ゆうき内科・スポーツ内科
-ぜひ知ってほしいスポーツ内科疾患-

✓InBodyを活用する目的
● アスリートのケアや経過観察、目標設定をしていく上で体成分の情報を考慮するため

✓InBody470導入の決め手
● 安全に短時間で多くの情報が得られる点
● 非医療従事者でも手軽に検査ができ、高い精度で体成分を測定できる点

✓得られた効果
● InBody測定で自分の体の状態を知ることで、コンディショニングやパフォーマンス向上に対する高い意識付けができるようになった
● 食生活とInBodyの測定結果の推移を比較することで、より詳細な栄養に関するアドバイスができるようになった
● 取り組みの効果も数値で明確に確認できるため、受診者のモチベーション維持に繋がった

機種モデル:InBody470

ゆうき内科・スポーツ内科は大阪府枚方市にあるクリニックです。患者様から「丁寧にお聞きすること」をモットーに、2019年12月に開院されました。本院には一般内科だけでなく、診療科では珍しい「スポーツ内科」があります。スポーツ内科とは、運動・スポーツにより生じる内科的な問題の予防・治療を行う分野です。アスリートや日頃運動を行っている方が抱える内科的な問題を解決し、コンディショニングやパフォーマンス向上に繋げ、長く競技を続けられるようサポートしています。院長の田中 祐貴先生は日本では数少ないスポーツ内科医です。


スポーツ内科との出会い

田中先生:
「スポーツ内科との出会いは神戸大学医学部5年生での総合内科の実習でした。開業医のクリニックに振り分けられて実習を行うのですが、たまたま配属された賀来医院(兵庫県神戸市)の院長が当時は大変珍しいスポーツ内科を診ておられました。アスリート特有の貧血や喘息などの不調を訴える選手がたくさん受診されていて、待ち時間は2時間を超えることも多い、とても頼りにされている先生でした。今もそうですが、スポーツと医学という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべるのは整形外科だと思いますし、私も当時はそう思っていました。中学から卓球やランニングに取り組んでいたこともあり、大好きなスポーツと絡めながら仕事ができないかと漠然とした思いがあったため、その実習先でスポーツ内科の存在を初めて知ったときは大きな衝撃を受けました。」

約35年前からスポーツ内科の診察を始められた賀来先生は、国立スポーツ科学センターでセンター長を務められていた川原先生と共に、スポーツ内科医の第一人者として知られています。スポーツ貧血やマラソン選手に関連する論文や血液検査データなどの引用元を見てみると、賀来先生の名前を見つけることが出来ます。

▲ 田中 祐貴先生

田中先生は賀来先生から受けた大きなインスピレーションが脳裏に残りながらも、一旦は元々専攻していた腎臓内科の道に進みました。医学部卒業後、一般内科・腎臓内科で5年勤務していましたがスポーツ内科への思いが断ち切れず、スポーツ内科を専門に取り組むため、大久保病院や京都九条病院、東朋病院などでスポーツ内科医として経験を積み、2019年12月にゆうき内科・スポーツ内科を開院しました。

田中先生:
「例えば、喘息持ちの子どもが『部活をやりたい』と受診した際、スポーツ内科的な観点を持たない先生は、喘息を理由に運動を禁止してしまうケースがあります。しかし、現代の医学では重症な喘息でない限り、吸入などの治療で喘息症状をうまくコントロールしながら運動をした方が健全な成長・発育に繋がるというエビデンスもあり、スポーツ内科的な観点を持っている場合はしっかりサポートしながら、大好きな運動を続けさせてあげられます。」


スポーツ内科における診察内容

▲ 待合室に設置されているInBody470とBSM370(自動身長体重計)

田中先生は以前勤務していた病院のスポーツ内科でもInBodyを活用したことがあり、ゆうき内科・スポーツ内科の開院時にInBody470とBSM370を導入しました。

田中先生:
「開業するならInBodyは必須だと思っていました。アスリートは、自身の体成分を確認した上でどんな体を目指すのか目標設定が必要です。当院のスポーツ内科では、部活動に励む中高生や大学生、実業団アスリートをよく診ています。種目はサッカーや競泳、バスケ、バレー、テニスなど様々ですが、陸上長距離が圧倒的に多いです。特に陸上選手は生身の体で勝負するので、体成分や貧血の有無が競技成績に直結します。今まで走れていたペースで走ることができない、ライバルに差をつけられるようになったといったパフォーマンスの低下が現れ、選手自身が自分の不調に気付き来院されることが多いです。」

ゆうき内科・スポーツ内科では待合室にInBodyを設置しており、受診に来られた方は無料で測定できます。基本的にはスタッフが測定補助につきます。月に100~150名の方が “より良い身体やコンディション向上を目指して” ”フレイル予防のために” “生活習慣病改善のために” など、様々な目的で測定を行っています。

