日光浴に痩せる効果があるのか?

日光浴には 『紫外線吸収の化学反応によるビタミンD生成¹⁾』 や 『セロトニン神経の活性化による睡眠の質改善²⁾』 などの効果が知られていますが、実は脂肪燃焼にも効果があることが判明しています。今回は日光浴が脂肪燃焼を促進するメカニズムや根拠についてお話します。


日光に含まれる青色光とは

日光には青色から赤色までさまざまな光が含まれていますが、肌を通過して脂肪細胞まで辿り着くのは波長が480ナノメートル以下である青色光と紫外線のみと言われています。2017年にカナダのアルバータ大学が発表した研究では、脂肪細胞に青色光(460nm)を毎日4時間、連続13日照射したところ、青色光を照射しなかった脂肪細胞と比べて脂質含有量が減少していることが分かりました³⁾。

このことから、青色光への曝露が脂肪細胞に蓄えられている脂肪を分解しグリセロール(脂肪の分解物)放出を増加させることと、脂肪滴(脂肪細胞内にある体脂肪を溜め込む袋)サイズを減少させ脂肪燃焼を促進させる可能性について示唆されました。


皮膚の下にある光受容体オプシンとは

ヒトを含む哺乳類には、光を体内に取り込む仕組みがあります。これを可能にする光受容体がオプシンです。皮膚や眼にあるオプシンを介して取り込まれた日光は、体内時計や視覚にまつわる調節に関わっていることが明らかになっています。中でも青色光応答性オプシン(OPN3)は、エネルギー代謝の調節に関わっており、日光(青色光)と一緒に必須となる要素で、どちらが欠けても正常に機能しません。

アメリカのシンシナティ小児病院医療センターが発表した研究では、遺伝子操作によってOPN3を欠いたマウスは熱産生能力が低下し対照群マウスよりも体温が低くなったこと、OPN3を持つマウスでも青色光への曝露がなければ熱生産生能力が損なわれることが報告されています⁴⁾。

脂肪細胞は、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類に分けられます。白色脂肪細胞は一般的に体脂肪と呼ばれるもので、皮下や内臓周辺に蓄積し肥満の原因となります。白色脂肪細胞は単胞性なので、細胞内に一つ大型の脂肪滴を持っています。つまり、白色脂肪細胞の脂肪が分解され、グリセロールとして放出されることは、体脂肪量の減少に繋がるという訳です。褐色脂肪細胞は多胞性で細胞内に小型の脂肪滴が多数存在します。この褐色脂肪細胞が活発に働くと、体温が上昇し全身の代謝が高まります。

つまり、①青色光が皮膚を通過して細胞内に届く、②OPN3が活性する、③白色脂肪細胞にエネルギーとなるグリセロールを血流に放出させる、④褐色脂肪細胞がグリセロールを燃焼させ熱を発生させる、⑤体温が上昇する という流れで正常なエネルギー代謝が起こっていると説明できます。このことから、日光(青色光)と光受容体オプシンが我々の健康にも重要な存在といえます。


日光浴不足はメタボ要因の一つ

日光の重要性について先ほどお話しましたが、現代人の多くは日中のほとんどを屋内で過ごし、外に出る時は日焼け止めを塗ったり日傘を差したりして徹底的に日光を避ける人も多いのが現状です。人工照明もいくつかの波長の光を発しますが、あらゆる波長(色)を含んでいる日光のように完全な配列ではありません。

日光浴不足による健康問題として、ビタミンD欠乏や視力低下がよく知られる症例ですが、メタボリックシンドロームについてもリスクとなる可能性が言われています。シンシナティ小児病院医療センターの研究チームは、現代のライフスタイルは人工照明(不自然な光)の曝露・夜間の人工照明への曝露・交代勤務・時差ボケなどを我々に課しており、これらすべてが代謝の乱れをもたらしていることを指摘しています。先進国でメタボリックシンドロームや代謝異常が蔓延していることの理由の一つとして、人工照明(不自然な光)ばかり浴びていることが挙げられています。


たまには日光浴で体をリフレッシュ

日光浴で日焼けをすると、皮膚炎が生じて火ぶくれや水泡ができることがあります。また、紫外線を長時間浴びるとシミやそばかすの原因になるなど肌の老化にも繋がります。しかし、これらの症状は酵素を多く含む発酵食品や抗酸化サプリメントを摂取することで克服できます。また、非常に暑い中長時間外出することは様々な熱中症関連症状を引き起こす可能性もあります。日光浴では長時間の運動や立ちっぱなしで行うのではなく、座位や仰臥位で楽な姿勢で行いましょう。暑さで大量の汗を掻いてしまった場合は、涼しいところに移動して電解質を含む水分をゆっくり摂取しましょう。

日光浴はデメリットへの対策さえしっかり行えばメリットも多いので、普段からあまり外出する習慣がない方や、日傘と帽子で日光を完全に避けている方は、少しでも日光に当たることを意識してみてはいかがでしょうか?

参考文献
1. InBodyトピック「五大栄養素 -ビタミンⅡ-」
2. InBodyトピック「睡眠の質を改善するには」
3. Katarina Ondrusova et al., Subcutaneous white adipocytes express a light sensitive signaling pathway mediated via a melanopsin/TRPC channel axis. Scientific Reports volume 7, Article number: 16332 (2017)
4. Gowri Nayak et al., Adaptive Thermogenesis in Mice Is Enhanced by Opsin 3-Dependent Adipocyte Light Sensing. Cell Reports, VOLUME 30, ISSUE 3, P672-686.E8, JANUARY 21, 2020