,

ゆうき内科・スポーツ内科 -ぜひ知ってほしいスポーツ内科疾患-

機種モデル:InBody470


スポーツ内科との出会い

ゆうき内科・スポーツ内科は大阪府枚方市にあるクリニックです。患者様から「丁寧にお聞きすること」をモットーに、2019年12月に開院されました。本院には一般内科だけでなく、診療科では珍しい「スポーツ内科」があります。スポーツ内科とは、運動・スポーツにより生じる内科的な問題の予防・治療を行う分野です。アスリートや日頃運動を行っている方が抱える内科的な問題を解決し、コンディショニングやパフォーマンス向上に繋げ、長く競技を続けられるようサポートしています。院長の田中 祐貴先生は日本では数少ないスポーツ内科医です。

田中先生:
「スポーツ内科との出会いは神戸大学医学部5年生での総合内科の実習でした。開業医のクリニックに振り分けられて実習を行うのですが、たまたま配属された賀来医院(兵庫県神戸市)の院長が当時は大変珍しいスポーツ内科を診ておられました。アスリート特有の貧血や喘息などの不調を訴える選手がたくさん受診されていて、待ち時間は2時間を超えることも多い、とても頼りにされている先生でした。今もそうですが、スポーツと医学という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべるのは整形外科だと思いますし、私も当時はそう思っていました。中学から卓球やランニングに取り組んでいたこともあり、大好きなスポーツと絡めながら仕事ができないかと漠然とした思いがあったため、その実習先でスポーツ内科の存在を初めて知ったときは大きな衝撃を受けました。」

約35年前からスポーツ内科の診察を始められた賀来先生は、国立スポーツ科学センターでセンター長を務められていた川原貴先生と共に、スポーツ内科医の第一人者として知られています。スポーツ貧血やマラソン選手に関連する論文や血液検査データなどの引用元を見てみると、賀来先生の名前を見つけることが出来ます。

▲ 田中 祐貴先生

田中先生は賀来先生から受けた大きなインスピレーションが脳裏に残りながらも、一旦は元々専攻していた腎臓内科の道に進みました。医学部卒業後、一般内科・腎臓内科で5年勤務していましたがスポーツ内科への思いが断ち切れず、スポーツ内科を専門に取り組むため、大久保病院や京都九条病院、東朋病院などでスポーツ内科医として経験を積み、2019年12月にゆうき内科・スポーツ内科を開院しました。

田中先生:
「例えば、喘息持ちの子どもが『部活をやりたい』と受診した際、スポーツ内科的な観点を持たない先生は、喘息を理由に運動を禁止してしまうケースがあります。しかし、現代の医学では重症な喘息でない限り、吸入などの治療で喘息症状をうまくコントロールしながら運動をした方が健全な成長・発育に繋がるというエビデンスもあり、スポーツ内科的な観点を持っている場合はしっかりサポートしながら、大好きな運動を続けさせてあげられます。」


スポーツ内科における診察内容

▲ 待合室に設置されているInBody470とBSM370(自動身長体重計)

田中先生は以前勤務していた病院のスポーツ内科でもInBodyを活用したことがあり、ゆうき内科・スポーツ内科の開院時にInBody470とBSM370を導入しました。

田中先生:
「開業するならInBodyは必須だと思っていました。アスリートは、自身の体成分を確認した上でどんな体を目指すのか目標設定が必要です。当院のスポーツ内科では、部活動に励む中高生や大学生、実業団アスリートをよく診ています。種目はサッカーや競泳、バスケ、バレー、テニスなど様々ですが、陸上長距離が圧倒的に多いです。特に陸上選手は生身の体で勝負するので、体成分や貧血の有無が競技成績に直結します。今まで走れていたペースで走ることができない、ライバルに差をつけられるようになったといったパフォーマンスの低下が現れ、選手自身が自分の不調に気付き来院されることが多いです。」

ゆうき内科・スポーツ内科では待合室にInBodyを設置しており、受診に来られた方は無料で測定できます。基本的にはスタッフが測定補助につきます。月に100~150名の方が “より良い身体やコンディション向上を目指して” ”フレイル予防のために” “生活習慣病改善のために” など、様々な目的で測定を行っています。

▲ メディカルチェックの3コース

また、スポーツ内科で行っているチームサポートのメディカルチェックは、3つのプランが用意されています。特徴的なのは、全てのプランにInBody測定と血液検査が組み込まれている点です。

田中先生:
「チーム単位で選手のサポートを行う場合、InBody測定と血液検査を行うことで、コストを抑えながら、とても多くの情報を得ることができます。InBodyは針を体に刺す必要もなく、測定時間も長くかからず、非医療従事者でも簡単に測定介助できることから、とても手軽な検査の一つである上に、高い精度で体成分を測定できるので、検査からInBodyは外せません。スポーツ内科医の間でもInBodyは必須であるという共通認識があります。また、スポーツ内科を受診するアスリートは陸上の長距離選手をはじめとした持久系の選手が多く、スポーツ内科疾患で最も多いスポーツ貧血が主な問題として現れます。スポーツ貧血は息切れや動悸などの貧血症状から見つかることが多いですが、無症状で発症するケースもあるので血液検査によってヘモグロビンやフェリチンを確認する必要があります。」

田中先生:
「ある強豪高校陸上部には年3回InBody測定と血液検査を出張で実施しています。検査の結果、貧血など何かしらの問題が見つかった選手は当院に通院してもらい、定期的にフォローします。その成果かは分かりませんが、昨年11月の女子駅伝大会で大阪2位まで躍進しました。InBody測定や血液検査の結果から自分の体の状態を知ることで、コンディショニングやパフォーマンス向上に対する高い意識付けができた結果だと思います。」

他の強豪高校からもチームサポートの依頼が増えています。ゆうき内科・スポーツ内科ではInBodyを2ヶ月に1回測定するように推奨していますが、大学生や実業団レベルで自分の体をもっと細かく知りたいと希望する選手には、毎月InBody測定と血液検査を行うこともあります。


代表的なスポーツ内科疾患

スポーツ医学と聞くとスポーツ整形外科を思い浮かべることが多いと思いますが、実際には内科的な要因でアスリート・運動愛好家が何らかの不調を抱えていることは珍しくありません。ここに「スポーツ内科」の出番があります。日本スポーツ内科学会で紹介されている主なスポーツ内科疾患は次の4つです。

