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子供の成長と体成分の変化

子供は乳児期-幼児期-学童期(児童期)-思春期(青年期)と成長段階を経て大人(成人期)になります。特に思春期以前の子供は身体的な成長も顕著で、この成長過程を評価するために身長や体重が頻繁に計測されています。そして、成長の程度は成長曲線分布に当てはめて同年代の子供と比較することが多いですが、体重の変化は表面的なものに過ぎず、その解釈に注意が必要です。子供の成長は身体の中身=体成分の視点からも確認することが重要です。今回の記事では、子供の発育で体成分がどのように変化するのか、子供の体成分が大人になってからの健康にどう影響するのかについてお話しします。


学童期の体成分は思春期のタイミングにも影響する

学童期頃の体成分は、思春期が始まるタイミングにも影響します。2002年イリノイ大学の研究では体脂肪率の高い子供ほど思春期の開始時期が早くなることを報告しています¹⁾。脂肪組織は内分泌機能を活性化し、ホルモン調節に関与します。つまり、脂肪組織が性ホルモンを産生し思春期早発症を引き起こします。

ホルモンの分泌異常で引き起こされる代表的な小児内分泌疾患は、思春期早発症の他に成長ホルモン分泌不全症(低身長)や小児肥満症があります。思春期早発症に罹患すると、大人になった時の身長が極端に小柄になること、循環器疾患・高血圧・2型糖尿病などの合併症を発症しやすくなることも知られています²⁾。

思春期早発症に当てはまったとしても、最終的には正常範囲に収まるような心配がいらないケースも勿論多いです。しかし、思春期前の学童期でも体成分が悪い(=肥満度が高い)と将来的に健康上の深刻な問題に発展する可能性もあります。また、思春期早発症はマクキューン・オルブライト症候群や中枢神経系の障害が器質的原因となって発症していることもあるので、子供の成長があまりにも早いor遅いなどの違和感を覚えたら、体成分をコントロールするだけでなく小児科や内分泌専門で正確な診断と治療を行う必要があります³⁾。


思春期の体成分変化に関して

思春期にも体成分は大きく変化します。この時期には成長ホルモン・性ホルモン・遺伝的要因・環境的要因が作用して、男児と女児に大きな違いが生じてきます。体成分の変化として次のような特徴が挙げられます。

・男児は骨格筋量など主に筋肉の増加が顕著
・女児は体脂肪量の増加が目立つ
・男児女児共に骨密度が大きく発達
・男児はより男性らしい体型に、女児はより女性らしい体型に変わる

幼少期~思春期の体成分は成人期の体成分に影響すると言われています。つまり、子供の体成分を管理することは、将来的に病気のリスクを減少させることにも繋がるのでとても重要です。また、子供の時から体成分が悪くなると、大人になっても体成分は改善されにくく、致命的な病気や合併症を引き起こす恐れもあります。


悪い体成分が将来的に病気へと繋がるプロセス

思春期の体成分と成人期の疾患の関係が明らかとなっている代表的なものは、「体脂肪量と肥満」「骨ミネラル量・骨密度と骨粗鬆症」です。思春期の太り過ぎは成人期の太り過ぎや肥満に繋がるリスクが高く、骨ミネラル量や骨密度が低い人はその後に骨粗鬆症を発症するリスクが高くなります⁴⁾。

➤体脂肪量と肥満
脂肪組織はアディポサイトカイン、インスリン、性ステロイドホルモンなどの生理活性物質と相互作用し、心血管系や代謝性疾患の発症に関与します。思春期の体成分は栄養状態の評価だけでなく、将来的な慢性疾患の発症リスクに直接関連するため、早い段階での疾患リスク評価および介入が重要です。

同一人物における子供の頃のBMIと成人してからのBMIは、子供の成長段階(年齢層)によって程度は変わってきますが、ある程度相関することが報告されています⁵⁾。例えば、BMIが95パーセンタイルを超える8-13歳の子供では男児の33%が成人でも肥満、女児の50%が成人でも肥満で、13-18歳の子供では男児の50%が成人でも肥満、女児の66%が成人でも肥満でした。また、思春期から成人期にかけての体脂肪量と除脂肪量は高く相関することから、思春期以降に測定した体成分は成人期の体成分予測に活用できます⁶⁾。

業務用InBodyで提供している小児結果用紙では、身長と体重の成長曲線から同年代の標準的な値と自分の位置を知ることができます。また、BMIの比較もしてみたいと思った方は下記の成長曲線(2007 WHO Reference)を参考に、自分の位置をプロットしてみましょう。

➤骨ミネラル量・骨密度と骨粗鬆症
骨粗鬆症の発症は、思春期の骨の状態で決まるという話があります。6-36歳の男女100人ずつを対象に、骨ミネラル量と骨密度を5年間追跡した研究では、思春期前の段階では骨ミネラル量や骨密度に性差がないこと、思春期の時期で骨密度の成長率が最も高くなること、骨ミネラル量と骨密度のピークは思春期直後(20-25歳の間)で達成するが男性よりも女性の方が早くピークに達することなどを報告しました⁷⁾。除脂肪量(骨格筋量)と骨ミネラル量は相関関係があります。つまり思春期に骨格筋量を発達させるよう介入することが、将来的な骨粗鬆症の予防に繋がるということです。


子供の頃から早い段階で健康的な生活習慣を身に付ける

上記のお話からも分かるように、子供の体成分を管理することはとても大事なことです。子供の体成分は思春期が始まるタイミング、成人期の健康状態、将来的に病気を発症するリスクと関連しています。子供達の目標は、ボディービルダーになることではありません。大人に成長して子供の頃より新陳代謝が落ちても健康な体であること、将来的に健康上の問題が発生しないよう、子供の頃から健康的な体成分を維持することです。

子供と過ごす休日は、テレビやゲームで一日中費やすのではなく散歩や公園に出かけてみましょう。新鮮な野菜や果物を取り入れて、栄養バランスを考慮した食事メニューを選択してください。子供が定期的な運動や健康的な食事習慣を身に付けるには、周りの大人達の手助けが必要です。特に小さい子供では自分の食事や生活スタイルをコントロールできないので、この時期の肥満は保護者の責任でもあります。お子様の体成分は正常範囲なのか? 同年代と比較してどの位置にいるのか? 将来的な病気のリスクを抱えているのか? 調べてみたい方は、是非一度InBody測定を検討してください。

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参考文献
1. Wang Y. Is obesity associated with early sexual maturation? A comparison of the association in American boys versus girls. Pediatrics. 2002 Nov;110(5):903-10.
2. Kauli R et al., Final height of girls with central precocious puberty, untreated versus treated with cyproterone acetate or GnRH analogue. A comparative study with re-evaluation of predictions by the Bayley-Pinneau method. Horm Res. 1997;47(2):54-61.
3. 10代の心と身体のガイドブック, 米国小児科学会編, 関口進一郎, 白川佳代子監訳
4. Siervogel RM et al., Puberty and body composition. Horm Res. 2003;60(Suppl 1):36-45.
5. Guo SS et al., Predicting overweight and obesity in adulthood from body mass index values in childhood and adolescence. Am J Clin Nutr. 2002 Sep;76(3):653-8.
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7. Nguyen TV et al., Sex differences in bone mass acquisition during growth: the Fels Longitudinal Study. J Clin Densitom. 2001 Summer;4(2):147-57.

 

 

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体成分改善に効果的な運動頻度は?

運動は健康増進やダイエットなどの体成分改善に必要不可欠です。運動の必要性を分かっていても、「どのような運動をすれば良いのか?」「週に何回運動をするのか?」具体的に計画を立てる際につまずく人も多いかと思います。毎日がむしゃらに運動を行えば、運動の効果はすぐに出てくるのでしょうか? 今回は体成分改善と運動頻度の関係性について確認してみましょう。


体成分改善の目標と運動の関係

頻度について話す前に、体成分改善の目標と適切な運動について簡単に確認してみましょう。一般的に運動は有酸素運動と筋トレ(無酸素運動)で分けることができ、有酸素運動は体脂肪量の減少に、無酸素運動は筋肉量の増加に効果的と言われています。しかし、どの運動も片方だけに効果があるわけではなく、より効果的であるという考え方が正しいと言えるでしょう。従って、体脂肪量と筋肉量のどちらも改善を目的としている場合は有酸素運動と筋トレの割合を調節しながら自分の目標に適した運動計画を立てる必要があります。また、運動と食事管理を並行しながら体成分の変動を定期的に確認し、有酸素運動と無酸素運動の割合やトレーニング部位を変えるなどの工夫も重要です。

勿論、運動を日常化することは良いことですが、だからと言って毎日高強度の筋トレを続けるのが良いとは言い難いです。筋トレの場合、毎日行うと疲労ばかりが蓄積されてかえって筋肉量を減らす結果となる恐れもあります。そのため、運動効果を高めるためには適度な休息を入れることで筋肉を超回復させなければなりません。
※ 筋肉増加と休息の関係について詳しく知りたい方は、InBodyトピックの「疲労と回復のメカニズム」もご覧ください。

では、体成分の改善に有効な運動頻度は次の中どれでしょうか?
① 週5日
② 週3日
③ 週2日

ここからは上記3つの運動頻度の理論とその効果について説明します。

⓵週5日プランの理論と効果
週5日プランは平日運動し、週末に休息日を取り入れる方法です。週5日プランの特徴は「トレーニング部位を分けて計画を立てる」ことです。運動部位を分けることで前日に鍛えた部位は休ませ、その間に他の部位を鍛えることで筋肉の回復時間の確保と運動の継続を両立させるという理論です。次は週5日プランの計画例です。