▲ メディカルチェックの3コース

また、スポーツ内科で行っているチームサポートのメディカルチェックは、3つのプランが用意されています。特徴的なのは、全てのプランにInBody測定と血液検査が組み込まれている点です。

田中先生:
「チーム単位で選手のサポートを行う場合、InBody測定と血液検査を行うことで、コストを抑えながら、とても多くの情報を得ることができます。InBodyは針を体に刺す必要もなく、測定時間も長くかからず、非医療従事者でも簡単に測定介助できることから、とても手軽な検査の一つである上に、高い精度で体成分を測定できるので、検査からInBodyは外せません。スポーツ内科医の間でもInBodyは必須であるという共通認識があります。また、スポーツ内科を受診するアスリートは陸上の長距離選手をはじめとした持久系の選手が多く、スポーツ内科疾患で最も多いスポーツ貧血が主な問題として現れます。スポーツ貧血は息切れや動悸などの貧血症状から見つかることが多いですが、無症状で発症するケースもあるので血液検査によってヘモグロビンやフェリチンを確認する必要があります。」

田中先生:
「ある強豪高校陸上部には年3回InBody測定と血液検査を出張で実施しています。検査の結果、貧血など何かしらの問題が見つかった選手は当院に通院してもらい、定期的にフォローします。その成果かは分かりませんが、昨年11月の女子駅伝大会で大阪2位まで躍進しました。InBody測定や血液検査の結果から自分の体の状態を知ることで、コンディショニングやパフォーマンス向上に対する高い意識付けができた結果だと思います。」

他の強豪高校からもチームサポートの依頼が増えています。ゆうき内科・スポーツ内科ではInBodyを2ヶ月に1回測定するように推奨していますが、大学生や実業団レベルで自分の体をもっと細かく知りたいと希望する選手には、毎月InBody測定と血液検査を行うこともあります。


代表的なスポーツ内科疾患

スポーツ医学と聞くとスポーツ整形外科を思い浮かべることが多いと思いますが、実際には内科的な要因でアスリート・運動愛好家が何らかの不調を抱えていることは珍しくありません。ここに「スポーツ内科」の出番があります。日本スポーツ内科学会で紹介されている主なスポーツ内科疾患は次の4つです。

➤スポーツ貧血
スポーツ内科で最も多い疾患です。スポーツ貧血の有無は血中のヘモグロビン値を確認します。その原因はいくつかに分かれますが、一番多いのが体内の鉄分が不足して発症する鉄欠乏性の貧血です。一方、鉄分の摂取量は足りていても、運動で消費したエネルギーに対して食事から摂取したエネルギーが不足すると起こる貧血もあります。この場合は血液検査の結果とスポーツ栄養士による食事内容の評価を組み合わせて確認するため、スポーツ内科とスポーツ栄養には密接な関わりが必要となります。スポーツ栄養士はInBodyで測定した除脂肪量なども加味した上で、その方に必要な摂取エネルギーを算出します。また、最近注目されているのが亜鉛欠乏性の貧血で、大学生以上の陸上長距離選手に多く見られます。貧血=鉄不足と決めつけて安易に鉄剤を投与してしまうと、鉄過剰が発生し悪影響を及ぼしてしまうこともあります。スポーツ内科とスポーツ栄養の両方からアプローチすることで、スポーツ貧血の原因を特定し、各個人に適した治療方針を立てることが重要です。

➤気管支喘息・運動誘発性喘息
喘息といえば夜間や早朝に慢性的な咳が続くのをイメージする人も多いかもしれませんが、普段は咳が出ず、運動すると咳が止まらなくなるアスリート・運動愛好家もいます。これが運動誘発性喘息です。エルゴメーターによる喘息運動負荷試験を行うことで運動誘発性喘息の有無や程度を確認します。日頃の練習内容や競技レベルなどを加味して、治療方法を選択します。

▲ 喘息運動負荷試験の様子

➤女性アスリートの3主徴(エネルギー不足・無月経・骨粗鬆症)
無月経は女性アスリートに一番多い問題です。InBodyで測定したBMI・体脂肪率は無月経の重要な評価項目になります。問診内容や体成分データ、血中のエストロゲン値などから現状を把握し治療方針を決定します。エストロゲンは骨を強くする働きもあるので、エストロゲンの減少は月経不順・無月経・骨粗鬆症・疲労骨折などのリスクを高めます。女性アスリートの3主徴の治療にはエネルギー不足の改善が必要不可欠のため、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスがしっかり取れているのか確認します。その上で、女性ホルモンが足りていない場合は女性ホルモン補充療法を行うこともあります。適切な栄養管理が行われていれば、多くの場合、スポーツ内科疾患を含む体の不調を予防することが出来ます。