➤スポーツ貧血
スポーツ内科で最も多い疾患です。スポーツ貧血の有無は血中のヘモグロビン値を確認します。その原因はいくつかに分かれますが、一番多いのが体内の鉄分が不足して発症する鉄欠乏性の貧血です。一方、鉄分の摂取量は足りていても、運動で消費したエネルギーに対して食事から摂取したエネルギーが不足すると起こる貧血もあります。この場合は血液検査の結果とスポーツ栄養士による食事内容の評価を組み合わせて確認するため、スポーツ内科とスポーツ栄養には密接な関わりが必要となります。スポーツ栄養士はInBodyで測定した除脂肪量なども加味した上で、その方に必要な摂取エネルギーを算出します。また、最近注目されているのが亜鉛欠乏性の貧血で、大学生以上の陸上長距離選手に多く見られます。貧血=鉄不足と決めつけて安易に鉄剤を投与してしまうと、鉄過剰が発生し悪影響を及ぼしてしまうこともあります。スポーツ内科とスポーツ栄養の両方からアプローチすることで、スポーツ貧血の原因を特定し、各個人に適した治療方針を立てることが重要です。

➤気管支喘息・運動誘発性喘息
喘息といえば夜間や早朝に慢性的な咳が続くのをイメージする人も多いかもしれませんが、普段は咳が出ず、運動すると咳が止まらなくなるアスリート・運動愛好家もいます。これが運動誘発性喘息です。エルゴメーターによる喘息運動負荷試験を行うことで運動誘発性喘息の有無や程度を確認します。日頃の練習内容や競技レベルなどを加味して、治療方法を選択します。

▲ 喘息運動負荷試験の様子

➤女性アスリートの3主徴(エネルギー不足・無月経・骨粗鬆症)
無月経は女性アスリートに一番多い問題です。InBodyで測定したBMI・体脂肪率は無月経の重要な評価項目になります。問診内容や体成分データ、血中のエストロゲン値などから現状を把握し治療方針を決定します。エストロゲンは骨を強くする働きもあるので、エストロゲンの減少は月経不順・無月経・骨粗鬆症・疲労骨折などのリスクを高めます。女性アスリートの3主徴の治療にはエネルギー不足の改善が必要不可欠のため、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスがしっかり取れているのか確認します。その上で、女性ホルモンが足りていない場合は女性ホルモン補充療法を行うこともあります。適切な栄養管理が行われていれば、多くの場合、スポーツ内科疾患を含む体の不調を予防することが出来ます。

➤オーバートレーニング症候群
通常、運動を行って疲労が溜まるとパフォーマンスは低下しますが、適切な休息を取ると超回復が起こり、競技力は向上します。しかし、体が十分回復する前に更に運動を行うと、回復が追い付かずにパフォーマンスはどんどん低下してしまいます。この状態をオーバートレーニング症候群と言い、長期間のハードトレーニング・トレーニングにおけるパフォーマンスの低下・日常生活での疲労症状の3つに該当する人はオーバートレーニング症候群を疑うきっかけになります。疲労症状としては、倦怠感・息切れ・微熱などの様々な身体症状や、不眠・焦りなどの精神症状が見られます。選手や指導者の中にはオーバートレーニング症候群を知らない方もいます。パフォーマンス低下の焦りから、自分がオーバートレーニング症候群かどうか分からないまま更に追い込んでトレーニングをしてしまい、悪循環に陥る場合もあります。

田中先生:
「アスリートが内科的な要因で不調に陥る可能性があることや、スポーツ内科疾患として、貧血や無月経、オーバートレーニング症候群などがあることを啓発する必要があります。通常の怪我は痛みを伴うので病院で治療を受けることを考えますが、貧血や無月経などのスポーツ内科疾患は痛みなどのわかりやすい症状がないことが多いです。痛みがないのに自身の不調を感じたとき、スポーツ内科を受診しようという考えが広まるような活動をしたいと思います。」


日本スポーツ内科学会の設立

スポーツ内科の知名度を上げるために、田中先生は2019年3月に日本スポーツ内科学会を立ち上げました。【スポーツ整形】【スポーツ栄養】といった言葉が世間に広まっていく一方で、スポーツ内科という言葉はなかなか浸透していません。

田中先生:
「スポーツ整形学会もスポーツ栄養学会も既に存在しているにも関わらず、なぜスポーツ内科の学会がないのかという話が挙がりました。学会が出来るとそこに興味のある先生が集まり、情報交換や啓発活動がより活発になります。そこで、有志を募って学会を立ち上げました。今はコロナ禍もあり、活動が思うようにできていませんが、スポーツ内科の啓発活動・スポーツ内科医のネットワーク構築・多職種連携(栄養士・トレーナーなど)を目標にしています。」

コロナ禍以前は、全国でスポーツ内科を周知するための講演会を毎月行っており、学会会員数も少しずつ増えています。

田中先生:
「スポーツ内科の看板を掲げずにスポーツ内科疾患を診ている先生もいらっしゃるかもしれませんが、スポーツ内科を専門として活動されている先生は、実は全国に10名ほどしかいません。当面の目標は各都道府県にスポーツ内科医を1人配置する体制作りです。合宿先や遠征先での環境変化による喘息の悪化が起きるケースがあるため、現地のスポーツ内科医と連携を取り、どこへ行っても適切な医療を受けられるような体制を作れたらと考えています。」


スポーツ栄養とは

▲ 山本 尚代さん

スポーツ内科疾患の治療に欠かせないのがスポーツ栄養による食事サポートです。ゆうき内科・スポーツ内科には管理栄養士が2名在籍しており、その1人の山本 尚代さんはスポーツ栄養相談を担当しています。山本さんは同志社女子大学在籍時からInBodyを使用しており、InBodyの細かい項目まで精通しています。管理栄養士にはそれぞれ得意分野があり、糖尿病に強い方、高齢者に強い方、食育に強い方がいますが、山本さんはアスリートの栄養サポートに強いスポーツ栄養士です。

山本さん:
「元々、予防栄養の分野に興味があり、スポーツ栄養にも関われたらと考えていました。学生時代はInBodyを用いて、大学ボート部の栄養サポートをしていました。大学卒業後、病院、Bリーグのチーム食堂での管理栄養士業務を経て、現在は当院の常駐スポーツ栄養士として勤務する傍ら、個人的に依頼をいただくアスリートの栄養サポートなども行っております。」

ゆうき内科・スポーツ内科では、スポーツ内科を受診された方へスポーツ栄養相談も併せて受診することを推奨しています。田中先生の診察と普段の食事内容のヒアリングなどを基に、山本さんが一人一人に合わせた栄養相談を行っており、一般内科でも生活習慣病の方や高齢者の方への栄養相談を行っています。一般内科とスポーツ内科で合わせて毎月40~50名の方が栄養相談に来られます。

▲ カウンセリング風景

スポーツ栄養相談を受けるのは、部活動に参加している学生や実業団の選手が多いです。最近は熱心な市民ランナーの方々からの栄養相談も増えています。InBodyの測定結果や普段食べている食事、練習量、生活リズムなどをヒアリングして、その人に適した食事・生活習慣のアドバイスを行います。その人の代謝能力や1回に食べられる量なども関わってくるので、食事を小分けにしたり、間食を追加したりするなど、本人が実践しやすいアドバイスを心掛けています。