【週5日プランの運動計画例】
月曜日: (背中と上腕)背筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋
火曜日: (胸と腹部)胸筋・腹筋
水曜日: (肩)広背筋・三角筋・ローテーターカフ
木曜日: (大腿と下腿)大腿四頭筋・ハムストリングス・ヒラメ筋
金曜日: (腰部)腸腰筋・大殿筋
土曜日: 休息
日曜日: 休息

これはあくまで一つの例で、部位の分け方を変えたり、5日のうち1日は有酸素運動にしたりなど自由に構成できますが、「ほぼ毎日」「違う部位を運動する」がポイントです。このように、週5日プランでは体を5つに分けて毎日違う部位を鍛え、一度鍛えた部位は残り6日にかけてゆっくり回復させるという理論を基にしています。

この方法は一見、毎日違う部位を鍛えながら十分な休息も取れる効率的な方法のように考えられます。しかし、最近の研究ではこの方法は思ったより筋肉量を増加させないことが分かりました¹⁾。特定部位の筋肉量を増やすためには同じ部位の筋トレを週2回行う方が望ましいという研究結果が報告されたのです。勿論、週5日プランが運動を習慣化させて健康増進に役立つことは間違いありませんが、筋肉量を増やすことが主な目的である場合は他の方法を検討したほうがいいかもしれません。

⓶週3日プランの理論と効果
週3日プランは普段の生活が忙しく、運動できる日を多く確保するのが難しい人にとって、選択しやすい方法でしょう。また、運動があまり好きでない人でも週5回プランに比べると、週3回プランの方はあまりストレスを感じずに継続できます。毎日運動すると計画を立てた後に運動計画を守れなくなって、そのまま運動を諦めてしまった経験がある方は少なくないでしょう。しかし、週3日プランであれば多少計画がずれても本来の計画を修正して対応できるため、諦めずに続けやすくなります。

週3日プランの特徴は、上半身または下半身でより鍛えたい部位を週2回運動するスケジュールを組んだり、「全身筋トレ-有酸素運動-全身筋トレ」のような組み合わせを作ったりすることで、効率的に体を鍛えられることです。しかし、週3日だと体成分を改善させるには運動頻度が少ないと感じる方や、高強度で運動する必要があるのではないかと心配される方がいるかもしれません。

大学生における週3日プランの効果を検討した研究²⁾では、運動強度に関係なく週3日の運動が除脂肪量を有意に増加させており、体成分を改善させるには週3日でも十分であることが示されました。このように、週3日プランは体成分の改善効果もありながら、あまりストレスを感じずに持続できる方法と言えます。

⓷週2日プランの理論と効果
週2日プランというと体成分改善の効率的な運動頻度としては不十分で、その効果は良くて健康維持程度だろうと思われるかもしれません。週5日が厳しすぎて続けられるか心配になる頻度であれば、週2日は運動することを忘れてしまいそうなほど少ない気もします。週2日プランは体成分を改善する効果があるのでしょうか。

週2日プランの効果を検証した研究³⁾では、週2日プランを20週間行い、体成分の変化を確認しました。その結果、筋肉量が有意に増加する結果が示されています。ただ、この研究には重要なポイントが一つあります。それは「全身運動をした場合」に体成分が有意に改善したということです。週5日プランの説明で述べたように、筋肉が成長するためには週2回同じ部位を鍛える必要があり、週2日プランでこれが全身にかけて行われていたため体成分が有意に改善したと考えられます。つまり、週2日の頻度で筋肉量を増やしていくには、1日で全身の筋肉を鍛えられる筋トレや全身運動を組まないとその効果を期待できないかもしれません。


終わりに

運動頻度に関わらず、定期的な運動は体成分改善の効果が期待できます。これは週何日運動をするかではなく、”継続すること” が重要であることを示します。週5日運動すると意気込んでも、仕事が忙しいなどの理由から途中で諦めてしまっては何も得られません。週2日でも継続することで、いつかは “体成分改善” というゴールに辿り着けるでしょう。他人のやり方を無理してマネすることより、自分のライフスタイルに適した方法を探して続けることが大事です。まずは今のあなたに適している運動頻度を見つけて、運動を継続していきましょう。

 

参考文献
1. Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Effects of Resistance Training Frequency on Measures of Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2016 Nov;46(11):1689-1697.
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3. Calder AW, Chilibeck PD, Webber CE, Sale DG. Comparison of whole and split weight training routines in young women. Can J Appl Physiol. 1994 Jun;19(2):185-99.

 

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体水分均衡の特徴と重要性

日常的に体成分測定をされる方で、筋肉量と体脂肪量を確認している方は多いと思います。確かに両者は馴染みがあり、誰でも理解しやすい項目ですが、体成分測定で見逃してはいけない項目が他にもいくつかあります。その代表的な項目が体水分量や体水分均衡です。成人における体水分は体重の約6割を占める成分であり、健康状態を評価する上でとても大切です。体水分均衡は浮腫や痩せの指標としても活用されている項目です。今回は人体における体水分の役割とそのバランスの重要性についてお話します。


体水分率とは ?

体水分は体に存在する水成分(H₂O)を意味し、主な役割は酸素や栄養分を細胞に届け、老廃物を尿として排出することです。また、体温が上がったときは皮膚表面の血管に血液を集め、熱を逃がすための発汗を促すことで体温を一定に保ちます。

体重に対する体水分量の割合を体水分率と言います。年齢、性別、日々の運動量によって個人差はありますが、胎児では体重の約90%、新生児では約75%、子供では約70%、成人では約60~65%、高齢者では約50~55%が体水分で占められています。成長するに従って体水分の割合が減る理由は、水分を殆ど含まない体脂肪の割合が増えるためです。また、一般的に男性よりも女性の方が体脂肪量は多いので、男性の体水分の割合は女性より高いです。一方、体水分量は加齢に伴って減りますが、これは老化によって細胞内の水分が減少することが原因です。体水分率は水分摂取量、身体活動量、体調などで変動しますが、人体は常に一定の体水分量を保とうとするため、1日の水分摂取量と排出量はほぼ一致します。

体水分は筋肉の主な構成成分であり、体水分量が多い人は筋肉量も多いです。そのため、体水分率の増加=筋肉量の増加による体成分の改善と思われがちですが、浮腫みによっても体水分は増加するため、必ずしも体水分率の増加が健康の改善を意味するわけではありません。従って、現在の体水分状態が良好な傾向であるかどうかを判断するためには、体水分率ではなく体水分均衡を確認する必要があります。体水分均衡とは細胞内水分と細胞外水分のバランスを意味し、InBodyの細胞外水分比(ECW/TBW)という項目で確認できます。この指標が表していることや、水分バランスを整えることの重要性を理解するためには、まず細胞内・細胞外水分について知る必要があります。
※細胞外水分比は、InBody470/270以外の機種で測定できます。


水分バランスとは ?

体内の純粋な水成分である体水分(Total Body Water; TBW)は、細胞膜を隔てて細胞内水分と細胞外水分に分けることができます。
➤細胞内水分量(Intracellular Water; ICW)
ICWは細胞膜の内側に存在する水分であり、健康な人体におけるICWの割合はTBWの約62%です。ICWの主な役割は細胞膜の外側まで運ばれてきたエネルギー源を細胞小器官まで届けることです。

➤細胞外水分量(Extracellular Water; ECW)
ECWは細胞膜の外側に存在する水分であり、血液、間質液、細胞通過液、リンパ液などが該当します。健康な人体におけるECWの割合はTBWの約38%です。ECWの主な役割は細胞へ栄養素や酸素を運搬したり、細胞内の代謝過程でできた老廃物を細胞外に運び出したりすることです。

両者の間では常に水分・栄養・酸素などの行き来がされており、お互いの均衡を保とうと働いています。その均衡を表す指標が細胞外水分比(ECW/TBW)で、TBWに対してECWが占める割合を意味します。健康な人の水分バランスは常に細胞内水分と細胞外水分を62対38で維持するので、ECW/TBWは0.380前後が計測されます。この値は大量の水を摂取したからといって、大きく変動することはありませんが、何かしらの原因で水分バランスが崩れるとECW/TBWは標準よりも高くなります。


体水分の測定方法

体水分状態を確認する方法は2つあります。

➤重水と臭化ナトリウムによる希釈法
希釈法とは体水分中に自由に拡散する性質の成分を経口摂取し、一定時間後に採取した尿から摂取した成分の濃度を測定することで、体水分を算出する方法です。TBWを測定する際に用いられる成分は重水(D₂O)、ECWは臭化ナトリウム(NaBr)です。この希釈法はTBWやECWを最も正確に測定できる方法(ゴールドスタンダード)として認識されています。しかし、体内に存在しない成分を経口摂取するという侵襲的な方法は、時間と手間がかかり且つ専門的な知識・技術が必要なので、気軽に測定することは難しいです。

➤生体電気インピーダンス分析法(BIA法)
一方で、非侵襲的で気軽に測定できる方法としてBIA法があります。BIA法は、人体に微弱な電流を流し、その際に発生する抵抗値(インピーダンス)から体水分を測定します。直接部位別多周波数BIA法(DSM-BIA法)を用いるInBodyは、両腕・体幹・両脚ごとのICWとECWを測定することができるので、部位別に水分バランスを把握することができます。
※BIA法の詳しい測定原理については、「InBodyの技術」ページをご参照ください。


水分バランスが健康に及ぼす影響

水分バランスが崩れてECW/TBWが高くなる要因は大きく2つあり、それぞれが健康に及ぼす影響は次のようなことが挙げられます。

パターン①:細胞外水分量(ECW)が増えてECW/TBWが高くなる
➤炎症
怪我によって発赤したり、腫れて痛みを感じたりする現象を炎症と呼び、血管の拡張や血流の増加などの影響で炎症部位のECWが増加します。一過性の急性炎症は比較的早く回復するので、ECWの増加も一時的なものとして観察される反面、慢性炎症は細胞ストレスや機能不全によって引き起こされるので、ECWの増加が長期に渡って続きます。慢性炎症状態が長引くほど、肝疾患、心疾患、がんなどの深刻な病気に繋がる恐れがあります。

