もしもダイエット中、プラトーに陥ったら…
ボディメイクやダイエットの目標に向かって日常的に努力をしている人は、プラトーという恐ろしい現象に突き当たることがあります。プラトーとは成長が止まってしまう停滞期を意味しますが、この壁を乗り越えるためにはまずプラトーについて知る必要があります。プラトーに陥った時の体の変化を理解して、それを突破するための様々な方法を実践しなければなりません。今回はプラトーを克服するための戦略についてご紹介します。
プラトーとは?
プラトーという言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、ダイエット・競技パフォーマンス・学習など様々な場面で誰もが経験しうる現象です。新しく習い事を始めると、最初は練習量に応じて順調に成長していく実感があり、益々頑張るようになります。しかし、ある時を境に成長を感じられなくなる時期がやってきます。いくら練習や運動を頑張っても変化が見られず、成長できていないのでは? と不安になる感覚…。プラトーとは、練習や運動を続けているにも関わらず、成長が停滞してしまう現象・時期のことを指します。
プラトーによく似たものにスランプがあります。プラトーが成長の停滞を表すものである一方、スランプは一時的に能力が発揮できなくなる状態のことを指します。今までできていたことが突如上手くできなくなってしまった時や、パフォーマンスのレベルが下がった時に使用されます。プラトーの語源は英単語の「plateau」で「高原・水平状態になる・横ばい」という意味があり、スランプの語源は「slump」で「はまり込む・落ちる」というニュアンスがあります。
プラトーには、様々な要因があります。慣れやマンネリが関係しているとよく考えられていますが、他にも疲労やプレッシャー、ストレスなどの精神的要因も関係しています。何事も一定のレベルに達すると停滞期にぶち当たります。プラトーは誰もが経験する壁であるため、事前に想定して対処法を知っておくことが大事です。
成長や変化を正しく評価する
ダイエット中の人は、プラトーに陥っていることや努力の効果が出ていることを、どのように確認していますか? もし、体重計だけで成功を測っているのであれば、正しく評価できているのか一度疑ってみる必要があります。ダイエットでは、体重のみの減量を目標にしがちで、体重計の数字が落ちなくなったらプラトーだと考えてしまう人も多いかと思います。
しかし、体重とは体成分各々の合計であり、全ての成分において「重量があること=悪い」という訳ではありません。例えば筋肉量は多ければ多いほど健康にとってもプラスとなるので、筋肉量の増加による体重増加は「良い」結果と言えます。ダイエットのために運動や筋トレを頑張っているのに、体重の変化が見られないと嘆く必要はありません。これは体脂肪の減少と同時に筋肉が増加しているため体重に変化が表れないでだけで、体脂肪率や見た目の体型は改善されているはずです。
もし、体脂肪率やInBodyの各数値がまったく変化していないのであれば、プラトーの可能性を受け入れて、次の方法を検討してみましょう。
方法1. 食事日記をつける
自分の食事内容と摂取カロリーを見直してみましょう。食事日記をつけて摂取量を記録することでダイエット中の食事を簡単に振り返り、反省や改善に繋げられます。努力も明確になるので気持ちの面にも作用して、プラトーから抜け出すきっかけになる場合もあります。2008年に発表されたアメリカ・オレゴン州の研究では食事内容と摂取カロリーを熱心に記録している人ほど減量の効果が大きいと報告されています¹⁾。案外、実際の摂取量と自分が思う食べた量が一致していないことはよくあります。まずは自分の本当の摂取量を把握して、「カロリー赤字」に持っていく必要があります。
※カロリー赤字とは摂取カロリーが消費カロリーより少ない状態のこと。カロリー赤字について詳しく知りたい方は、InBodyトピックの「体脂肪減量に関する5つの迷信」もご覧ください。
最近は食事管理ができるスマートフォンアプリもたくさんリリースされています。アプリによってはカロリーを自動計算してくれる機能もあるので、計算の手間なく楽しく食事日記を続けられます。まずは1週間食事日記をつけてみて、食事量は適正か? 野菜や果物は足りているか? おやつやジュースが増えていないか? 確認してみましょう。これらの情報はダイエット計画の修正にも役立ちます。
方法2. 運動記録をつける
