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五大栄養素 -ミネラルⅠ-


五大栄養素として紹介する栄養素も、今回のミネラルで最後となりました。今まで連載で紹介したタンパク質・ビタミン・脂質・炭水化物に関しては、よく理解していただけたでしょうか。 五大栄養素とは、筋肉・内臓・皮膚・骨・血液など体の組織を作る大切な栄養素であるタンパク質、生命維持や身体活動の主要なエネルギーとなる脂質と炭水化物、そして体調管理・健康維持・人体の各機能を正しく維持する上でも欠かせないビタミンとミネラルを指します。五大栄養素は、それぞれ体内での役割が異なるため、どれか1つの栄養素を大量に取れば良いものでもなく、満遍なく摂取する必要があります。今回のトピックでは、体の調子を整える役割を持つミネラルについて詳しく勉強していきましょう。


ミネラルとは

ミネラルは体を構成する成分の約5~6%に過ぎませんが、体内で合成できない成分であり、とても重要な役割をする成分です。ミネラルの力がなければ健康な体を維持することも、動かすことさえもできません。また、ミネラルは吸収されにくいものや、他の成分によって吸収を妨げられるもの、体内に貯蔵できないものが多いため、常に食事からさまざまな種類のミネラルを補う必要があります。


地球上に存在するミネラルは、なんと約100種類もあります。そのうち、体に必要なミネラルは16種類で、中でも厚生労働省が摂取基準を定めているのは13種類です¹⁾。この13種類のミネラルは、体内に多く存在し1日あたりの目標摂取量が100mg以上の「多量ミネラル」と、100mg以下の「微量ミネラル」に分けられます。

ミネラルの主な働きは大きく分けて3つあります。
➀ 三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)を助けて体の機能を正常に保つ
ミネラルは、三大栄養素を体内で分解したり、合成したりするのを助けます。また、基礎代謝・新陳代謝・エネルギー代謝を促し、体の各機能や組織が正常に保つように働いています。
➁ 全身を安定した状態に保つ
細胞の浸透圧や水分量、体液量、酸度・アルカリ度などの調整をする働きをします。他にも筋肉や神経の働きの調整を助けたり、体内を常に安定した状態に保つように作用したりします。
➂ 体の一部分を形成する
ミネラルのうち、カルシウム・マグネシウム・リンは骨や歯を形成しています。また、鉄は赤血球の成分として、銅はヘモグロビンの生成になくてはならない成分です。

ミネラルに関連するInBodyの測定項目は、「体成分分析」のミネラル量と「研究項目」の骨ミネラル量です。ミネラルの大半は骨に存在しており、InBodyではこれを骨ミネラル量で示します。そして、イオン状態で血液などに溶け込んでいる骨外ミネラルも含んだ全体のミネラルをミネラル量として、体成分学の観点からkg数値で提供しています。ミネラル量も骨ミネラル量も、除脂肪量との相関関係を利用して算出される項目です。つまり、「栄養評価」のミネラル量で不足にチェックが入っている場合は、筋肉量(除脂肪量)を増やして体全体の栄養状態を良くすることで、不足から良好にチェックが入るようになります。


ミネラル(ナトリウム・リン・カリウム)の過剰摂取によるリスク

日本人が特に摂り過ぎてしまうミネラルは、ナトリウムです。摂取すべき目標量は、食塩相当量に換算して約8gですが、実際の平均摂取量は約10gです。ナトリウムの摂り過ぎは高血圧症や脳卒中、生活習慣病のリスクを高めるので注意しましょう。

また、リンやカリウムの過剰摂取も腎臓に負担をかけるので、腎機能が低下している人は摂取に注意が必要です。リンは加工食品の食品添加物として含まれているので、知らないうちに摂り過ぎていることがあります。リンは骨や歯の原料ですが、カルシウムの2倍以上の量を摂取すると逆にカルシウムの吸収を抑制してしまうので、過剰摂取は骨量や骨密度の低下にも繋がってしまいます。また、腎機能が弱っている状態でカリウムを過剰摂取すると、不整脈や血圧低下などの症状を引き起こし、高カリウム血症になることがあります。

ナトリウム・リン・カリウムは通常の食事で不足することはないので、過剰に摂り過ぎないことを主に意識しましょう。


ミネラル(カルシウム・マグネシウム)の不足によるリスク


ミネラルの中でも、特に不足しがちなのがカルシウムです。1日あたりの必要量は650mg以上に定められていますが、過去約30年間で一度も摂取量が必要量を上回ったという調査報告はありません²⁾。慢性的なカルシウム不足は骨を脆くし、骨粗鬆症のリスクを高めます。また、カルシウムは全身筋肉の収縮を正常に保つ役割があるので、不足すると筋肉が痙攣したり神経系の障害が起こったりします。カルシウム不足が原因で骨から血液へカルシウムが過剰に溶け出すと、そのカルシウムが血管に沈着し動脈硬化や高血圧の原因にもなります。

マグネシウムも不足しがちなミネラルです。特に、男性は1日あたりの必要量が100mg以上(必要量の約1/3)も不足しています²⁾。慢性的にマグネシウムが不足すると、骨からマグネシウムが取り出されてしまいますが、その際にカルシウムも一緒に溶け出すため、骨粗鬆症のリスクが高まってしまいます。また、リンの過剰摂取でカルシウムとマグネシウムの吸収が妨げられ、マグネシウムが不足状態になると、吐き気・眠気・脱力感・食欲不振などの症状(低マグネシウム血症)を引き起こします。

ここまでで、ミネラルの働きや過剰摂取・不足によるリスクについて説明してきました。しかし、実際にミネラルを食事で補う・調整するとなると、どのような食品を選択してメニューに取り入れれば良いのでしょうか? 次回のトピックでは、ミネラルを多く含む食品や効率よく摂取するための食品(栄養素)の組み合わせについて具体的にご紹介します。

 

参考文献
1.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」厚生労働省
2. 正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳, 中村丁次 監修