➤腎疾患
腎臓の主な役割は血液をろ過して体内で生成されるナトリウムなどの老廃物を取り除くことです。腎臓の機能が低下している人が塩分を多く含む食事を摂取すると、ろ過機能が低下した腎臓は老廃物を水分と一緒に排泄しきれなくなります。そして、排出されなかった老廃物と水分は体内に溜まり、浮腫みを発生させます。排出されずに溜まった水分はECWに該当するので、ECW/TBWは増加します。腎機能低下による浮腫みは体重の増加、血圧の上昇、心不全や脳卒中のような合併症リスクを増加させるなど、様々な健康問題を引き起こします。

➤肥満
肥満はECWも増加させます。内臓脂肪が増加すると血圧やECWに影響するホルモンの調節機構(RAA系)が活発になり、血圧は上昇してECWも増加してしまいます¹⁾。また、過剰な体脂肪は血管を圧迫して血流を悪くするので体内に余分な水分を溜めてしまいます。

パターン②:細胞内水分量(ICW)が減ってECW/TBWが高くなる
➤サルコペニア
体水分量は加齢に伴って減少する傾向があります。ECWとICWの両方が減少していきますが、ECWに比べてICWの減少率が大きいので、結果的にECW/TBWは高くなります。これは水分をたくさん保持している筋肉量が減少することに起因します。このような加齢による筋肉量や筋力の低下をサルコペニアと言い、様々な疾患のリスクや重症度を高める因子とされています。例えば、2型糖尿病は体脂肪量の増加だけが原因で発症すると認識されがちですが、実は筋肉量の減少に伴うインスリン抵抗性(糖を体に吸収するインスリン作用が十分に働かない状態)の増大でも発症リスクは高まります²⁾。また、動脈硬化(動脈が硬くなって血管の流れが悪くなる状態)は生活習慣病だけでなく、下半身における筋肉量の減少も要因の1つであることが明らかになっています³⁾。
※サルコペニアについては、トピック「サルコペニアの理解に必要なこと」もご参照ください。

これとは逆に、ICWが増加することでECW/TBWが標準より低くなることもあります。これは水分バランスが崩れているわけではなく、むしろ筋肉が引き締まっている状態を意味します。筋肉は筋肉細胞の数が増えたりICWの増加に伴って肥大したりすることで、筋繊維のサイズが大きくなり成長していきます。この筋肉とICWの関係性は研究でも明らかになっており⁴⁾、ECW/TBWは筋肉の質の指標としても使えることが分かります。例えば、筋肉量が比較的多い運動選手や若い男性のECW/TBWは標準値より低くなる傾向があります。


終わりに

適切な水分バランスを保つことは健康においてとても重要なことです。特に持病もなく、栄養バランスの良い食事と定期的な運動をしている人は水分バランスが崩れることは殆どありません。しかし、何かしらの原因でECWが過剰に増えたり、ICWが減少したりして水分不均衡が起こっている場合は、その原因によって対処法は変わってきますが、ECW/TBWをモニタリングしながら改善していく必要があります。

体水分均衡(ECW/TBW)は筋肉量や体脂肪量と同様に体成分を評価する上では欠かせない指標です。水分バランスの項目を提供する機種で測定された際は、ぜひこの項目も確認してみましょう。

 

参考文献
1. Christiane Rüster et al., The role of the renin-angiotensin-aldosterone system in obesity-related renal diseases. Semin Nephrol. 2013 Jan;33(1):44-53
2. Noboru Kurinami et al., Correlation of body muscle/fat ratio with insulin sensitivity using hyperinsulinemic-euglycemic clamp in treatment-naı¨ve type 2 diabetes mellitus. diabetes research and clinical practice 120 (2016)65–72
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4. Alex S Ribeiro et al., Resistance training promotes increase in intracellular hydration in men and women. Eur J Sport Sci. 2014;14(6):578-85

 

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すべての女性が筋トレを行うべき科学的根拠

健康に関する目標を尋ねた時に、”体重(体脂肪量)の減量” ではなく ”筋肉量の増加” と答える方は、女性の中でどれくらいいるのでしょうか? 本当の意味での健康体とは、一体どのような体型を指すのでしょうか? ただ痩せているだけではなく筋肉で引き締まったスタイルを手に入れるためには、どのようなトレーニングが必要なのでしょうか? 今回のトピックでは、特に女性が知ってほしい筋トレに関する科学的根拠や迷信についてご紹介します。


女性は筋トレを避けるべきという迷信

筋トレに関する様々な迷信や誤解があります。これらの中には、女性がウエイトトレーニングや高負荷トレーニングを行わないよう推奨しているものもあります。次に紹介するのは一般的に広まってしまっている3つの迷信です。

迷信1:ウエイトトレーニングを行うと、ずんぐりとした体型になる
多くの女性はウエイトトレーニングなどの筋トレが体重増加やずんぐりとした体型に繋がるため、男性だけが行うべきトレーニングと考えています。確かに、筋トレを行うと筋肉量(除脂肪量)の増加によって体重が増える可能性があります。しかし、筋肉は脂肪よりも密度が高いので増加しても思うほど見た目は太くならず、むしろ引き締まった体型になります。また、筋トレによって筋肉が増加しても同量の体脂肪を減らせば、体重は変わらずボディラインはよりスリムになるため、実際の体重より痩せて見えることもあります。筋肥大を目的として高強度トレーニング(1RMの75%以上強度, RM:最大挙上重量, 反復回数4-12RM)ばかりを行わない限り男性のように筋肉が強調されてムキムキになることはありません。ダイエットまたは健康増進を目的とした筋トレの負荷程度では筋力と筋持久力の向上が主な効果として得られますが、そこまでの筋肥大は生じません。

つまり、筋トレで太って見えるようになることはなく、筋肉量が多いほど時間の経過とともに消費できるカロリー(燃焼する体脂肪量)も多くなるなどのメリットもあるため、将来的に体成分が良くなるための投資と考えてください。「健康」の定義は人それぞれですが、体重だけを基準にせず、見た目の体型や気分、そして筋肉量をはじめとした体成分の数値などの様々な基準で、健康を測ることができます。
※消費エネルギーに関する調整法など詳しく知りたい方は、InBodyトピックの「体脂肪減量に関する5つの迷信」もご覧ください。

迷信2:軽い重さでは効果が得られない

女性を対象に3つの筋トレ方法(高強度低反復vs中強度中反復vs低強度高反復)の効果を調べた研究では、トレーニング方法の違いに関係なく全ての方法で筋力と筋肉量が増加したことが報告されています¹⁾。体重の2倍ものバーベルを持ち上げたり、頭のサイズほど大きいダンベルをカールさせたりする必要はなく、軽い重さでも反復回数を調整すれば、筋トレの効果は十分得られます。

迷信3:筋トレは高齢者に適さない
筋肉の喪失を意味する「サルコペニア」は老化過程で発生する自然な現象ではありますが、高齢者だけが直面している問題ではありません。40代後半から筋肉量は徐々に減少していくことが報告されていますが²⁾、女性の中には30代後半から段階的に減少していく人もいます。このように若い内から筋肉量や筋力が低下していくことは、老化のプロセスではなく活動量が少ないことに起因します。

加齢や活動量低下によって筋肉量が減少していくにもかかわらず、中年女性や高齢女性では筋トレに抵抗意識を持つ人が多いです。トレーニングや身体活動をしない期間が長くなると、”年を取りすぎて、もう重いものは持てない” という誤った認識から、筋トレで自身の体力レベルを改善することに消極的になってしまいます。

しかし、勉強と同じく、筋トレも”始めるには遅すぎる” “年齢制限がある” というものではありません。筋トレの効果を得るには “若くなければいけない” ということはありません。高齢者が対象であっても、筋トレの効果が認められた報告はいくつもあります。
※高齢者にもお勧めできるトレーニングなどもう少し詳しく知りたい方は、InBodyトピックの「筋トレに年齢制限なし」もご覧ください。


筋トレがもたらす様々な利点

筋肉量(除脂肪量)を増やして体成分を改善することは、見た目が健康的になること以外にもいくつかの利点があります。

➤骨・関節への効果
運動習慣がない成人は、10年ごとに3~8%もの筋肉量が減少するという研究もあります。筋トレを行うことは骨格筋の減少を防ぐだけでなく、内臓脂肪の減少・HbA1cの減少・安静時血圧の低下・心血管の健康増進等の利点があります。また、筋トレは骨の発達を促進することから、骨密度の増加や腰痛・関節炎の軽減などにも効果的であると報告されています³⁾。特に女性は更年期以降、骨粗鬆症のリスクが一層高まるので、筋トレで除脂肪量を増やして予防するという意識も必要です⁴⁾。

➤精神的な効果(不安やストレスの軽減)
面白いことに、筋トレにはリラックス効果やストレス・不安の緩和効果もあります。筋トレとストレス軽減に相関関係があることを報告した研究では、筋トレの強度は低-中強度(1RMの70%以下強度, RM:最大挙上重量, 反復回数12RM以上)が最適であるとしています⁵⁾。


最適な筋トレの頻度

筋トレを効果的に行うためには筋肉を休ませる時間が必要で、その時間は運動負荷の程度によって異なります。運動後の休息期間に起こる修復のリバウンドを超回復と言いますが、超回復には運動後24~48時間ほどの休息が必要です。運動負荷が大きい場合は48~72時間の休息が必要です⁷⁾。つまり筋トレの頻度は週に2-3回が最適であると言えます。
※超回復に関する詳しい説明は、InBodyトピックの「疲労と回復のメカニズム」をご覧ください。