➤オーバートレーニング症候群
通常、運動を行って疲労が溜まるとパフォーマンスは低下しますが、適切な休息を取ると超回復が起こり、競技力は向上します。しかし、体が十分回復する前に更に運動を行うと、回復が追い付かずにパフォーマンスはどんどん低下してしまいます。この状態をオーバートレーニング症候群と言い、長期間のハードトレーニング・トレーニングにおけるパフォーマンスの低下・日常生活での疲労症状の3つに該当する人はオーバートレーニング症候群を疑うきっかけになります。疲労症状としては、倦怠感・息切れ・微熱などの様々な身体症状や、不眠・焦りなどの精神症状が見られます。選手や指導者の中にはオーバートレーニング症候群を知らない方もいます。パフォーマンス低下の焦りから、自分がオーバートレーニング症候群かどうか分からないまま更に追い込んでトレーニングをしてしまい、悪循環に陥る場合もあります。

田中先生:
「アスリートが内科的な要因で不調に陥る可能性があることや、スポーツ内科疾患として、貧血や無月経、オーバートレーニング症候群などがあることを啓発する必要があります。通常の怪我は痛みを伴うので病院で治療を受けることを考えますが、貧血や無月経などのスポーツ内科疾患は痛みなどのわかりやすい症状がないことが多いです。痛みがないのに自身の不調を感じたとき、スポーツ内科を受診しようという考えが広まるような活動をしたいと思います。」


日本スポーツ内科学会の設立

スポーツ内科の知名度を上げるために、田中先生は2019年3月に日本スポーツ内科学会を立ち上げました。【スポーツ整形】【スポーツ栄養】といった言葉が世間に広まっていく一方で、スポーツ内科という言葉はなかなか浸透していません。

田中先生:
「スポーツ整形学会もスポーツ栄養学会も既に存在しているにも関わらず、なぜスポーツ内科の学会がないのかという話が挙がりました。学会が出来るとそこに興味のある先生が集まり、情報交換や啓発活動がより活発になります。そこで、有志を募って学会を立ち上げました。今はコロナ禍もあり、活動が思うようにできていませんが、スポーツ内科の啓発活動・スポーツ内科医のネットワーク構築・多職種連携(栄養士・トレーナーなど)を目標にしています。」

コロナ禍以前は、全国でスポーツ内科を周知するための講演会を毎月行っており、学会会員数も少しずつ増えています。

田中先生:
「スポーツ内科の看板を掲げずにスポーツ内科疾患を診ている先生もいらっしゃるかもしれませんが、スポーツ内科を専門として活動されている先生は、実は全国に10名ほどしかいません。当面の目標は各都道府県にスポーツ内科医を1人配置する体制作りです。合宿先や遠征先での環境変化による喘息の悪化が起きるケースがあるため、現地のスポーツ内科医と連携を取り、どこへ行っても適切な医療を受けられるような体制を作れたらと考えています。」


スポーツ栄養とは

▲ 山本 尚代さん

スポーツ内科疾患の治療に欠かせないのがスポーツ栄養による食事サポートです。ゆうき内科・スポーツ内科には管理栄養士が2名在籍しており、その1人の山本 尚代さんはスポーツ栄養相談を担当しています。山本さんは同志社女子大学在籍時からInBodyを使用しており、InBodyの細かい項目まで精通しています。管理栄養士にはそれぞれ得意分野があり、糖尿病に強い方、高齢者に強い方、食育に強い方がいますが、山本さんはアスリートの栄養サポートに強いスポーツ栄養士です。

山本さん:
「元々、予防栄養の分野に興味があり、スポーツ栄養にも関われたらと考えていました。学生時代はInBodyを用いて、大学ボート部の栄養サポートをしていました。大学卒業後、病院、Bリーグのチーム食堂での管理栄養士業務を経て、現在は当院の常駐スポーツ栄養士として勤務する傍ら、個人的に依頼をいただくアスリートの栄養サポートなども行っております。」

ゆうき内科・スポーツ内科では、スポーツ内科を受診された方へスポーツ栄養相談も併せて受診することを推奨しています。田中先生の診察と普段の食事内容のヒアリングなどを基に、山本さんが一人一人に合わせた栄養相談を行っており、一般内科でも生活習慣病の方や高齢者の方への栄養相談を行っています。一般内科とスポーツ内科で合わせて毎月40~50名の方が栄養相談に来られます。

▲ カウンセリング風景

スポーツ栄養相談を受けるのは、部活動に参加している学生や実業団の選手が多いです。最近は熱心な市民ランナーの方々からの栄養相談も増えています。InBodyの測定結果や普段食べている食事、練習量、生活リズムなどをヒアリングして、その人に適した食事・生活習慣のアドバイスを行います。その人の代謝能力や1回に食べられる量なども関わってくるので、食事を小分けにしたり、間食を追加したりするなど、本人が実践しやすいアドバイスを心掛けています。