山本さん:
「栄養相談を行う際、InBodyの結果用紙で一番使用するのは各項目の履歴です。体重・筋肉量・体脂肪率がどのように変化しているか経過を確認していただくことが大事だと思います。2回目以降の受診の方は各測定値のおおよその変動が予想できるので、これらの変化に対して、本人がどう思っているか聞くようにしています。例えば、筋肉量が減った場合、先日怪我をして練習量が減ってしまったからと理由が分かればいいのですが、本人に思い当たる理由がないときは一緒にその期間の食事内容・運動量・生活環境などを振り返り、見直します。また、結果用紙の体水分量・タンパク質量・ミネラル量は実際に食べた栄養素を意味するものではなく、バランスの良い食事・適切な運動・十分な休息などの生活習慣すべてが影響していると説明するようにしています。学生の場合、保護者の方と来院されることが多く、ご家庭での食事管理は保護者の方の協力が必須のため、一緒に栄養相談を受けていただきます。ただ、「食べる」という行為は本人の意思が必要不可欠で、また将来的にも自ら考え選択できる選手が強くなるだろうとの考えから、保護者の方に頼り過ぎないよう本人に目的・目標のためにどう行動すべきなのか考えてもらう時間にできるよう心掛けています。」


▲ 結果用紙下部の体成分履歴に表示される直近8件のデータ

山本さん:
「肥満の方は体質改善のモチベーションを維持していただくためにも、私から田中先生へ次回の受診タイミングを提案することもあります。以前、体幹体脂肪量が200%以上と標準範囲を大きく上回る方が栄養相談を受けてくださいましたが、その方は3ヶ月間ほどで体幹体脂肪量を標準範囲内の120%(InBodyの体脂肪量の標準範囲は80~160%)まで落としていました。健康習慣の取り組みを続けられただけでなく、結果が客観的な数値でも確認でき喜んでいらっしゃいました。」

これまで田中先生が一緒に仕事をされてきたスポーツ内科医や管理栄養士、スタッフの方々は定期的な体成分測定の重要性を理解しています。InBodyの測定データと血液検査など様々な情報を組み合わせて総合的に判断することがより良いサポートに繋がると認識しています。


終わりに

田中先生は、スポーツ内科とスポーツ栄養、スポーツ整形、婦人科との連携を理想とされています。

田中先生:
「例えば、普段から無月経の女性アスリートが疲労骨折してスポーツ整形の受診に来ると、まずは怪我の程度や手術の必要性、今後のリハビリの計画などを確認します。しかし、疲労骨折の根本的な原因は体脂肪量の過度な不足による女性ホルモンの減少、無月経である場合は少なくありません。つまり、スポーツ整形の受診だけではなく、スポーツ内科や婦人科的な血液検査・診察、スポーツ栄養的なエネルギー摂取量の評価なども不可欠と言えます。一つの病院の中にこれらの診療科がすべて揃い、そこで治療を完結できるようにすることが私の最終的な理想です。スポーツ整形を受診しに来た女性アスリートに対しては、月経の有無やエネルギー不足が怪我の背景にあるのではないかと疑う視点を持っていただければ良いのですが、そこまでの視点を持っている医師は大変少ないです。スポーツ内科では、疲労骨折をはじめとした怪我が起きないように予防介入することも重要です。まずはスポーツ整形やスポーツ内科、婦人科が適切に連携をとって、アスリートを一緒にサポートできる関係を築けたらと考えています。」

▲ 田中先生の思い描く理想の連携像

山本さん:
「瞬時に体成分を測定できることは、栄養相談を行う上でとても心強いです。アスリートの中にはチームの決め事として体重制限を課されている選手もいて、体重が増えたことをとても気にする方が多いですが、InBodyでは何が増えて体重が増加したのか確認することができます。中高生は身長が伸びて体が完成してくる時期なので、それも踏まえて栄養相談を行っていかなければなりません。
トップアスリートが食事を気にすることは当たり前になっていますが、これはスポーツを行う人全員に生涯の健康のためにも意識していただきたいです。当院では、スポーツを行う人であれば誰でもサポートできる体制を整えていますので、何かあれば是非私たちに相談してほしいと思います。」

田中先生:
「私は『自分の体を知ること』が大事だと考えています。InBodyは自分の体を知って目標とする体を意識し、スポーツ内科的なコンディション改善に取り組むための良いツールです。私が講演を行う時には必ず、『自分の体に興味を持つこと』を伝えています。それが自己管理能力にも繋がりますし、これからもっと上を目指すのであれば、必要不可欠な能力になります。また、スポーツに限らず、これからの人生にきっと役立つと思います。」

,

ルネサンス -健康経営の推進における提案とサポート-

機種モデル:InBody430

株式会社ルネサンスは全国展開の総合型スポーツクラブを中核に、自治体や法人を対象とした健康づくり支援・介護リハビリ支援・海外市場への参画など様々な事業を展開する会社です。特に健康づくり支援では、全国の企業・健康保険組合・共済組合を対象に、健康経営の実践を支援しています。創業当時からTHP(トータルヘルスプロモーション)の支援として企業向けの体力測定などの健康支援事業を立ち上げ、現在ではヘルスケア事業として1,300社を超える企業のニーズに応じて出張プログラム・イベントの開催や、健康経営の課題解決・健康経営推進者養成研修などを行っています。

ルネサンスは企業理念である“生きがい創造企業”のもと各事業を推進しており、その実現には従業員の心身の健康が前提となる考えから従業員の健康づくりも積極的に取り組んでいます。このような取り組みが認められ、ルネサンスは経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」に4年連続表彰されています。
▲ 健康経営優良法人(ホワイト500)


目線を合わせた健康づくり支援

▲ 関 芙美子さん

健康経営推進部 健康経営ソリューションチームに所属している関 芙美子さんは、企業・健康保険組合・共済組合などの健康づくり支援に従事しています。2007年に株式会社ルネサンスに入社した関さんは、最初はスポーツクラブのフロント部門に配属されましたが、入社当時から保有していた管理栄養士の資格を活かし、パーソナルトレーニングで食事指導を行っていました。その後、2010年にヘルスケア企画部に異動し、特定保健指導業務の推進やヘルスケア事業関連のプログラム発展に努めてきました。現在は市場のニーズに合わせて、企業・健康保険組合・共済組合を対象に健康経営のプランニングや健康づくりの実行支援を行っています。また、関さんは管理栄養士以外に、第一種衛生管理者・健康経営アドバイザー・健康マスター普及認定講師の資格を保有しており、これらの知識を駆使して企業のニーズを超える健康づくりの提案を行っています。