例えば週に2回、上半身(肩・胸・お腹周り・背中・腕など)と下半身(お尻・太もも・ふくらはぎなど)を交互に実施すれば、全身の筋肉をバランス良く鍛えることができます。筋トレ初心者は、エクササイズバンドや軽いダンベルを使用するトレーニングを週1回実施することから始めてみましょう。また、スクワット・腹筋・腕立て伏せ・ぶら下がりなどの自重トレーニングを隔日で行うことも効果的です。


終わりに

今回は筋トレの重要性に焦点を当ててお話ししましたが、スリムで引き締まった健康的なスタイルは、筋トレだけでなく有酸素運動も組み合わせて習慣化することで実現できます。まずはトレーニングプランと目標設定から決めていきましょう。体成分測定ができる環境のある方は、定期的な測定も忘れないでください。これからトレーニングを始めるにあたってInBody測定を検討されている方は、当ホームページで公開している「InBody測定ができる施設」のページからお近くの施設を検索してみてください。

体重計に縛られる目標は止めて、筋肉量(除脂肪量)の増加を目標設定に取り入れてください。筋肉量の増加という観点を持てば、筋トレの効果も正しく測定できるでしょう。体重が増えたことで落ち込むこともなくなり、筋肉量が増えたことが喜びとなります。筋トレを試したことがない、または今までなかなかダイエットに成功したことがない方は、今が行動するチャンスです。外出し辛い時期が続きますが、自重トレーニングや軽いダンベルを使った筋トレは自宅でも実施可能です。まずは一歩踏み出してみましょう。

 

参考文献
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4. Geun Ou Shin et al., Comparison of Body Components and Mineral Mass between Women with Osteoporosis and Non osteoporosis Postmenopausal Women. J Korean Acad Fam Med 2002, 23, 7:934 941
5. Justin C. Strickland and Mark A. Smith, The anxiolytic effects of resistance exercise. Front Psychol, 2014; 5: 753

 

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今さら聞けない、体組成計のあれこれ: 測定値の理解を深めるためのQ&A

このトピックの前編を見逃している方は、こちらもご覧ください☞「今さら聞けない、体組成計のあれこれ: 正しい測定方法


測定時の注意事項を守って測定しても、得られた測定結果に疑問を抱くこともあるかと思います。今回は、測定結果に関するよくある質問をまとめてご説明します。


Q. InBodyと他社の体組成計で測った体脂肪率が違います

体脂肪率とは、体脂肪量を体重で割った値で、体重に対して体脂肪量が占める割合を表しています。メーカーによって測定される体脂肪率が異なる理由をお話しする前に、まず体組成計における体脂肪量の求め方について簡単にご説明します。全ての体組成計は手や足の電極から体に微弱な電流を流し、最初に体水分量を求めます。それを基に筋肉量や除脂肪量(体脂肪以外の量)を求め、最後に体重から除脂肪量を差し引いて体脂肪量を求めるため、体脂肪量の変化は「除脂肪量(体水分量)の変化」もしくは「体重の変化」があった時に見られます。これを踏まえて、InBodyと他の体組成計で測定される体脂肪率が異なる理由をご説明します。

➀測定タイプの違い
InBodyと比較している体組成計は両脚で乗る測定タイプでしょうか? それとも両脚で乗って、手で電極を握る測定タイプでしょうか? 前者の場合、電流は下半身にしか流れず、体幹や腕の筋肉量、全身の体脂肪量などは下半身の結果に基づいて推定されます。例えば、下半身の筋肉量が多い方が脚だけ測定するタイプを使用すると、体幹や腕の筋肉量も脚と同じくらい多いと見積もられ、全身の筋肉量は実際よりも過大評価されます。一方で、下半身と比べて上半身の筋肉量が多い方が同じ測定タイプの体組成計を使用すると、全身の筋肉量は実際よりも過小評価されます。そして、体脂肪量は体重から除脂肪量を差し引いて求めるため、筋肉量(除脂肪量)が正しく測定できないと体脂肪量も正確に求めることができません。

筋肉の発達度合いは部位毎に異なり、更に個人差もあるため、体の一部だけを測定した情報から全身の体成分を推定するのではなく、各部位を個別に測定する必要があります。その点、InBodyは業務用・家庭用共に、全身を四肢と体幹に区分して測定しています(家庭用のInBody Dialの測定結果は、全身情報のみが提供されます)。
※詳しくはInBodyトピック「BIA技術の限界と克服 Part1: 技術の黎明」もご覧ください。

➁測定値算出方法の違い(統計補正の有無)
測定タイプがInBodyと同じであっても、他の体組成計とInBodyは大きく違う特徴があります。それは統計データで測定値を補正している点です。これを統計補正と呼びます。


統計補正とは、入力した年齢・性別・人種などを考慮した固定値を体成分の算出式に組み込むことです。InBody以外の体組成計は殆ど、この統計補正を使用しています。例として、若者は高齢者より筋肉量が多い、男性は女性より筋肉量が多いなどの統計データが体成分の算出式に組み込まれているため、同一人物を測定しているにも関わらず、機器に入力する年齢・性別情報を変えたり、測定モード(アスリートモードなど)を変えたりするだけで結果が変わってしまいます。このように、統計補正を使うと算出された体成分は一般的な傾向と似たような値として算出され、測定者の本来の体成分が100%反映されなくなってしまいます。統計補正を使用している体組成計かどうか判別する方法は、年齢・性別情報を変えたり、測定モードを変えて連続で測定し、体成分が変化するか確認してください。同一人物で何も変化していないのに筋肉量が増減することに違和感を覚えると思います。

統計補正は一般的な体型の方の測定精度を高めることを目的に取り入れられた技術であるため、一般健常者のデータを用いることが多いです。しかし、同じ年齢・性別の方でも体成分が全く同じ人はおらず、統計データによる補正はかえって誤差として測定結果に影響を及ぼしてしまいます。更に、統計補正は入力した情報によって測定値がある程度固定されてしまうので、筋肉量や体脂肪量の変化を敏感に追うことが難しくなります。

一方、InBodyは統計補正を使用しておらず、電流を流した際に測定される電気抵抗値(インピーダンス)・身長・体重の3つの情報のみで測定値を算出しているので、測定者のありのままの体成分を知ることができ、僅かな体成分の変化も敏感に追うことができます。

➂着衣量の設定
使用された体組成計は着衣量を設定できるものでしょうか? 業務用InBodyは事前に着衣量を設定することができ、自動的に測定体重から設定した重さが差し引かれます。しかし、この設定ができない体組成計を使用したり、着衣量以上の上着や装飾品を身に着けていたりすると、その分体重が重くなり、その差は体脂肪量として反映されます。正確に体脂肪量や体脂肪率を測定したい場合は、着衣量を考慮してできるだけ身軽な状態で体重を測定することをお勧めします。


Q. InBodyはメジャーを使わずに、どうやって腹部や腕の周囲長を測定していますか?


InBodyは電気抵抗値(インピーダンス)と身長から体水分量を算出しますが、これを詳しく説明すると、入力した身長を基に四肢・体幹の長さを求め、身体の各部位をそれぞれ凹凸のない均等な円柱と見立て、その体積(体水分量)を計算します。この過程で得られた円柱の円周を基に周囲長を算出しています。しかし、各部位のくびれの位置は個人差があり、インピーダンスだけではその位置を特定できないため、メジャーによる実測値とInBodyの推定値が一致しない方もいます。但し、メジャーによる実測は測る人によってメジャーを当てる位置や力の入れ具合が異なるので、値にバラつきが出る可能性があります(ヒューマンエラー)。しかし、InBodyの周囲長はインピーダンスという人為的に変えられない値から算出しているため、数値の変化をモニタリングする形で活用できます。

※InBodyの腹囲はおへそ周りを基準に算出されています。


Q. 筋力がアップしたのに、筋肉量が増えません

確かに、筋力と筋肉量はある程度の相関がありますが、変化が同時に現れるわけではありません。筋力は比較的短期間の筋トレでも効果が期待できて変化もすぐ現れますが、筋肉量は十分な栄養摂取によって筋肉の重さを増やす必要があるため、どうしても変化が現れるまで時間がかかります。運動を始めて間もない頃は筋力と筋肉量の変化の違いに違和感を覚えるかもしれませんが、運動と食事管理を継続することでどちらも増加させることができます。


Q. 一日のどの時間帯に測定した方がいいですか?

体内の水分は常に循環しているため、朝・昼・夜それぞれの測定値が変化するのは当たり前です。また、午後になると体水分は重力の影響で下半身に移動する傾向があるため、測定は比較的水分分布が一様である時間帯の朝~午前中が望ましいです。

最も重要なことは毎回の測定条件をできる限り揃えることです。例えば、初回のInBody測定が夕方だった場合、次回以降も同じ時間帯に測定することで筋肉量や体脂肪量の増減をより正しく確認することができます。もし、次回の測定を午前中や昼食後などに変えてしまった場合、筋肉量や体脂肪量の変化が水分分布の変動や直前の食事の影響によるものか、運動の成果によるものかの判断が難しくなってしまいます。

何気なく測定することが多い体組成計ですが、普段の運動や食事管理の成果を正しく確認できるよう、今回のトピックを是非参考にしてみてください。

このトピックの前編を見逃している方は、こちらもご覧ください☞「今さら聞けない、体組成計のあれこれ: 正しい測定方法

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今さら聞けない、体組成計のあれこれ: 正しい測定方法


多くの方が新生活を始める春は、何か新しいことを始めるのに適した時期でもあります。心機一転してジムに入会したり、ウォーキングやランニングを始めたりする方も多いでしょう。運動を習慣づけるとき、体成分を測定して自分の努力を確認するのはモチベーション維持に役立ちます。最近は、体組成計が一家に1台あることも珍しくなく、自宅で気軽に筋肉量や体脂肪量を測定することができるようになりました。

