姿勢の乱れは心身の乱れ

皆様は今、どのような姿勢でこのトピックをご覧になっていますか?
立って、椅子に座って、もしくは横になってなど、様々な姿勢でご覧いただいているかと思いますが、もしかするとその姿勢が心身の不調の原因になっているかもしれません。今回は、姿勢が悪い人のデメリットや、姿勢が乱れやすい原因とその対策などについてご説明します。


まずは自分の姿勢を確認してみましょう

壁に背を向けて立ち、かかと・ふくらはぎ・お尻・肩甲骨・頭を壁につけてみましょう。この時、腰と壁の間にどれくらいのスペースがあるかで、姿勢の傾向を評価できます。

縦向きにした手のひら1枚分程度のスペースがある
理想的な姿勢です。横から見たときに耳、肩、骨盤、膝、くるぶしの後方が一直線になっているこの状態を「良い姿勢」と呼びます。姿勢が乱れてしまっている方は、この姿勢を目指していきましょう。

拳1個分ほどのスペースがある
「反り腰」の可能性が高いです。反り腰は、腰が過剰に反ってしまった状態を指します。一見姿勢が良さそうにも見えますが、骨盤が過剰に開いて後ろに傾いており、下腹部がぽっこりと出てしまっていることが特徴です。

手がまったく入らない、入りづらい
「猫背」の可能性が高いです。猫背は、その名の通り猫のように背中が丸まっている状態を指します。また、手が入ったとしても、横から見ると背中全体でCを描いているような状態で、頭が肩よりも前に出ている場合は猫背の傾向があります。


姿勢が悪い人のデメリット

正しくない姿勢が長時間続いた時、体が痛くなった経験は皆様にもあるのではないでしょうか。実はその痛み以外にも、内臓や神経といった体内の深部まで姿勢の影響が及んでいるのです。姿勢の悪さが私たちに与えるデメリットは様々ですが、中でも代表的な3つをご紹介します。

・頭痛や肩こり、腰痛の原因になる
姿勢が悪くなると、様々な筋肉に余計な負担をかけることになり、筋肉が強張ったり、使われない筋肉が弱くなったりします。長時間悪い姿勢を続けていると負担もより大きくなり、頭痛などの原因となります。特に猫背の状態では首や肩まわりの筋肉に過度な負担がかかり、脳に血液を流すための血管が締め付けられることにより、脳が酸欠状態となって頭痛を引き起こします。また、腰にも同様に負担がかかるため、腰痛を引き起こしやすくなります。

・内臓の働きが弱まる
長時間猫背の状態でいると背中が丸まってしまい、内臓が本来ある位置からずれてしまうことで、内臓が圧迫されて正常に働けなくなる可能性があります。その状態では、胃もたれや逆流性食道炎などの胃腸系の不調や、血行が悪くなることから冷え性やむくみ、女性であれば月経痛など、全身にその影響が及びます。また、消化吸収機能も低下するため栄養素を十分に代謝できず、基礎代謝も低下してしまい太りやすい体へと繋がります。

・自律神経が乱れる
悪い姿勢では、呼吸をする際に横隔膜や肋骨を動かしづらくなり、体内に十分な量の空気を入れることが難しくなります。必要量の酸素を取り入れようとして呼吸は浅くなり、体を緊張状態にさせる交感神経が優位となる一方で、体をリラックスさせる副交感神経は抑えられてしまいます。本来は、この交感神経と副交感神経のバランスを保つことで心身の健康が守られていますが、乱れてしまうと心身ともに不調が現れます。

※自律神経について、詳しくはトピック「モナリザ症候群とは?」をご覧ください。


姿勢が悪くなりやすい原因と対策

姿勢が悪くなる原因は、日常生活での癖や習慣、体調など、様々な要因が重なっています。姿勢の乱れに繋がりやすい身近な原因を知ることと、対策をしていくことが必要です。

・スマートフォンやパソコンを見る時の距離が近すぎる
パソコンを見ている時につい前かがみになったり、スマートフォンを見るときに顔が下を向いていたりしませんか? その状態では、首が体よりも前に出てしまい、こうした姿勢が長時間続くことで背中が丸まって猫背になってしまいます。パソコンやスマートフォン画面とは40cmほど離れ、ほぼ目線と同じか少し低い位置に置いて見るように心がけましょう。

・長時間同じ姿勢を取り続けている
例えばデスクワークなどで長時間同じ姿勢をし続ける環境では、正しい姿勢をとっていたとしても、筋肉に負担がかかり姿勢が崩れやすく、腰痛などの原因ともなります。30分~1時間おきに歩く、ストレッチをするなど小まめに体を動かすことで筋肉の緊張が緩み、負担が軽減します。

・片脚重心、同じ方の肩にカバンをかけているなどの癖がある
片方の脚や肩にばかり負担がかかっていると肩や骨盤が歪み、姿勢の乱れに繋がります。無意識のうちに癖がついてしまっている場合がほとんどなので、まずは少しずつ意識をつけるところから始めてみましょう。また、既に肩や骨盤に左右差が生じてしまっている場合は、肩回り・骨盤周りのストレッチを行うことで改善が期待できます。

・運動不足
正しい姿勢を保つためには、体を支える筋肉が必要です。運動不足により筋肉量が減ってしまうと姿勢を維持できず、猫背など乱れた姿勢になる癖がついてしまいます。お腹や背中にある程度力を入れないと正しい姿勢を維持できないように、体幹の筋肉が姿勢の保持に関わっています。プランクなどの体幹トレーニングを取り入れ、筋肉量を維持する、増やすことを心がけましょう。InBodyでは、全身の筋肉量だけではなく部位別の筋肉量も確認できます。ぜひInBody測定でご自身の体幹の筋肉量をチェックしてみてください。


正しい姿勢とは?

姿勢の改善をする上で、正しい姿勢を知ることが何よりも大切です。常に正しい姿勢を意識しながら生活することは難しいかもしれませんので、気が付いた時に姿勢を正すことからまずは始めてみましょう。

・立っている時の正しい姿勢
真横から見たときに耳、肩、骨盤、膝、くるぶしの後方が一直線になっている、後ろから見たときに後頭部、背骨の真ん中、お尻、両足のくるぶしの中心が一直線になっていることがポイントです。

・座っている時の正しい姿勢
椅子の背もたれに背中が当たらない程度に深く腰かけ、背筋を伸ばします。この時、頭が肩より前に倒れていないことを確認しましょう。また、膝は90°に曲げ、足の裏全体が床についていることがポイントです。

普段の生活の中で、立ったり座ったり歩いたり、私たちが何気なく行っている動作も私たちの健康に影響を及ぼします。姿勢が乱れていると、筋肉や骨だけではなく、神経や精神など体内の深い部分まで不調が現れてきます。姿勢を良くすることが、心身の不調の改善や基礎代謝の向上による痩せやすい体づくりに繋がることからも、食事や運動などの生活習慣改善の中に、「姿勢を意識すること」も取り入れてみませんか?