※第一種衛生管理者: 常時50名以上の労働者が働く事業場の衛生管理者が持つ資格
※健康経営アドバイザー: 健康経営の必要性を普及させて実施する推進者
※健康マスター・普及認定講師: 健康に関する幅広い知識を活用し、地域や企業向けに「健康を語る講師」として活動できる資格

「健康づくり支援では従業員の健康管理に携わる方を相手に、最適なプランを提案する必要があります。その際、相手と同じような資格や、健康経営に特化した知識を持つことで、相手の立場から本当に必要としているプランを案内することができます。」


無関心層に対する健康意識の向上

経済産業省が推進している健康経営は、健康経営銘柄や健康経営優良法人認定制度などが創設されてから年々関心が高まっています。このような現状の中、健康づくり支援では各法人が抱える様々な健康課題の中でも主に生活習慣病・メンタルヘルス・労働災害に特化したプログラムを提供しています。プログラムは➀メタボ予防・身体機能改善・メンタル強化・安全衛生などを目的とする気軽な運動実技、➁メタボリックシンドローム・メンタルヘルス・働き方などに関するセミナー、➂身体機能・血液循環・ストレスなどを調べる測定、の3つのカテゴリーが用意されており、各カテゴリーのプログラムを組み合わせることで更に健康管理の効果を高めることができます。また、運動実技とセミナーはオン・オフラインどちらでも開催でき、企業の要望に合わせて提供しています。
▲ リラックスできるヨガの実技運動

測定プログラムの中にはInBodyによる体成分測定があります。ルネサンスは2002年9月から据え置き型のInBody3.2を導入していましたが、ヘルスケア事業は訪問指導が必要とされるため持ち運び可能な機器の導入が必要でした。そして、運搬の安全性及び測定の正確性の条件に最も適した装置を検討した結果、2010年4月にInBody430を導入し、現在は計10台を運用しながら全国各地で測定会を行っています。

「InBodyは無関心層の健康意識を高めることに長けています。健康診断は、受診回数が年1回しかなく結果の通知まで時間がかかります。一方、InBodyはその場で結果が確認でき行動変化を促しやすい上に、測定方法も簡単なので誰でも気軽に参加できます。また、健診では見えない従業員の身体状況をデータで捉えることができ、健康経営の打ち手を決めるためにInBody測定を導入し、経年変化を捉えるために毎年実施している企業も多々あります。」

▲ InBody測定の様子

InBody測定プログラムは、数値で身体状態が分かり、数値や嗜好をもとに専門スタッフから栄養・運動関連のアドバイスをもらえるため、健康意識に対する気づきや動機づけに効果的です。特に、InBody430の「骨格筋・脂肪」や「体型チェック」結果は視覚的に分かりやすく、参加者の関心が高い項目です。

▲ 骨格筋・脂肪は体重に対する筋肉と脂肪のバランスを評価


▲ 体型チェックはBMIと体脂肪率を組み合わせて体型を評価


健康経営推進のための豊富なサポート

健康づくり支援の1つにスポーツクラブ ルネサンスの法人会員契約制度があります。全国に100クラブ以上を展開しているので、会員は職場や自宅に近いクラブなど自由に選べる便利さと、自分の利用頻度やライフスタイルに合わせてクラブの利用プランを選択・変更できるため、利用継続しやすい特徴があります。加えて、法人は利用料金の補助もでき、従業員の健康づくりを更に推進することが可能です。

対象となる法人の従業員はスポーツクラブ ルネサンスにお得な価格で通いながら、充実したサポートを受けられます。スポーツクラブ ルネサンスの入会時には、各施設に設置されているInBodyで筋肉量・体脂肪量などを測定し、その結果を基にカウンセリングを行います。その後も利用者の希望に応じて1ヶ月間隔の測定及びカウンセリングを実施しており、トレーニングの効果を数値で確認できるのでモチベーションもあがり継続していける環境が整っています。

日常の食生活や運動に関する支援はトレーナーからのみではなく、スポーツクラブ会員が無料で使用できるアプリ「カロママ プラス」からも受けることができます。「メタボ対策」「低栄養対策」「ほどよく筋肉&引き締め」など9つの課題別コースから選択し、毎日の食事・運動・ヘルスデータを記録することで、AI管理栄養士のアドバイスがもらえます。

「ルネサンスはホスピタリティマインド(心からのおもてなし)を何よりも大切に考えており、ホスピタリティを啓発するスタッフは、NPO法人日本ホスピタリティ推進協会で認定されたホスピタリティ・コーディネーターによる教育を受けます。そのため、ルネサンスのスポーツクラブにはホスピタリティマインドを持って一人一人の会員に寄り添えるスタッフが多く在籍し、運動習慣がない人でも安心して始められ、続けていけるサポート体制を整えています。」

▲ スポーツクラブ ルネサンスのスタッフがアプリ「カロママ プラス」を使用して説明している様子

こうした従業員自らの健康づくりを支援する他に、法人向けの健康づくり支援では、従業員の健康リテラシーを高め、健康づくりの実践のきっかけを作り、日々の生活での健康づくりを支援して継続する、という一連のサービスを提供しています。例えば、セルフケアによる健康管理を実現させたい企業に対しては、食事を含む日々の健康状態を可視化できるアプリ「カロママ プラス」を提供し、セルフケアを浸透させる環境づくりを手助けしてきました。アプリに入力されたデータは、利用者本人の健康づくりだけでなく、従業員の食事内容・歩数・運動状況などの生活習慣の動向を把握し、健康経営の施策に役立てることができます。また、メタボ対象者の削減に取り組む企業に対しては、食事・睡眠・運動のセミナーを開催し、受講後はスポーツクラブのパーソナルトレーニングで運動を支援してきました。このように多様なサービスを組み合わせ、具体的な健康行動を体験・実行してもらうことで、各企業の課題を解決していけることが、ルネサンスが健康経営のパートナーとして選ばれ続ける理由です。


企業理念の実現に向けた成長

最近はコロナウイルスの影響で在宅勤務が推奨されるようになり、運動不足による体重増加やメンタル不調の健康課題による問い合わせが増えています。このような現状の中で、健康づくり支援はコロナ禍でも対応できる仕組みを早くから取り入れていました。従来、セミナーや運動実技プログラムはオフラインで行われていましたが、受講形態をオン・オフラインの両方から選択できるようにし、オフラインのプログラムを安全に開催するために感染対策のガイドラインも作成しています。他にも、オンデマンド・YouTube・スポーツクラブ会員向けアプリ「Myルネサンス」でオフィスエクササイズ・ストレッチ・スポーツクラブでのレッスン動画の配信や、自宅でスポーツクラブのレッスンにリアルタイムで参加できるオンラインライブストリームなど、遠隔でできるサービスの幅を広げており、社会の情勢やニーズの変化に適応するサービスを発展させています。