業務用InBodyも家庭用体組成計も、測定方法は同じ生体電気インピーダンス分析(BIA)法を採用しており、体内に微弱な電流を流すことで体成分を求めています。そのため、測定方法が正しくないと、体成分の変化を正確に追うことは難しくなります。今回はInBodyを含む全ての体組成計で共通する、測定に関する注意事項をお話しします。ご自身の体の変化を正しく確認するために、是非参考にしてください。


測定してはいけない方

心臓ペースメーカーのような植え込み型医療機器、もしくは生体情報モニタのような生命維持に必要な医療機器を装着されている方は測定しないでください。BIA法を用いる体組成計は測定中に微弱な電流を体内に流しているため、体内の機器が何らかの影響を受ける恐れがあります。また、心電図など生体情報のモニタリング中に測定すると、電流が生体信号と一緒に拾われるのでモニタの波形が一時的に乱れてしまいます。BIA法で使用する電流は人体に対する安全性が証明されており、長年活用されているにも関わらず全世界で1件の医療事故も報告されていない極めて安全な測定方法です。そのため、間違って上記のような方を測定してしまったとしても慌てることはなく、様子を見ていただき次回からは測定しないようにしてください。


測定前の注意事項

InBodyをはじめとする全ての体組成計は最初に体水分量を測定し、それを基に筋肉量や体脂肪量を算出しています。そのため、常に体内で循環している体水分量を正確に測定することが、他の測定値の精度に直結します。正確に測定するためには、測定前の注意事項を守っていただくことがとても重要で、InBodyの公式YouTubeチャンネル内の動画でもご紹介しています。

ここでは、動画内で挙げている注意事項をいくつかピックアップしてご紹介します。
➤立位で測定する場合は5分くらい起立してください
長時間横になっていたり、座ったりした状態から測定を行う直前に立ち上がると、体内の水分が重力の影響で下半身に移動します。姿勢を変えた直後の水分移動は平常時よりも激しく、測定値に影響を及ぼしてしまうため、水分の移動が落ち着くまで5~10分ほどの安静時間を取ってから測定します。

➤運動後・シャワーや風呂後の測定を控えてください
運動や風呂などで体温が上がると血流が良くなり、安静状態の体水分に比べて体水分の移動が激しくなり、測定値に影響を及ぼします。正確な測定結果を得るためには、血流が落ち着いた状態(運動前・シャワーや風呂前)での測定を心がけましょう。

➤測定前は食事を控えて、トイレを済ませてください
電流が流れない位置に存在する水分は、水分として測定されないため筋肉量には影響しませんが、重さは体重に影響を及ぼすので、体脂肪量として測定されます。消化器官に残っている飲食物、体内に残っている便や尿、妊婦さんのお腹の中の胎児や羊水などがこれに該当します。そのため、測定前はできる限り胃腸や膀胱内を空っぽの状態にすることで体脂肪量をより正確に把握できます。また、食事直後は消化器官の動きが活発になることで測定値が影響を受ける可能性があるため、食後に測定する際は消化器官の動きが安定するまで最低2~3時間空けて測定するようにしましょう。
※妊婦さんの測定データについてはトピック「妊娠中の体成分モニタリング」をご参照ください。

➤皮膚が乾燥している場合はウェットティッシュで拭いてください
電極と接触する掌や足裏などが乾燥していると、体内に電流がうまく流れず、測定が正しく行われない可能性があります。その場合、ウェットティッシュで電極が触れる部分の肌を十分に湿らせてください。使用するウェットティッシュはアルコール成分を含まないものを選んでください。アルコール成分は揮発性が高いので、かえって皮膚を乾燥させてしまいます。


測定中の注意事項


今まで測定前の注意事項についてご説明しましたが、測定中にもいくつか注意すべき点があります。ここからは測定時及び測定中に注意する内容をご紹介します。

➤正確な身長を入力してください
身長は体水分の算出に必要不可欠な情報です。BIA法では体内に電流を流した際に発生する電気抵抗値(インピーダンス)と入力した身長から体水分を算出するため、正しい身長を入力しないと全ての測定値が不正確になります。

➤正しい測定姿勢を取ってください
測定中は下図のような姿勢を維持してください(機種によって測定姿勢は異なります)。特に、腕と体幹、太もも同士が接しないように気を付けてください。電流は短い距離を流れようとする性質があるため、接触している部分があると電流の経路が変わってしまい、測定値が影響を受ける可能性があります。筋肉がとても発達している方でどうしても太もも同士が触れ合う場合は、厚手のタオルのような絶縁体を挟むことで接触による影響を防止することができます。

➤測定中に動いたり、喋ったり、笑わないでください
測定中はほんの僅かな体の動きが電流の流れを乱し、測定値に影響を及ぼす可能性があります。しかし、喋らない・笑わないは意識できますが、くしゃみや咳を我慢することは難しいため、もし測定中に起こってしまった場合は再測定することをお勧めします。

普段の測定で注意していただいている項目もあったかと思いますが、今回のトピックを機にこれらの注意事項を守れていたか是非見直してみてください。実際に全ての注意事項を守ることは難しいかもしれませんが、できるだけ多くの項目を守ることで測定の精度を高めることができます。

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体成分と食事回数の関係 Part2: 実践編

このトピックの前編を見逃している方は、こちらもご覧ください☞「体成分と食事回数の関係 Part1:生理学

目標とした体成分に到達するために有用な方法は食事回数を減らすだけではありません。今回のトピックでは、体成分改善に効果的な食事コントロールの例として、朝食や断食の効果をご紹介します。


朝食の重要性


朝はゆっくりとできる時間もなく、朝食を摂らないという人も少なくはないでしょう。しかし、健康的な朝食を摂ることが体重の減量と間食を減らすことに役立つという研究結果¹⁾もあり、朝食を摂ることは減量または体重維持に有効な習慣です。また、高タンパクの朝食を摂ることで間食や甘いものに対する食欲が減少したという研究結果もあります²⁾。この研究では朝食を摂った人が摂っていない人よりドーパミン濃度が高く示されています。

好きなことをしていて幸せな時や、重大なことを無事に完了して達成感を味わっているとき、空腹を忘れているような経験をしたことはありませんか? この時に脳で分泌されるホルモンがドーパミンです。空腹状態で甘い物を食べた時に分泌されるドーパミンは食物依存症に繋がるのに対し、満腹中枢が刺激されている中で分泌されるドーパミンは食欲を抑える効果があります。そのため、満腹感を感じつつドーパミン濃度が更に高くなる高タンパクな朝食を摂ることは、余計なカロリー摂取を抑え体脂肪量の減少にも繋がります。
※食物依存症の詳細はInBodyトピックの「食物依存症と過食 part1: 体への影響」もご覧ください。

また、Gonzalezらの研究では朝食が代謝機能を改善させるという結果も示されています³⁾。これらの研究結果から分かることは、朝からしっかりエネルギーを補充しておくことが体脂肪量減少に役立つという点です。


断食の効果


摂取エネルギーの制限方法として食事回数を減らすことや低カロリー食事をすることが挙げられますが、断食も良く知られている方法です。減量目的でよく耳にする断食方法は断続的断食(Intermittent Fasting)と1日おき断食(Alternate Day Fasting)の2つがあります。

断続的断食には様々な方法がありますが、一番やりやすいのは16:8断食と言われるものです。これは1日のうち、8時間だけ食事をする時間を設けて残り16時間は食事をしない方法です。理論上、8時間の間で2食(朝食と昼食/昼食と夕食)を摂ることができるので、毎日行うこともできます。1日おき断食も断続的断食と似たような方法ですが、断食の時間がより長いです。1日おき断食は36時間断食して次の12時間で食事をする方法です。

どの方法も減量には効果的という研究は多々ありますが、断食の難しいところは全く食事をしない時間帯があるため、長期間持続するのが難しいという点です。また、断食の減量効果は摂取カロリー制限とあまり差がなかったとの研究結果もあるため⁴⁾、個人の生活パターンや目標とする期間などを考慮して、自分に合う方法を選択する必要があります。


減量のポイントは「カロリー赤字」


体重や体脂肪量の減少を目的とする場合、断食や食事回数の調節は有効な方法ですが、これらの方法がどういう状態になるための手段なのかを忘れてはなりません。減量において最も重要なのは「カロリー赤字」の状態になることで、断食も食事回数の調節もカロリー制限もこの状態になるための様々な手段にすぎません。ある研究では、食事回数とは関係なく、同じカロリー赤字の量であれば同じ程度の体重と体脂肪量の減少を示しています⁵⁾。

ただ、この結果は食事回数の変化が無意味というわけではありません。同じ低カロリーの食事を行った人でも、1日2食の人の方が1日6食の人よりも、体重が減少しています⁶⁾。 重要なのは、食事回数を減らしたとしてもカロリー赤字になっていなければ体重は減らないということです⁷⁾。つまり、食事回数の減少と摂取カロリー制限を同時に行うことでカロリー赤字になりやすく、減量しやすいと考えるべきです。
※カロリー赤字の詳細はInBodyトピックの「体脂肪量減量に関する5つの迷信」もご覧ください。


体重を減らす時に注意すべき点


食事回数を変えて体成分の変化を試みた時、本来意図していなかった結果となる場合もあります。通常であれば、タンパク質はエネルギー源としてあまり使われません。しかし、食事をしない時間が長くなって蓄えていたブドウ糖を使いきった後は多量のタンパク質がエネルギーを作るために分解され始めます。これは断続的断食または1日おき断食が、筋肉の分解という思いもしなかった結果に繋がることもあり得るということです。

