います。サービスを利用するきっかけは、ご家族からの問い合わせやケアマネージャーさんからの相談が多いです。定期的にInBodyの出張測定をしていた公民館の地域では、ケアマネージャーさんが「普段InBody持って来てくれる会社のスタッフが家に直接来てくれるよ」と紹介してくれます。

塩生さん:
「私たちの予防リハビリのサービスは介護認定を受けていなくて元気だけど、日常生活に少しずつ不安を覚えるようになった方や保険サービスだけでは十分なリハビリを受けられない方に向けて実施しています。現在ある多くの保険サービスは介護認定がないと使うことができません。このような方をサポートするサービスは意外と少ないようです。」

▲ 落ち着いた雰囲気の施術室

伊都アクティブカフェ&ジム 新には整骨院が併設されていて、トレーニングスタジオや看護師カフェに通われている方を中心に、健康保険を使って施術を受けることができます。機器での施術を中心に行なっている整骨院が全国的に多いですが、こちらでは徒手療法を中心に施術しています。左右のバランスが悪いことが原因で怪我をしてしまった方や、栄養状態が悪いことで治りが遅い方などにはInBodyの測定を勧めて、痛みの根本的な原因を解決し、早期回復・再発防止に力を入れています。


終わりに

このようにNew Support社は1台のInBodyを子供から高齢者までの多世代に渡って、とてもよく活用していただいています。New Support社が関わったスポーツチーム・企業・自治体は既に100を超えますが、今後の展望も多く持っています。

塩生さん:
「おかげさまで伊都アクティブカフェ&ジム 新は ”地域の保健室” としてこの地域に親しんでいただけるようになってきましたが、今後は各校区・地域での健康づくりを進めていく必要性を感じています。地域包括ケアシステムの中で今住んでいる地域で元気に暮らせることを目標としていますが、“元気に暮らすためにはどうすればいいのか?”、“今の自分の身体は何が課題なのか?” というところがはっきりしていません。InBodyを測定して身体の見える化を行うことで課題が分かり、健康づくりへの意識を高めることができます。実際、外に出て高齢者の方に大変喜んでいただけるのを見ると、皆さん元気にこの町で過ごしたいという思いはあるけれど、健康への不安を常に抱えているのかなと思います。」

看護師スタッフを中心に企業での健康づくりの取り組みや自治体から業務委託されている介護予防教室の運営にも携わっています。New Support社であれば、介護予防教室に看護師や健康運動指導士などを派遣して食事や運動など様々な視点からアドバイスすることができます。中村さんにも今後の展望を伺いました。

中村さん:
「コロナが落ち着いたらイベントをたくさん開催して、もっと多くの方に体成分測定を通じて食事や運動の大切さを知ってもらいたいと思います。多職種チームである私たちの強みを活かしていきたいと思います。」

塩生さん:
「企業や自治体に向けたサービスをもっと充実させていきたいです。公民館や各校区にある社会福祉系の団体と協力して、複数台のInBodyをローテーションで設置し、子供から高齢者まで誰でも自宅の近くで測定ができるような仕組み作りができたらと思います。既に、2~3ヶ月に1回InBodyの出張測定を定期的に行なっている公民館やその地域では、測定を楽しみにされている住民の方が多くおり、そのような取り組みを拡充させていきたいと思います。元気な方がずっと元気でいられるように、健康に不安を覚えるようになった方はその不安を解消できるようにこれからもサポートを続けていきたいと考えています。」