朝ごはんはなぜ毎日食べるべきなのか?

皆さんは、毎日朝ごはんを食べていますか? 朝食の準備が面倒くさいと感じることはありませんか? 確かに、朝は外出するギリギリまで寝ていたいと思うこともあるでしょう。しかし、朝食は私たちの一日を元気よくスタートさせるための重要な要素なのです。実際、朝食に関するアンケートでは、朝食を欠食する(週に2~3日食べる、もしくは殆ど食べない)割合が、男性は「16.9%」、女性は「8.7%」であることが農林水産省より2019年に報告¹⁾されています。特に若い人で、朝ごはんを食べない傾向が見られるようです。

しかし、朝食が私たちに与える影響は計り知れません。しっかり朝ごはんを食べることで、体内に栄養を補給し、エネルギーを補充することができます。また、代謝も上がり、一日の活動をスムーズにこなす助けとなります。さらに、認知能力や集中能力、学習能力にも良い影響を与えるとされています。つまり、朝食は私たちの日々の生活や健康に大きな影響を与える鍵となる要素であると言えます。では、朝食が私たちにどのような影響を与えるのか、そしてなぜ朝食は重要なのか、一緒に考えてみましょう。


朝食の役割

朝食は私たちの日々の活動や健康において非常に重要な役割を果たしています。その中でも代表的な五つの役割をご紹介します。

1.エネルギー源の補給
私たちが寝ている間でも脳は活動し続けているため、朝起きた時はエネルギーが不足した状態にあります。朝食からエネルギー源となる 「タンパク質・炭水化物・脂質」 を摂ることにより、一日の活動に必要なエネルギーを補給することができます。

2.基礎代謝が上がり、痩せやすい身体になる
朝ごはんを食べることで胃腸の活動が活発になり、眠っていた身体が動き出し、体温が上がります。体温が上がることは基礎代謝量の上昇に繋がり、脂肪を燃焼しやすい状態となるため、痩せやすい身体になります。

3.認知機能と集中力の向上
朝食に含まれる栄養素は脳の機能にも影響を与えます。特に、朝食に含まれる糖質やタンパク質は、脳のエネルギー源として重要です。良質な朝ごはんを食べることで、認知機能や集中力が向上し、仕事や学業に集中しやすくなります。

4.健康的な食習慣の形成
朝ごはんを食べることは、健康的な食事習慣を形成する第一歩です。朝食で、必要な栄養素をバランス良く摂ることによりその後の食事でもそのバランスを保つよう意識する傾向が生まれやすくなります。また、空腹感が抑えられることで適切な間隔で食事ができるようになり、健康的な生活習慣を維持する助けとなります。また、健康的な食習慣は生活全体に影響を与え、慢性疾患のリスクを低減し、長寿に貢献します。

5.心理的安定と幸福感
朝ごはんを食べると、満腹感や栄養バランスの良さからストレスや不安が軽減され、心理的な安定と幸福感をもたらします。朝食で心とお腹を満たすことで、一日をポジティブにスタートさせることができます。

以上のように、朝食は身体だけでなく、心の健康にも大きな影響を与える重要な食事です。健康的な生活を送るためには、栄養バランスの取れた朝食が重要です。


朝食を欠食するとこんなリスクが!?

朝食には様々な役割があり、日々の活動や健康に非常に重要であることが分かりました。それでは朝食を欠食するとどのようなリスクがあるのでしょうか。

1.太りやすく、筋肉量が減りやすくなる
長時間の空腹状態が続くと、その後の食事で過剰に摂取してしまう傾向があります。これにより、適切な食事量での制御が難しくなり、過剰なカロリー摂取や間食が増えるため、太りやすくなります。また、代謝が低下して基礎代謝量が減少するため、脂肪が蓄積されやすくなります。更に、エネルギーが不足した状態では筋肉に含まれるタンパク質が分解されてエネルギー源として活用されるために、筋肉量が減少するリスクも高まります。