一方、筋トレと断食を一緒に行った人は、筋肉量が減少しなかったという研究もあり⁸⁾、断食や食事回数の減少が筋肉量に及ぼす影響に関しては、不明な点もまだ多く残っています。断食中であっても、筋トレと並行しながら、食事のタイミングで十分な量のタンパク質を摂取できれば、筋肉量の減少を防止できるという研究結果から、断食で食事を摂る際は栄養バランスがとても重要であることが分かります。

繰り返しますが、食事回数・食事量・食事内容・摂取のタイミングなど、食事に関する何かしらの変化は、筋肉量の減少を引き起こす可能性があるということを常に考える必要があります。これを防ぐためには、タンパク質の摂取量を十分に確保することや、食事の変化に伴い筋トレメニューを組むなど、運動習慣も含めて計画を立てる必要があります。筋トレによって筋肉量が維持または増加すると基礎代謝量も増加するため、カロリー赤字になりやすいのも適切な筋トレのメリットです。


食事回数の調節に取り組む前に


食事は体に生理学的影響を及ぼし、食習慣は体成分に大きく影響します。食事回数を調整することは、代謝量・消化管ホルモン・満腹感に影響して、目標とする体成分に近づくことにも繋がります。ただ、食事回数を減らすことについて明確な結論は出ておらず、食事回数を減らすことが体重・体脂肪量の減少に有用であるという研究が多く報告されているだけです。食事回数の調節を検討する時は、次の内容を意識して自身の体で合った方法なのかも考えながら、試行錯誤しましょう。

少ない食事回数と体重・体脂肪量の減少は関連している。
体重・体脂肪量を減らすためにはカロリー赤字になることが重要である。
朝食を摂ることは体重の維持・減少に有効であり、高タンパクの朝食は間食や甘いものへの食欲を減らせる。
定期的に運動をすることは筋肉量を維持・増加させ、代謝量にも影響を及ぼす。

食事回数を減らすとき、1食を抜くことで1日2食にすることが一般的であるとはいえ、誰にでも効果があるものではありません。食事回数をどのように調整するかは自分の生活パターンや目標に合わせて決めることが大事です。短期間で魔法のように体成分を変える方法はありません。地道な努力だけが健康と体成分の改善を同時に達成できる唯一の方法です。食事回数を含む食生活の変化は、正しい方法を頑張って継続させた分だけ、成果として現れるでしょう。このトピックの前編を見逃している方は、こちらもご覧ください☞「体成分と食事回数の関係 Part1:生理学

 

参考文献
1. Schlundt DG et al., The role of breakfast in the treatment of obesity: a randomized clinical trial. Am J Clin Nutr. 1992 Mar;55(3):645-51.
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3. Gonzalez JT et al., Molecular adaptations of adipose tissue to 6 weeks of morning fasting vs. daily breakfast consumption in lean and obese adults. J Physiol. 2018 Feb 15;596(4):609-622.
4. Catenacci VA et al., A randomized pilot study comparing zero-calorie alternate-day fasting to daily caloric restriction in adults with obesity. Obesity (Silver Spring). 2016 Sep;24(9):1874-83.
5. Cameron JD, Cyr MJ, Doucet E. Increased meal frequency does not promote greater weight loss in subjects who were prescribed an 8-week equi-energetic energy-restricted diet. Br J Nutr. 2010 Apr;103(8):1098-101.
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8. Moro T et al., Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males. J Transl Med. 2016 Oct 13;14(1):290.

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体成分と食事回数の関係 Part1: 生理学

体重と体脂肪量を減らす計画を立てる時、多くの人は食生活を変えることから試みるでしょう。食生活の改善で「何を食べるか」はとても重要で、普段の食事内容が確認できていないと、どのように改善すればいいのか分かりません。しかし、「1日の食事回数」については深く考えない人が多いのではないでしょうか。アスリートにおいてはパフォーマンスを最も高める食事タイミング及び量に関する研究発表もあります¹⁾。しかし、減量を目標とする一般健常人の場合、食事計画を立てるときに何を考慮すればいいのか分からない方が多いでしょう。

約50年も前に、少量の食事を1日数回に分けて摂る方が、体重・代謝量・代謝機能を良くするという研究発表がありました²⁾。今でも食事を小分けにして1日6食にする方が太りにくいという話はよく耳にする話です。しかし、最近ではこの研究内容が再検討されています³⁾。

少量を数回に分けて1日中食べる方法と、定期的に普通の量を食べる方法、どちらが減量と代謝に効果的でしょうか? どちらが効果的かを考える前に、体がどのように食べたものを消化するのかと、食事回数と量の関係について確認してみましょう。


食事の生理学

食事をすると、次のような生理学的現象が起こります。

➤食事による熱生産(Thermic Effect of Food; TEF)

食事をすると食べたものを消化・吸収するためのエネルギーと血流が必要となり、代謝量が増加します。代謝量が増加するということはエネルギーを消耗して熱を作り出すことを意味し、この現象を「食事による熱生産(TEF)」と言います。一般的にタンパク質のTEFは摂取エネルギーの15~30%、糖質は6~8%、脂質は2~3%程度とされています⁴⁾。ホルモン濃度や体重等によって個人差はあるものの、代謝量は食事後に約25%増加すると言われています⁵⁾。そして、他の要因と比べて代謝量に影響が大きいのは食事量です。多くの食べ物を消化するためにはエネルギーも多く必要であるため、食事量が少なかった時より多かった時の方が代謝量の増加も大きくなります。

➤消化管ホルモンの分泌

食べたものが胃や腸管に入って内壁を刺激すると、脳に信号が伝わりホルモン分泌が促進されます。信号を送るのが胃・腸などの消化器であることから、この作用で分泌されるホルモンを消化管ホルモンと称します。代表的な消化管ホルモンはグレリン・PYY・GLP-1・GIP等があり、それぞれ異なる作用と効果があります。消化管ホルモンは食べたものが胃に長く留まるようにしたり、代謝に重要なホルモンであるインスリンの分泌を促進したり、栄養摂取ができていると脳に信号を送ることで食事の速度を落としたり、満腹感を感じさせることで食事を終えるようにしたりします。消化管ホルモンのうち、GLP-1というホルモンは食事量に比例して分泌されますが、ブドウ糖の体内生産を抑えることや食べたものが胃から排出される時間を遅延させることで満腹感を感じやすくします。

同じものを食べるのであれば食事量がホルモンの分泌量に影響を及ぼすので、食事量が少ないと勿論満腹感も得られにくくなります。満腹感がないことから、食後あまり時間が経っていないうちにまた何か口にしてしまえば、「結局は食事を小分けにしない方がトータルの摂取量は少なかった」なんてことにもなりかねません。

食事から得た栄養素を消化・吸収している間、体はエネルギーや栄養分を貯める「貯蔵モード」に入ります。食後、代謝量が一時的に増加してもしばらく栄養素の吸収は続き、体に予備として貯蔵されます。そして、一般的に食後約4時間で体は「空腹状態」に戻り、次の食事までの間は貯蔵していた栄養素をエネルギー源として使用します。食事を小分けにして1日中食べると代謝量は多少増加しますが、1日の殆どを「貯蔵モード」で過ごすことになります。また、食後の状態が続くことで満腹を感じさせる消化管ホルモンが活発に分泌されなくなり、ずっと空腹を感じてしまうようになる可能性もあります。これらの内容を踏まえ、食事回数と量についてもう少し確認してみましょう。


食事回数と体重・体成分の変化


最初に紹介した研究の結論にある「少量に分けて数回食事を摂ることは、太りにくくすることと関係がある」という部分は、減量を考えている人の間で常識のように思われてきました。最初に決めた摂取カロリーを1日5-6食に分けて摂ると継続的に食欲を抑えることができるので、カロリー制限も続けられて減量しやすくなると考えられていたのかもしれません。しかし、これとは逆の結果を示す研究発表も実は多く報告されています。

ある研究では、食事回数が多い群(8食/日)と少ない群(3食/日)を比較した結果、回数が多い群が空腹を感じやすく、食欲が増加し、満腹感を少なく感じたと報告しています⁶⁾。その理由までは明らかになっていませんが、恐らく食事量と消化管ホルモン分泌量の関係や満腹感に及ぼす影響が原因ではないかと推測できます。

さらに2007年にアメリカで行われた研究では、2ヶ月間食事回数を1日3食と1日1食にした2群を比較した時、1日1食の群で体脂肪量がより減少したと示されました⁷⁾。この研究の食事回数は他の研究とは異なりますが、結果としては食事回数が少ない方が短期間の体成分改善に効果的であることを示唆しています。

食事回数に関した他の疫学研究では、頻繁な食事が過体重と関連していることを示しました。2015年、約2万名を対象としたアメリカの研究では、1日5食以上の場合、過体重または肥満になる可能性が約1.5倍も大きくなることが報告されました⁸⁾。食事回数と体重増加の関係を明確には説明されていませんが、食事回数が多い人たちの殆どが早食いだったとことが共通点で挙げられています。また、約1,000名の男性を10年間フォローアップした別の研究でも、1日3食以上食事をした人の15%以上で、体重が約5kgも増加していることが分かりました⁹⁾。


これらの研究結果から、少ない食事回数は減量または体重増加を抑える直接的な効果があると断言するのは難しいかもしれませんが、食事を小分けにして食事回数を多くすると、体重増加の引き金にもなり得ることを覚えておいてください。むしろ、体重を増やしたい場合は小まめに食事を摂ることが効果的と言えるでしょう。もちろん、体重はその数値だけが重要なわけではありません。重要なのは中身で、筋肉量が多くて体重が重い場合もあれば、隠れ肥満のように体重は普通でも体脂肪量が多い場合もあるので、体重より重要なのは体成分です。