「プログラムの終了後には毎回アンケートを行っており、“短時間のカウンセリングでも健康意識が変化した” “良い点を褒めてくれるのでやる気に繋がった” などのお声をいただくと嬉しい気持ちになります。」


InBodyを活用した新たな仕組み作りを今後の課題の一つに挙げています。
「以前グループインタビューを実施した際、InBodyは利用者から好評をいただいていることがわかりました。体の中身の可視化は見たくない現実ではありますが、やはり健康管理の動機づけに役立つ万能なツールだと感じました。健康づくり支援においてInBodyは従業員の健康改善に寄与しており、測定者自身のモチベーション向上に繋がっています。今後はそれに加えて、測定をしていない従業員も巻き込んで全体のモチベーションに働きかけるような仕組み作りを検討しています。」

「現在、ルネサンスはスポーツクラブの運営を核としている会社ですが、様々な事業の取り組みを通して社会課題を解決する “スポーツと健康のソリューションカンパニー” を目指しています。今後も企業理念の実現に向けて、より多くの人たちが健康で幸せな人生を送っていただけるようお手伝いを続けていきたいと考えています。」

,

紀の川市役所:後編 -フレイル予防における市役所でのInBody活用-

機種モデル:InBody470

この取材の前編を見逃している方は、こちらもご覧ください☞「紀の川市役所 前編


コロナだからこそ始まった、高齢者の社会参加へのサポート

コロナウイルスの影響を鑑みて、2020年の集会所での活動は4~6月の3ヶ月間、自粛を要請せざるを得ませんでした。7月から順次再開していますが、集会所によっては自粛を継続しているところもあり、現在も約20ヶ所で活動を休止しています。コロナ禍で活動が制限される中、自宅に籠りがちな高齢者へどうやってアプローチすべきか考えた結果、自宅でできる体操の動画を新たに作成することになりました。

田村さん:
「元々、40分ほどのてくてく体操を理学療法士がサポートしながら地域の皆様に行っていただくことが前提だったので、一般向けの動画を作成することは考えていませんでした。しかし、コロナ禍で体操活動の自粛をお願いせざるを得ない状況になり、家に閉じこもっている方に対して何かできることはないかと考えた際、理学療法士に提案されたのが『おうちでてくてく体操』でした。従来のてくてく体操は40分くらい動き続ける内容なので、自宅で1人だけで行うのは難しいです。どうにかして少しの時間でも気軽に楽しく運動してほしいという思いがありました。」

和歌山県と地元テレビ局(テレビ和歌山)の協力を受けて撮影された「おうちでてくてく体操」の映像は、2020年5月から7月末まで平日午後0:54~0:58の間に、県内で放映されました。作成された動画は紀の川市のYouTubeチャンネルでも見ることができますが、DVDや紹介冊子の提供依頼も多く寄せられています。

大井さん:
「コロナ禍では、どうしても生活が不活発になり、運動しない方が増えてしまいます。そういった方に対して、運動するきっかけ作りをしたかったです。例えば、NHKでも体操番組は毎日流れていますが、午前中にNHK、お昼に私たちの体操、また夕方にNHK、といったように運動を行うきっかけを増やすことが大切だと思いました。また、昨年より全国でも珍しい理学療法士と行政の関わりをYouTubeで紹介していたこともあり、今回もYouTubeを活用してみようという流れになりました。」

▲紀の川市のYouTubeチャンネルで公開されている「おうちでてくてく体操」

大井さん:
「毎週参加していたてくてく体操に愛着を持っていた方々が、コロナをきっかけに活動できなくなったことで、健康被害や、私たち関係者から『ほったらかされているんじゃないか』と孤独や先行きの不安を感じた方がとても多かったようです。テレビ放映を行うことで『1人じゃないよ』」『私たちは気にかけているよ』という私たちの想いが伝わり、とても嬉しかったと、再開後の自主運動グループでたくさん声をいただきました。また、自分たちが普段やっている体操がテレビで放映されてとても誇らしかったという声もいただきました。コロナ禍で活動が難しい時期ではありましたが、新しく体操を作って良かったと思います。」

また、コロナ禍で閉じこもりがちとなっている方の外出のきっかけを作る取り組みとして、2020年9月から始めたのが移動カフェ「ひなたぼっこ」です。

▲ 移動カフェ「ひなたぼっこ」で集まって談笑、後ろの軽トラックで買い物ができます

コロナ禍の中、民間のバス会社から移動スーパーを始めるにあたり、地域のために何か貢献できることはないかと市役所に相談が寄せられました。生活支援に関するアンケートでも『見守り・声かけを強化してほしい』という声が多く、検討を重ね、お楽しみ要素でカフェを、生活のご支援でお買い物のできる集い場事業を企画しました。また、コーヒーなどの飲料は無償で提供いただけることとなり、包括連携協定を締結しました。身近な地域から短時間ですが、人が集い、見守りや声かけに繋がっています。市役所に寄せられる民間事業者や市民の声に耳を傾けて、点と点を繋ぎ合わせることでニーズをしっかりと具現化できることがわかった取り組みと言えます。この移動カフェは、てくてく体操に参加されている方もそうでない方も交流や買い物目的で集まり、そこで新しい繋がりも生まれています。

田村さん:
「ご近所さんのはずなのに、『久しぶりやね~』と話している姿を見て、不思議な感じがしました。体操を行っている集会所でも、移動カフェという違う形で回ることでまた別のコミュニティが生まれると感じました。今回のコロナ禍を機に、体操だけがフレイル予防に繋がるわけではないと実感しました。最近は身体的なフレイルだけでなく、精神的なフレイルである『社会的フレイル』も問題になっています。これからも幅広い事業に取り組み、ご高齢の方の『社会参加』を第一に考えていきたいです。コロナの逆風を追い風に変えていけたらと思います。」

大井さん:
「体操は分かりやすい事業ですが押し売りになってはいけません。いくら体操が体に良くても無理やりでは逆効果になってしまいます。体操を求めていない方はサロンや移動カフェに社会参加してもらうことで、十分健康づくりができるかなと思います。最近、ご近所付き合いが希薄になっていると言われていますが、社会参加を機に声を掛け合うようになった、前よりも携帯電話で連絡を取り合うようになったという声もあります。」

今後は、体操拠点のないところで移動カフェを開設した際に理学療法士を派遣し、「最近ご飯があんまり食べられなくて・・・」「先週から少しだけ腰が痛くて・・・」など、病院にわざわざ通うほどではない相談事を近所の集会所で聞いてもらえるような事業もできないか、思索しています。