2.生活リズムが乱れる
私たちの身体には1日のリズムを刻む「体内時計」と呼ばれる機能があります。朝日を浴び、朝食を食べることで体内時計がリセットされます。朝食を食べないと体内時計がリセットされず、昼間に頭がぼうっとして眠たくなったり、寝たい時間に眠れなかったり、代謝の働きにも影響が出たりと、生活リズムが乱れてしまいます。この生活リズムの乱れが健康リスクの増加にも繋がります。

3.健康リスクの増加
肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが増加²⁾する可能性があります。さらに、朝食の欠食が長期間続くと、栄養不足や代謝異常による健康問題が悪化する可能性もあります。


朝に摂るべき栄養素

朝ごはんはただなんでも食べれば良いという訳ではなく、栄養バランスの取れた食事内容が重要です。普段から朝ごはんを食べているという方であっても、栄養バランスの取れた食事をできていますか? 株式会社明治が紹介している 「食の栄養バランスチェック」 では、朝食のバランスと栄養素の過不足を一目で確認することができます。もし栄養素の過不足がある場合は、朝食のメニューを考え直す必要があるかもしれません。朝食では、栄養素の中でも特にタンパク質・炭水化物・ビタミンやミネラルを摂る必要があります。

タンパク質は、身体の細胞や筋肉を作り、修復するために必要な栄養素です。朝食にタンパク質を摂取することで、身体の成長や修復の促進・筋肉分解の防止・ダイエット効率の向上・満腹感の持続など、様々な効果が期待できます。

※タンパク質について、詳しくはトピック「五大栄養素 -タンパク質Ⅰ-」「五大栄養素 -タンパク質Ⅱ-」をご覧ください。

炭水化物は、糖質と食物繊維の総称で、身体にエネルギーを供給する主要な栄養素です。朝食に十分な炭水化物を摂取することで、脳と筋肉の活動に必要なエネルギーを補給し、一日中活動的に過ごすことができます。

※炭水化物について、詳しくはトピック「五大栄養素 -炭水化物Ⅰ-」「五大栄養素 -炭水化物Ⅱ–」をご覧ください。

ビタミンとミネラルは、身体の様々な機能調整に必要な栄養素です。特にビタミンCやビタミンD、カルシウム、鉄、マグネシウムなどは、朝食で十分に摂取することが重要です。これらの栄養素は免疫力の維持や骨の健康、体内の代謝に関わる重要な役割を果たします。

※ビタミンについて、詳しくはトピック「五大栄養素 -ビタミンⅠ-」「五大栄養素 -ビタミンⅡ-」をご覧ください。

※ミネラルについて、詳しくはトピック「五大栄養素 -ミネラルⅠ-」「五大栄養素 -ミネラルⅡ-」をご覧ください。

これらの栄養素を含むお勧めの朝食メニューを見てみましょう。

これらのメニューを組み合わせて、バランス良く各栄養素を摂る必要があります。しかし、今まで朝食を欠食していた人は、これらのメニューを用意すること自体が難しく面倒くさいと感じるのではないでしょうか。まずは一品だけでもいいので、何かを食べる習慣を身に付けることが重要です。食パンだけ、ヨーグルトだけ、バナナなどの果物だけでも大丈夫です。少しずつ習慣化してきたら、摂取するべき栄養素を考慮した上で朝食のバリエーションを増やしていきましょう。例えば、ヨーグルトにナッツを入れる、白米に納豆をかける、野菜を載せてピザトーストを作るなど、食材を組み合わせて栄養素を多く摂取するのも良いです。


終わりに

朝食は健康的な生活を送るために欠かせない要素です。その役割や、朝食の欠食によって生じるリスク、朝食で摂るべき栄養素について理解することは、健康的な生活を送るための第一歩です。朝食の欠食は身体と心の健康に悪影響を与える可能性がありますが、バランスの取れた朝ごはんを食べることでそのリスクを軽減し、充実した一日を過ごすことができます。朝食は単なる食事ではなく、健康と幸福の礎を築く重要な要素です。今日から朝食を大切にし、健康な生活習慣を築いていきましょう。

参考文献
1. 農林水産省: 「食育に関する意識調査」
2. 文部科学省: 「朝食欠食と生活習慣病」