では、なぜ食事回数が少なく一回当たりの食事量が多くなる摂取方法が、食事回数が頻繁で少しずつ分けて食べる方法より効果的なのでしょうか? ここで消化管ホルモンのことを思い出してみてください。満腹感を感じるのは消化管ホルモンの作用によるものなので、1回の食事量が少なくホルモンの分泌量が少ないと、満腹感をあまり感じることができません。食事回数が少なくても食事量が多ければ、PYYという消化管ホルモンの分泌量が多くなるので¹⁰⁾、1日の食事量を小分けにして食べるよりも、食事回数を減らして一回当たりの摂取量を増やす方が、満腹感を感じやすくなると言えます。PYYの分泌量はタンパク質の摂取量に影響されるので¹¹⁾、3食の中でタンパク質を適切に取り入れることを意識してください。また、GLP-1の分泌量は摂取量と関係するので、1回の食事量を極端に減らし過ぎないようにしましょう。GLP-1の分泌量が減ると、インスリン分泌がうまく促進されなかったり、満腹感を得ることが難しくなったりします。

つまり、1日2-3回、適量を食べることが体重と体脂肪を減らす食事戦略と言えるでしょう。続いて次のトピックでは、食事回数を減らすときに気を付けることをご紹介します。☞「体成分と食事回数の関係 Part2: 実践編

 

参考文献
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妊娠中の体成分モニタリング

お腹の中で子どもを育み、出産に備えて体を整える約10か月の妊娠期間は、体成分が大きく変化する期間でもあります。中には、10kg以上の体重増加を経験した妊婦さんもいらっしゃるでしょう。以前、産後のダイエットについてご紹介しましたが、今回のトピックでは妊娠中の体成分モニタリングについて詳しくお話しします。


妊婦の体重管理の重要性

妊娠中にInBodyを測定しても、安全面で問題ないのか気になる方もいると思いますが、InBodyが体成分を測定するために使用しているBIA法は体に影響を及ぼさない程の微弱な電流を使用しているため、体成分の測定方法の中で最も安全で体に負担のかからない方法として評価されてきました。また、妊娠高血圧症候群・妊娠中毒・妊娠浮腫・妊娠糖尿病など、妊婦を対象にした様々なInBodyを活用した研究が、国内外でも活発に行われています。このように測定の安全性としては問題ありませんが、妊娠期間中は常に体に注意を払う必要があるので、InBody測定は他の検査と同様に、その日の体調や担当医師と相談しながら実施してください。

安定期(妊娠中期)に入り、つわりなどの妊娠初期症状が落ち着いてきた頃、次は体重管理の問題が待っています。厚生労働省は、妊娠中期から後期の妊婦における1週間当たりの体重増加量は「300gから500g」であることが望ましいと、妊娠中の目安となる体重増加量を定めています。従って、体重は週に500g以上増えないよう心掛けましょう。
※妊娠前のBMIが25.0未満であった妊婦に対する目安


妊娠中は、赤ちゃんの成長だけでなく胎盤・羊水・血液・皮下脂肪も増加するので体重が徐々に増加していくのは当たり前ですが、過度な体重増加には様々なリスクがあります。太り過ぎは、妊娠高血圧・妊娠糖尿病・腰痛などの妊娠合併症の原因となります。これらが悪化すると、胎盤の機能低下・流産・早産・胎児の巨大化など、母子ともに危険な状態になってしまいます。また、産道にも体脂肪が付くことで難産の原因となったり、微弱陣痛でお産が長引いたりすることがあります。太り過ぎの妊婦は出産を終えるまでこれだけのリスクを抱えていますが、出産後も体重が戻りにくく妊娠線ができてしまうなどの問題もあります。妊娠発覚から出産直前までの体重増加は7~8kg程度が理想的です。これ以上の体重増加はすべてお母さんの体脂肪です。特に妊娠中に過度な体重増加を指摘された方は、適切な体重管理を心掛ける必要があります。では、一体どのようにして体重管理を行っていけば良いのでしょうか?
※妊娠前のBMIが18~24であった妊婦に対する目安


妊婦の体成分変化 -筋肉量と体脂肪量のバランス-

妊娠期間に大きく変化する体成分は体脂肪量です。体脂肪量は出産日に近づくに連れて増加していきますが、この体脂肪量にはお母さん自身の増加した体脂肪量だけではなく、赤ちゃんの体重・拡大した子宮と乳房・余分な血液・胎盤・羊水が含まれます。なぜなら体内で電流の流れない部分は体脂肪量として測定されるため、電流が上手く通らない羊膜内の重量も体脂肪量として換算されてしまいます。この原理を利用すれば、自身の変化と合わせて赤ちゃん(羊膜内)の成長も予測することができます。先ずは、基準となるデータを妊娠前や妊娠初期に取ることから始めましょう。


体重・筋肉量・体脂肪量の棒グラフの先端を線で結んでみましょう。この形を、標準型(I型)・強靭型(D型)・肥満型/虚弱型(C型)と分けて、体のタイプを一目で確認することができます。上記の例❶では体重と筋肉量が標準で、体脂肪量が少ない標準体重強靭型(D型)と分類できます。


妊娠中期の体成分を妊娠前の体成分と比べてみましょう。上記の例❷では妊娠前の時から体脂肪量が3.2kg増加したことで、棒グラフの先端を結んだ形が真っ直ぐになり、体成分が標準体重健康型(I型)へと推移していることが分かります。部位別体脂肪量を見てみると、増加した体脂肪量の約半分が体幹体脂肪量の増加として現れていることが分かります。羊膜内の重量は体幹体脂肪量として反映されるため、このような結果が見られます。同時期に測定したエコー検査より胎児重量が660gであったことから、羊膜内の重量は胎児重量約0.7kg・胎盤約0.3kg・羊水約0.4kgの合計で、おおよそ1.4kgです¹⁾。つまり、上記の例❷で体幹体脂肪量が1.6kg増えていることは、羊膜内の重量1.4kgとお母さん自身の体幹体脂肪量が0.2kg増えた結果と推測できます。因みに、エコー検査から算出される胎児重量は、胎児頭部の大横径・腹囲・大腿骨頭長などの長さを計測して推定式を用いて算出されます²⁾。筋肉量も妊娠前の❶から1.1kg増えていますが、正常な妊娠では周期を経る毎に体水分量も増えるので³⁾、筋肉量も体水分量に比例して増加しています。このような結果は母子共に経過が順調であることの現れと言えます。


出産後は、体成分が大きく変化するタイミングです。出産直後は赤ちゃん・余分な血液・胎盤・羊水などが体内からなくなり、体重が大きく減ることになります。そして約6週間で子宮の大きさが小さくなり、妊娠前の体重に近づいていきます。上記の例❸は産後10日の時点で測定した体成分ですが、体脂肪量が妊娠前の❶から2.5kg増え、筋肉量は1.4kg減った状態です。筋肉量が大きく減ったことで、体成分が若干の虚弱型(C型)へ推移しつつあることが分かります。体脂肪量も妊娠前の❶よりは大幅に増加していますが、それでも標準値の100%よりは少ない状態なので、妊娠・出産による体脂肪量増加を気にしてダイエットを行う必要は全くありません。出産後は体の回復を第一にして、徐々に筋肉量を増やしていく意識が必要です。この時点で体脂肪量が標準範囲(80%~160%)を大きく外れている妊婦の方は、今後の育児で体調を崩さないために、自身の管理も優先的に行って欲しいです。


上記の例❹は産後半年の時点で測定した体成分ですが、体脂肪量が妊娠前の❶から1.7kg増え、前回測定の❸からは0.8kg減ったことが分かります。筋肉量は妊娠前の❶までは戻ってはいませんが、前回測定の❸からは1.0kgも回復しています。これまでの4回分の体成分を見比べてみると、徐々に妊娠前の体成分に戻りつつあることが分かりますが、授乳中は体脂肪量も必要な体成分なのでこれ以上無理に減らす必要はありません。上記の例❹では、体脂肪量を減らすことよりも、筋肉へのアプローチを継続して筋肉量を妊娠前の❶の状態まで戻すことが大切です。
※出産後でも実施しやすい具体的な運動例は、InBodyトピックの「出産後に体型を戻す方法」を参考にしてください。


妊婦の体成分変化 -体水分のモニタリング-

妊娠時は胎盤で血糖値を上げやすいホルモンなどが分泌されるため、妊娠中期以後はインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。妊娠中に血糖値が高いと、母体では妊娠高血圧症候群や羊水過多症になりやすく、胎児では巨大児や新生児の低血糖などの影響が出てきます。妊娠正常群では妊娠周期を経る毎に体水分量・細胞内水分量・細胞外水分量が増加していきますが、妊娠高血圧症候群では全てが段々減少していく傾向が確認できます。妊娠初期に測定した体水分の増加・減少傾向をモニタリングすることで、妊娠高血圧症候群の可能性を事前に把握できます³⁾。


妊娠中は赤ちゃんに栄養を行き渡らせるために通常よりも血液量が増加していますが、同時にエストロゲンやアルドステロンというホルモンの増加によって、末梢血管透過性が亢進され細胞外に水分が溜まりやすくなっています。つまり、体水分量・細胞内水分量・細胞外水分量が増加していく中で、特に細胞外水分量の増加が目立つ形で細胞外水分比(ECW/TBW)も上がっていきます。体水分量(TBW)に対する細胞外水分量(ECW)の割合であるECW/TBWは、体の水分均衡を表す指標として世界的に広く使用されており、その標準範囲は0.360~0.400で、健常人は0.380前後の一定な数値を維持します。InBodyではECW/TBWが0.400以上なら高いと評価します。健常人でも重力の影響で夕方以降にむくむ人もいますが、妊婦は体内の血液と水分バランスが崩れやすくむくみやすい体質なので、よりむくみの管理が求められます。