田村さん:
「コロナ自粛の3ヶ月間という短いようで長い期間が高齢者に与えた影響はとても大きかったようで、身体機能や生活機能低下が見られる方も出てきています。地域包括支援センターには、そういった報告が増え始め、少しでも高齢者の機能低下を防ぐためには、スピード感を持って在宅支援を行うことが必要だと感じました。様々なイベントの中止や休止はやむを得ませんが、代わりに何ができるのか模索することは、現在どの自治体でも抱えている課題だと思います。私たちは地域を応援するスタンスを常に持ちつつ、さまざまなところからの声に耳を傾け続けることで、自然と市民の皆様に必要な事業が生まれてくると思っています。」


「市民が市民を支える」フレイルサポーター

東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)の飯島 勝矢教授が打ち出したフレイルプロジェクトは、市民ボランティアとして活躍する「フレイルサポーター」が支えています。フレイルの確認は、それまでの研究をもとにフレイルチェック項目を作成し、下腿周囲長測定や簡単な質問に答えてもらうなど、フレイルサポーターが約2 時間かけてフレイルのリスクを調べます。

フレイルサポーターに参加するためには、フレイルサポーター養成講座を受講する必要があります。市の広報などでフレイルサポーターに興味を持った市民の皆様が、講座でフレイルとは何か? から予防のための運動・栄養のことを勉強します。現在、紀の川市内では約80名の方がフレイルサポーターとして活動しており、集会所で行われる年1回のフレイルチェックにスタッフとして参加しています。元気なサポーターさんを見て、刺激を受ける方も少なくありません。
▲ フレイルチェック項目の一つである指輪っか測定

田村さん:
「市役所に勤務している理学療法士だけでなく、病院や介護事業所の理学療法士、作業療法士も活動に参加いただきサポートしてもらっています。そのおかげで各集会所には年に3~4回理学療法士や作業療法士が訪問できていますが、毎週訪問することはできません。サポーターさんにフレイルチェックを行ってもらうことで、より参加者の健康意識が高い状態をキープできていると実感しています。」

大井さん:
「参加者の中には、理学療法士など専門職の人からフレイルや栄養について言われることに抵抗を持つ方もいます。特に栄養については、私たちから食事や水分摂取のアドバイスをしても、『先生たちは若いからご飯いっぱい食べられるんやで』と話を流されてしまいます。しかし、同じことを同年代の知り合いに言われると自分ごととして捉えやすくなり、説得力があるようです。フレイルサポーターの皆さんはとても意欲的な方が多く、フレイルチェックや栄養について分かりやすく説明された紙芝居もしてくれます。そして、何よりもフレイルサポーターに参加すること自体がその方自身のフレイル予防に繋がり、社会参加の一環にもなります。また、フレイルサポーターがいる集会所はフレイル予防意識が高まります。自主運動グループを立ち上げても、モチベーションを保てず活動しなくなってしまっては元も子もありません。フレイルサポーターの皆さんの協力もあって、モチベーションが高い状態で活動を継続できています。」

▲ フレイルサポーターによるフレイルチェックの様子


活動宣言ノート「マイプラン」の発行

2016年から介護予防事業を周知するため、「マイプラン」というパンフレットを作成しています。自主運動グループの一覧だけでなく、てくてく体操を取り入れているデイサービス施設、自宅で行える手軽な運動、フレイルチェック、食事アドバイスなども掲載しています。

岡本さん:
「マイプランでは、歯の健康についても取り上げています。自主運動グループに参加されている方でとても元気な90代の方がいらっしゃいます。定期的な運動を行われていますが、何よりも歯がしっかりしていて、入れ歯ではなくすべて自分の歯で食事をされることに驚きます。他の元気な高齢者も歯が健康な方が多く、逆にやせ細った方や元気のない方はお口に課題を抱える方が多いです。フレイル予防には歯の健康状態=オーラルフレイルも気にかけなければなりません。」

田村さん:
「InBodyで測定した筋肉量やSMIの低下の原因を見ていくと、運動不足だけでなく、タンパク質摂取量の低下も見られることから栄養不足も要因として浮かび上がり、更にヒアリングしていくと、歯の健康状態が良くないため、十分な栄養が取れていないことが分かってきました。入れ歯や咀嚼力の低下はお肉など、硬い食べ物を噛み切ることを難しくさせます。近年、『オーラルフレイル』や『口腔機能低下症』が注目されていますが、紀の川市のフレイルチェックの結果を見ると、参加者の約2人に1人がお口の健康に問題を抱えていることが分かり、『お口』と『栄養』が紀の川市の今後の課題であると感じています。」

紀の川市ではオーラルフレイル対策として、地域の歯科医師との連携を企画しています。既存のフレイルチェックに加え、オーラルフレイルチェックも取り入れることで、オーラルフレイルのリスクがある方に対して地域の歯科医院の受診を勧めようと検討しています。その際、InBodyの結果用紙やヒアリングの内容なども地域の歯科医師へ共有する予定です。

田村さん:
「InBodyの測定結果からサルコペニアの評価と原因を探り、その原因に詳しい専門職の方に引き継ぐ流れを作るなど、理学療法士だけじゃなく、様々な専門職の方に協力していただきたいと考えています。InBodyは多職種をつなぎ合わせる『ボンド』だと捉えており、InBodyを通じて様々な分野の方を巻き込みたいと思います。色々な人や物をつなぎ合わせるところは、InBodyと市役所で通じるものがあると感じています。」


市内の事業所・医療機関との連携体制

紀の川市内の事業所でもてくてく体操を取り入れており、自宅から通える場所にてくてく体操がない場合は、事業所の利用を検討する場合もあります。病気やケガで入院した方が退院する際、病院から自主運動グループを案内してもらうことで、高齢介護課に「リハビリ目的で参加したいので体操をしている近くの集会所を教えてほしい」という問い合わせが入ります。地域包括支援センターのケアマネージャーが担当している高齢者に自主運動グループを勧めることもあります。このように、市役所から自主運動グループを発信するのではなく、身近な病院やケアマネージャーから案内してもらい、自主運動グループに誘導しやすい体制を今後もより一層強化していきたいと思います。また、自主運動グループの参加者が近所の知り合いを連れて来てくれることも多く、口コミで広がっていくことで1回きりの参加でなく、継続的に参加してくれるようになります。

田村さん:
「最初は市役所がイベントや介護予防教室を実施するなど、主体的に事業を推進していましたが、市役所はあくまで、環境作り・サポート体制作りのきっかけを提供することが大事だと思っています。」

▲ 口コミで広がるてくてく体操

その一方で、自主運動グループに参加されていた方が病気やケガによって入院する際、病院から市役所に問い合わせが入ることで、それまで集めていたInBodyや体力測定のデータを病院へ提供します。病院は入院するまでのデータを加味して、その方に合う治療方法を選択しやすくなり、健康な状態での数値を知ることで治療の目標を立てることができます。