食事日記と同じように、運動記録を取ることもお勧めです。運動記録はノートに書き溜めるだけでなく、方法も様々です。SNSで運動記録を公開して友人やフォロワーと一緒に運動に取り組むこともできます。歩数計を活用して歩数を記録することも良いでしょう。他に、フィットネスアプリを利用して消費カロリーの計算もできます。方法1の食事日記で摂取カロリーが、運動記録で消費カロリーが分かるので、その日のカロリー収支が赤字か黒字かも簡単に算出できます。
InBodyアプリでも体成分の記録だけでなく運動の記録が可能です。運動の種類・強度・時間を入力すればカロリーが自動で計算され、消費カロリーを確認することができます。InBody BANDも利用していれば歩数記録も同じアプリで一括管理が可能です。自分に合った方法でチャレンジしてみてください。
方法3. ストレスを発散する
成長が停滞するとストレスに感じて、睡眠不足になったり筋肉が過度に緊張したりして日常生活にも悪影響を及ぼすことがあります。また、そのストレスがプラトーを深刻化させることで、なかなか抜け出せない悪循環が発生する可能性もあります。プラトーを認識したら、ストレスを自覚していなくてもリフレッシュの時間を作ってみましょう。
寝付きが良くない時はヨガがお勧めです。また、ストレスケアとしても知られる瞑想は抑うつや不安感の解消に繋がると言われています。首・肩・腰回りを動かす簡単なストレッチも驚くほどリフレッシュに効果的です。
※瞑想に関する具体的な方法などはInBodyトピックの「在宅勤務で健康維持する方法」もご覧ください。
方法4. 初心に帰る(始めた理由を思い出す)
どうして練習や運動を始めようと思ったのか、思い出してください。 “ショーウインドーに飾られているワンピースを着られるようになりたい” “アウトドア活動を家族で楽しみたい” “より健康的な生活を送りたい” “競技レベルを向上させたい” 始めた理由がそれぞれあるはずです。もし、練習や運動をやりたくないと思ったら、始めた理由を思い出してください。その理由こそが成長の原動力で、プラトーを乗り越えられる方法の一つです。
方法5. マンネリ化したトレーニングに新たな工夫を加える
違うアプローチ方法や新しいやり方を試してみましょう。ダイエットで有酸素運動が必要な時、手軽さからウォーキングやランニングばかり行ってはいませんか? ウォーキングの中でも、水中ウォーキングやハイキングでは効果や気分も変わってきます。いつもと同じランニングでも、走るコースや時間帯を変えてみるだけで新鮮に感じられ、楽しく続けられるかもしれません。一緒に行う仲間・最初に決めた目標を変えてみるのも、プラトーを乗り越えるきっかけになることがあります。
方法6. 一旦距離を置いてみる
ここまで様々なプラトー対策についてお話ししましたが、成長が見られない期間が続くと、どうしてもモチベーションが下がってしまうでしょう。そういう時は一旦トレーニングを休止して、距離を置いてみるのも一つの方法です。プラトーは誰もが経験する壁であり、毎回すぐに乗り越えられるものでもありません。ルーティンがある生活から少し離れてみると、気分も落ち着いてモチベーションが復活することもあります。ただしこの方法を用いる場合は、離脱防止のため戻ってくるタイミング(休止終了日)を予め決めておくようにしましょう。
プラトーを恐れずに、乗り越えよう
プラトーに陥ると、自分自身に対してイライラしたりモチベーションが低下したりしますが、克服することで大きく成長できるチャンスでもあります。プラトーについて知り、備えることは、次のレベルに到達するための重要なステップです。苦しい時は、目標を立てた理由を思い出しましょう。目標を達成できなくても、目標に向かう過程での努力や変化が大事です。ボディメイクやダイエットを目標としている方は、定期的にInBodyを測定して変化を楽しみましょう。少しでも目標に近づいて、より充実した人生をお送りください。
参考文献
1. Jack F. Hollis et al., Weight Loss During the Intensive Intervention Phase of the Weight-Loss Maintenance Trial. American Journal of Preventive Medicine, Volume 35, Issue 2, August 2008, Pages 118-126