妊娠中は、大きくなった子宮が静脈やリンパ管を圧迫するため、むくみが起こりやすい状態です。 朝よりも夕方や夜にむくみを感じる場合が多いですが、朝から下肢がむくんでいるときは注意が必要です。さらに手や顔、全身に現れるむくみや、1週間に500g以上の体重増加を認めるむくみなどは妊娠高血圧症候群の予備軍として危険視されています。正常妊娠では、体水分量・細胞内水分量・細胞外水分量が増加していく中で細胞外水分比も増加しますが、妊娠高血圧症候群では逆に、体水分量・細胞内水分量・細胞外水分量が減少する中で細胞外水分比が増加します。また、細胞外水分比の増加幅も正常妊娠のケースより大きく、明らかな違いが見られます。


最後に

出産に向けての約10か月間は体成分が大きく変化しますが、そのときの変化はどのような変化だったでしょうか。母子共に健康な証である変化だったでしょうか。それとも、妊娠合併症などの、状態が悪くなっているサインである変化だったでしょうか。妊娠中は、吐き気・眠気・便秘・下肢浮腫・頭痛・動悸・腰痛など様々な不調が現れ、出産に対する不安や恐れから情緒不安定になる方も少なくありません。このような状態でも、お母さんは母子共に無事出産を乗り越えるために、自身の健康と体重管理を頑張っています。頑張っていても、思うように体重管理が上手くコントロールできていないかもしれません。自分の状態を理解していても、出産に対する恐怖が先行してしまうかもしれません。


そのとき先ずは、家族の方が一緒になって、現状について知ってください。妊婦健診を一緒に受けてみることも良い方法です。毎週どれだけ体重が増加しているのかも気にしてみてください。また、医師から体重の過度な増加を指摘されている時は、家族が一緒になって食事の改善や適度な運動を行ってみてください。InBodyも家族の一員となって、妊娠期間の健康や体重管理のために、少しでも役立てることを願っています。

 

参考文献
1. 荒木勤, 胎児の発育とその異常. 日医大誌第51巻第1号, 1984
2.「推定胎児体重と胎児発育曲線」保健指導マニュアル 厚生労働科学研究成果
3. Herbert Valensie et al., Multifrequency bioelectrical impedance analysis in women with a normal and hypertensive pregnancy. Am J Clin Nutr. 2000 Sep;72(3):780-3.
4. InBodyトピック「出産後に体型を戻す方法

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健康美に対する認識が間違っている理由


美しさの基準は人それぞれですが、多くの人が(特に女性)考えている “理想的な体” というものは、実はそれほど健康的ではないことがあります。「これから運動をはじめよう」と行動を起こす背景には、自身の生理学的経験や心理的感情が複雑に絡んでいます。生い立ち・国柄・文化などは健康美に対する認識へ関係していますが、テレビ・雑誌・広告・SNSなどメディアで目にするものも、健康や運動意欲に大きく影響を与えます。

スーパーモデルの例を見てみましょう。平均的な体型とかけ離れている、とても細い体のモデルが理想として宣伝されています。しかし多くのモデルは、コットンボール・ダイエット(綿を食べることで満腹感を得るダイエット)のような不健康で危険なダイエットによって、その薄っぺらい体を維持しています。そして、メディアを通してスーパーモデルを目にした人々や、モデルに憧れる若い女性達は、そのモデルの体型を理想的な体と捉えます。これは間違った健康美を印象付けてしまう一例に過ぎず、その他にも誤解を与えてしまう要素はたくさんあります。


健康で綺麗になるための選択


偶像化された体型は、必ずしも健康的なライフスタイルによって生みだされているという訳ではありません。摂食障害のひとつである「オルトレキシア(orthorexia)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 一般的な摂食障害との大きな違いは、カロリーや量ではなく質に異常なまでに執着してしまうことで、グルテン・オイル・糖質・添加物・動物性食材などを徹底的に制限し、極端な偏食になっていきます。「健康的」と考えられる食事以外を信じられなくなっている状態なので、不健康なものを摂取することに過剰な不安や恐怖心を抱き、制限を破ってしまうと嘔吐したりしてしまうこともあります。結果、ビタミン・ミネラル・タンパク質など健康を保つために必要不可欠な栄養素が不足し、重度な栄養失調や神経性やせ症など様々な病気を引き起こしてしまいます。体脂肪は多過ぎても健康には良くありませんが、少な過ぎても良くありません。体脂肪は体温調節やホルモンの材料としても使われており、生命維持のためにも必要な成分です。

美意識が高いと言われるモデルや女優、セレブらによって、オーガニックフード・ヴィーガン・スーパーフード・スムージーなどお洒落なライフスタイルが毎日のようにSNSで拡散されている今日では、「こういう食事を取らなければ健康になれない」と受け取ってしまうのも致し方ありません。しかし、痩せることを望んで(体重を減らしたくて)生じる拒食症とは異なり、オルトレキシアは純粋に健康的で自然体になりたいことを望んで発症しているため、自身が摂食障害であることを理解するのが難しく、不健康な状態もなかなか気づきにくいです。


本当に意識すべき健康マーカー

体重とBMIが標準に入っているからと、安心していませんか? 健康と考えていた体が、実際は健康とかけ離れているということはないでしょうか? 体重とBMIは、健康状態を評価する指標としては十分ではないと指摘されているにもかかわらず、最も長く使用され、最も一般的に使用されている項目です。体重やBMIは手軽に測定できるので、自身の体型評価をこれらに頼っているという方も多くいますが、体重やBMIは見かけの肥満度にしか過ぎません。BMIは単純に身長と体重の比率に過ぎず、その比率で低体重(BMI18.5未満)・普通体重(BMI18.5~25.0)・肥満(BMI30.0以上)を決定します。BMIだけで健康を評価すると、筋肉量が多い健康なスポーツ選手が肥満(不健康)に分類されたり、代謝異常によって過剰に体脂肪量が貯蓄されている患者が標準体重(健康)に分類されたりしてしまうことも問題です。性別・身長・体重が同じでも、見た目や体型はまったく異なるという場合もあります。このことから、体成分がとても重要であるということが理解できます。

体成分分析は体を構成している各成分を定量化して、その過不足を評価します。単純に体重を筋肉量と体脂肪量に分けるだけでなく、筋肉を構成している体水分量とタンパク質量をそれぞれ表示し、除脂肪量は筋肉量とミネラル量の合計として、体系的に表示します。全ての成分が定量化されることで、本当の意味で筋肉質であるのか、痩せているのかを評価できます。痩せているとは、身長に対して必要な体重が足りていないこと(標準体重より軽いこと)を指しますが、体重は標準体重であっても、筋肉量が足りていない痩せタイプ(隠れ肥満・痩せ肥満体型・サルコペニア肥満・スキニーファット)も確認することができます。


全てを手に入れることはできません

運動をする目的は、大きく分けると次の3つです。
➤ スタイルを整えて外見を良くするため
➤ 健康のため
➤ スポーツ活動でパフォーマンスを向上させるため
残念なことに、この3つの目的を同時に達成することはできません。それぞれの目的を達成するには、異なるアプローチ、トレーニングが必要であるためです。そして、このような目的を持ち運動をしている方は、必ずしも健康体・健康美であるという訳ではありません。

スタイルに関して間違った理想を持ち、その理想に近づくことだけを目標にしていると、過剰なトレーニングや偏った食事など不健康なライフスタイルにたどり着くこともあります。健康のためと考えて選択した行動であっても、夢中になり過ぎると、疲労感・脱力感・無気力・罪悪感などに苛まれ、精神的な症状が発生することもあります。一見、不健康とは真逆にいるようなトップアスリートの中には、肝不全を経験したボディービルダーや心臓発作を起こしたレスリング選手もいます。

 


バランスの良い食事と一緒に好きなものを食べましょう。健康だからと言って、特定のものだけを食べ続けるようなことはしないでください。野菜・果物・穀物・赤身のタンパク質など、栄養豊富な食事を目指して努力することが大切です。糖質を少しでも抑えたい場合は、炭水化物を一切抜くのではなく、ごはんを大麦に置き換えるなど工夫してみましょう。大麦はg当たりの糖質がごはんの約1/2で、食物繊維は約20倍もあります。栄養が適切に補給できていること、過度に制限されていないことを確認してください。

 


好きなトレーニングを選択してください。ランニングが嫌いだからと言って、有酸素運動を避けてはいませんか? 有酸素運動はランニングが全てではありません。水泳・ハイキング・サイクリング・ヨガ・ローイングエルゴなども有酸素運動として選択肢になります。筋トレには、重いウエイト器具だけが効果的であると考えていませんか? トレーニングチューブや体重を使ったトレーニングも効率よく筋肉を鍛えることができます。様々なトレーニングを試して、自分に合ったものを探してみましょう。

十分な休養と睡眠を取ってください。睡眠は筋肉の成長や喪失に関わる体内のホルモン分泌に直接影響するので、体成分にとって重要な要素です。水分補給も忘れないでください。人体の大部分は “水” です。脱水は、筋肉疲労・めまい・頭痛などの諸症状を引き起こします。

健康美に対する認識が間違った状態で、食事・運動・ダイエット方法などを決定しないでください。健康の焦点を体成分に当ててみると、今後の選択が変わってくるかもしれません。

 

参考文献
1. InBodyトピック「体成分測定が必要な3つの理由」
2. InBodyトピック「カーボローディングとは」
3. InBodyトピック「疲労と回復のメカニズム」
4. InBodyトピック「脱水時に必要な飲み物は」