大井さん:
「例えば、脳梗塞で入院した方の入院1ヶ月後や退院時のデータは論文でたくさん紹介されています。しかし、そのデータはあくまで平均値でしかなく、患者個人のデータではありません。地域でのデータは、患者の入院前データを見ることで患者の状態が把握しやすくなり、治療のゴールも設定できるため、病院で勤務している側からすると、とてもありがたい情報です。私の勤務先である貴志川リハビリテーション病院や他の提携している病院にもInBodyがあるので、入院中もInBodyのデータを取り続けることができて、退院後はまた地域でInBodyや体力測定のデータが蓄積されていきます。このように、各個人のデータを病院や地域で継続的に集めることができる体制を作ることは、地域全体で高齢者を支えることに繋がります。今後も更に病院や介護施設との連携を深めていきたいと思います。」


終わりに

紀の川市の取り組みは他の自治体からも注目度が高く、取り組み内容についての問い合わせが多く寄せられています。フレイルチェック事業に関しては、既に20ヶ所以上の自治体が視察に来ており、現在はコロナのため視察は休止していますが、フレイルチェックについての電話問い合わせは今でも尽きることはありません。

大井さん:
「現在、InBodyをはじめとした5年分の測定データを分析しています。今後、フレイルチェック活動が順次再開できたら、InBody2台をフル稼働して測定を行い、コロナ前後での体成分や健康状態の変化も見ていきたいと考えています。InBodyで測定を始めて感じたことは、とにかく定期的な測定を続けることが大切だと思いました。ただ1回測っただけでは何も始まらず、継続して測って数値の変化を確認して初めて活用できるものだと思います。健康のためを思えば、一生測り続けるべきです。」

田村さん:
「介護予防事業のためにInBodyの導入を考えている行政の方は是非とも、地域の病院やクリニックなど専門職の方の力を借り、地域の方々の状態像を把握すべきです。また、フレイルのことを知らずに、さまざまな計画や企画を立案することはできないと思います。私はInBodyをきっかけとして、フレイルやサルコペニアに興味を持ち、知ることができてとてもよかったと思っています。そして、今取り組んでいるすべての事業は市役所だけの力ではなく、これまで携わっていただいた専門職や市民の皆さんのおかげで成り立っていると思います。これからも皆さんの知恵やお力を借りながら、市民の皆様のためにできることを模索し続けたいと思います。」

,

紀の川市役所:前編 -フレイル予防における市役所でのInBody活用-

機種モデル:InBody470

紀の川市は和歌山県北部に位置する人口約6万人の自治体です。2005年に近隣の5つの町が合併して誕生しました。農業が盛んで、1年を通して四季折々の農産品を楽しむことができ、特に桃や苺、柿などの果物が有名です。紀の川市は、「フレイル予防推進のまち」として、福祉部高齢介護課が市民のフレイル予防に取り組んでいます。

▲ 左から田村 隆明さん、大井 裕幸さん、岡本 淳さん

高齢介護課総合事業班副主任の田村 隆明さんは市役所の介護予防事業を担当しています。貴志川リハビリテーション病院の理学療法士である大井 裕幸さんと岡本 淳さんは紀の川市役所の高齢介護課で勤務しています。大井さんは2019年4月から、岡本さんは2020年4月から介護予防事業に携わっています。病院の専門職の方が市役所の事業に携わっているのは全国でもとても珍しいです。紀の川市内には、地域の皆さんが主体的に実施する体操活動拠点が約120ヶ所あり、各公民館や集会所を回り、InBody測定やその結果を活用してフレイル予防のアドバイスを行うなど、地域活動をサポートしています。


「紀の川 歩 (てくてく) 体操」 市役所と病院が連携した介護予防事業

2014年夏から市役所と病院が連携した介護予防事業がモデル的に始まりました。紀の川市では、2004年から介護予防教室として和歌山県と和歌山大学が共同開発した「わかやまシニアエクササイズ」に取り組んでいました。地域の高齢化に伴い、もっと身近な場所で運動活動がしたいとの要望もあり、貴志川リハビリテーション病院理学療法士の監修で、ご当地体操「紀の川 歩 (てくてく) 体操」(以下てくてく体操)が考案されました。翌年2015年9月からは市民が最寄りの集会所に集まって、週1回定期的に運動を行う場が立ち上がり始め、てくてく体操を収録したDVDは、各拠点に配布され、皆さん楽しく元気に活動されています。市内88ヶ所の集会所に、市民が自主的に集まり、毎週てくてく体操を行っています。参加人数の合計は約1,000名となっています。

▲ 集会所での体操風景

2016年9月から貴志川リハビリテーション病院の理学療法士1名が、市役所の高齢介護課に勤務する形で介護予防事業をサポートしています。そして、2019年4月からは事業拡大を目的に、理学療法士2名が勤務するようになりました。

田村さん:
「お恥ずかしい限りですが、貴志川リハビリテーション病院からお話をいただくまでは、PT(理学療法士)やOT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)という職業自体知りませんでした。このお話のおかげで私自身もリハビリ専門職についてたくさん勉強させてもらいました。定期的に運動を行うだけでなく体力や筋肉量の測定も行って評価する方が良いという意見をいただき、年に一回測定することになりました。」

大井さん:
「当時、日本理学療法士協会は介護予防の取り組みとして、地域で活躍できる理学療法士を増やすよう呼びかけていました。貴志川リハビリテーション病院は社会医療法人のため、地域の介護予防事業を市役所と一緒に取り組むことは自然な流れでした。」

最初は、貴志川リハビリテーション病院で使用しているInBody770を、各集会所に運んで筋肉量などを測定していました。しかし、InBody770は専用ケースを含めると重量が70kg近くあり、大人の男性2人でも持ち運びにとても苦労します。拠点数も増えるにつれ、測定の度に病院から借り続けるのも現実的でなく市役所で購入した方が良いと考え、2018年4月には、持ち運びに便利な1台目のInBody470、2020年7月に2台目のInBody470が導入されました。

大井さん:
「私たち理学療法士の多くは病院や介護施設に勤務しており、行政に関わる理学療法士はほんの一握りです。病院では患者さんと1対1で関わりますが、行政では理学療法士ひとりに対し、一度に多くの方と関わります。また、病院に来られる方は病状によって『もっと早くリハビリ専門職が関わっていれば…』と思うこともあり、要介護や要支援状態となる前段階であるフレイル(加齢による虚弱化)の予防がどれだけ大切か、日々の活動の中で痛感しています。ポピュレーションアプローチに携われることは、私の理学療法士人生の中でもとても貴重な経験になっています。」