山本さん:
「栄養相談を行う際、InBodyの結果用紙で一番使用するのは各項目の履歴です。体重・筋肉量・体脂肪率がどのように変化しているか経過を確認していただくことが大事だと思います。2回目以降の受診の方は各測定値のおおよその変動が予想できるので、これらの変化に対して、本人がどう思っているか聞くようにしています。例えば、筋肉量が減った場合、先日怪我をして練習量が減ってしまったからと理由が分かればいいのですが、本人に思い当たる理由がないときは一緒にその期間の食事内容・運動量・生活環境などを振り返り、見直します。また、結果用紙の体水分量・タンパク質量・ミネラル量は実際に食べた栄養素を意味するものではなく、バランスの良い食事・適切な運動・十分な休息などの生活習慣すべてが影響していると説明するようにしています。学生の場合、保護者の方と来院されることが多く、ご家庭での食事管理は保護者の方の協力が必須のため、一緒に栄養相談を受けていただきます。ただ、「食べる」という行為は本人の意思が必要不可欠で、また将来的にも自ら考え選択できる選手が強くなるだろうとの考えから、保護者の方に頼り過ぎないよう本人に目的・目標のためにどう行動すべきなのか考えてもらう時間にできるよう心掛けています。」


▲ 結果用紙下部の体成分履歴に表示される直近8件のデータ

山本さん:
「肥満の方は体質改善のモチベーションを維持していただくためにも、私から田中先生へ次回の受診タイミングを提案することもあります。以前、体幹体脂肪量が200%以上と標準範囲を大きく上回る方が栄養相談を受けてくださいましたが、その方は3ヶ月間ほどで体幹体脂肪量を標準範囲内の120%(InBodyの体脂肪量の標準範囲は80~160%)まで落としていました。健康習慣の取り組みを続けられただけでなく、結果が客観的な数値でも確認でき喜んでいらっしゃいました。」

これまで田中先生が一緒に仕事をされてきたスポーツ内科医や管理栄養士、スタッフの方々は定期的な体成分測定の重要性を理解しています。InBodyの測定データと血液検査など様々な情報を組み合わせて総合的に判断することがより良いサポートに繋がると認識しています。


終わりに

田中先生は、スポーツ内科とスポーツ栄養、スポーツ整形、婦人科との連携を理想とされています。

田中先生:
「例えば、普段から無月経の女性アスリートが疲労骨折してスポーツ整形の受診に来ると、まずは怪我の程度や手術の必要性、今後のリハビリの計画などを確認します。しかし、疲労骨折の根本的な原因は体脂肪量の過度な不足による女性ホルモンの減少、無月経である場合は少なくありません。つまり、スポーツ整形の受診だけではなく、スポーツ内科や婦人科的な血液検査・診察、スポーツ栄養的なエネルギー摂取量の評価なども不可欠と言えます。一つの病院の中にこれらの診療科がすべて揃い、そこで治療を完結できるようにすることが私の最終的な理想です。スポーツ整形を受診しに来た女性アスリートに対しては、月経の有無やエネルギー不足が怪我の背景にあるのではないかと疑う視点を持っていただければ良いのですが、そこまでの視点を持っている医師は大変少ないです。スポーツ内科では、疲労骨折をはじめとした怪我が起きないように予防介入することも重要です。まずはスポーツ整形やスポーツ内科、婦人科が適切に連携をとって、アスリートを一緒にサポートできる関係を築けたらと考えています。」

▲ 田中先生の思い描く理想の連携像

山本さん:
「瞬時に体成分を測定できることは、栄養相談を行う上でとても心強いです。アスリートの中にはチームの決め事として体重制限を課されている選手もいて、体重が増えたことをとても気にする方が多いですが、InBodyでは何が増えて体重が増加したのか確認することができます。中高生は身長が伸びて体が完成してくる時期なので、それも踏まえて栄養相談を行っていかなければなりません。トップアスリートが食事を気にすることは当たり前になっていますが、これはスポーツを行う人全員に生涯の健康のためにも意識していただきたいです。当院では、スポーツを行う人であれば誰でもサポートできる体制を整えていますので、何かあれば是非私たちに相談してほしいと思います。」

田中先生:
「私は『自分の体を知ること』が大事だと考えています。InBodyは自分の体を知って目標とする体を意識し、スポーツ内科的なコンディション改善に取り組むための良いツールです。私が講演を行う時には必ず、『自分の体に興味を持つこと』を伝えています。それが自己管理能力にも繋がりますし、これからもっと上を目指すのであれば、必要不可欠な能力になります。また、スポーツに限らず、これからの人生にきっと役立つと思います。」