岡本さん:
「行政に関わる前は訪問リハビリに携わっていました。訪問リハビリを行う在宅患者さんは外出が難しいこともあります。4月から行政に関わるようになって、元気な方と入院・訪問リハビリが必要な方の中間にいる、フレイルの方に対するアプローチを日々学んでいます。病院や訪問リハビリで関わる患者さんはリハビリを行って直接的に治療します。しかし、今関わっている地域の方々は現時点で何かしらの病気やケガがあるわけではないので、直接的な治療ではなく、間接的な治療=健康への意識改革をしていく必要があります。」

田村さん:
「市の職員がフレイル予防に関する啓発を行うことは可能ですが、理学療法士をはじめとした専門職の方からの言葉は説得力が全然違います。参加される方も専門職の話をとても熱心に聞かれます。健康を維持するためには、専門職とともに健康への”意識”を高めてもらう必要があると思います。」


介護予防事業内容


現在、紀の川市にはてくてく体操とわかやまシニアエクササイズが共存しており、それぞれ異なる特徴があります。「紀の川 歩 (てくてく) 体操」は地域高齢者向けに理学療法士が専門職の視点から、効果の出やすい体操を構成しています。てくてく体操は3つの強度を用意しており、40~60分程度で構成されています。また、わかやまシニアエクササイズより運動強度は弱いです。体操の実施場所は、自宅から徒歩15分圏内程度で歩いて参加できる集会所で開催されています。これに対し、わかやまシニアエクササイズは踏み台昇降などアクティブな動きが多く、小学校区単位にある公民館で実施されています。運営の方向性も異なり、てくてく体操は理学療法士によるサポート、わかやまシニアエクササイズは健康運動指導士によりサポートしています。

このような違いから、てくてく体操は膝や腰に痛みのある高齢者でも参加できるリハビリとして、わかやまシニアエクササイズは元気な高齢者のアクティビティとして、対象者の明確化をしています。中には、どちらの自主運動グループにも参加されている方もいます。地域の集会所等でてくてく体操が行われていない場合は、新たに自主運動グループが立ち上がるよう、リーダーさんや区長を通じて働きかけています。

田村さん:
「同じ高齢者でも、65~74歳(前期高齢者)と75歳以上(後期高齢者)では筋肉量に大きな差が見られます。てくてく体操は運動強度が低めに作られているので、70代80代の方でも積極的に参加できる体操になっています。わかやまシニアエクササイズの開始から約10年後にてくてく体操が開始されたので、活動に参加される方々もその分高齢化しています。最近では、免許返納も話題になっていますし、車で公民館に行くことが困難な方も増えてきています。自宅から歩いて15分圏内くらいに活動拠点があることが理想です。現在、市内でてくてく体操が行われている集会所は80ヶ所以上で、車での移動が難しい方でも最寄りの集会所で自主運動グループに参加し、理学療法士からアドバイスをもらうことができます。紀の川市は公共交通機関も少ないため、身近な距離での支援を求めている市民の皆様の声を反映しています。地域の皆様に対して、選択肢を増やし、幅広いニーズに応えていくことが私たちの役目だと思います。」

▲ 集会所一覧マップ
青:わかやまシニアエクササイズ活動拠点、緑:てくてく体操活動拠点、ピンク:サロン活動拠点。青が点在しており、緑が密集していることが分かります。

てくてく体操に参加されている方の中には既に膝の痛みを抱えている方もいるので、個々人の状態や体力レベルに合わせてアドバイスを行う必要があります。集会所ではてくてく体操だけでなく、年1回の体力測定会も行っており、握力・5m歩行速度(通常・最大)・5回立ち座りテスト・TUGテスト・タンデム立位保持(開眼・閉眼)を測定します。

岡本さん:
「病院では血液検査などで多くのデータを集めていますが、地域に出るとデータが全くない状態から始めるため、限られた時間の中でどうやって瞬時にデータを集めるかがカギになります。InBody470は約15秒というとても短い測定時間で筋肉量や体脂肪量など多くのデータを安全に集めることができるため、とても重宝しています。InBody測定に加えて、握力や立ち上がりテストなどの体力測定のデータをもとに参加者へアドバイスを行います。」

大井さん:
「InBodyの測定結果で特に強調して説明する項目は4つあります。➀体水分量です。そもそもの水分量が少ない方が多いです。水分量が少ないと筋肉量は少なく、動くためのエネルギーが不足し、筋肉も増えてこないと伝えます。次に➁タンパク質量・ミネラル量などの栄養評価を説明します。➀➁で水分と栄養摂取の大切さを説明します。栄養評価で不足にチェックが入っている方へは運動だけでなく食事のアドバイスも行います。次に➂体重・筋肉量・体脂肪量の3本棒グラフを見ます。大体の方が標準体重C型もしくは肥満C型(筋肉量と体脂肪量のバランスが悪い)です。痩せている方は低体重のI型が多いですね。そして、最後に➃SMIを見てサルコペニアの評価を行います。測定結果はもちろんですが、個人的には測定時のInBodyに乗るときの動作も結構大事だと思っています。体重測定部は10cmほどの高さがありますが、その高さをスッと上がることができているか、支持台を持った状態なら乗れるのか、それとも横から支えてあげないと乗れないのかなど、動作1つでさえもその方の状態を知るためには大切な情報です。限られた時間で多いところだと30人近くの方を一気に測定しないといけないので、短時間でも情報は多い方がいいですね。」

▲ 測定風景とInBody470結果用紙

田村さん:
「市民の皆様の健康意識はもちろんですが、ヘルスリテラシーを高めることも重要だと思っています。最近はテレビで健康に関する話題がよく取り上げられていますが、それを見て自分の生活を改めようと思う人は少ないです。InBody測定によって、自分の状態が数値化され、それをもとに理学療法士が説明を行うことで健康問題は他人事ではなくなり、関心を持って行動力も高くなります。市役所の職員でも数値の説明はできますが、そこからどうやって生活を改善していくのか、何に気を付ければいいのかまでは説明できません。行政に理学療法士が関わるからこそInBodyをよく活用できていると思います。」

ヘルスリテラシーの高まりは参加者の質問内容から確認できます。最初は運動や食事内容についての簡単な質問ですが、時には理学療法士さえもビックリするような鋭い質問をされる方もいます。自分の健康状態と向き合うことが、健康への意識を高める何よりのきっかけである証拠と言えます。また、派遣されるリハビリ専門職は大井さんと岡本さんだけでなく、地域の病院や介護事業所の理学療法士、作業療法士にも活動をサポートしてもらい、一緒に集会所を訪問しています。他愛もない世間話から健康づくりに関する相談などを行っていく中で、理学療法士や作業療法士との関係を深めていきます。

大井さん:
「病院の理学療法士に対して、忙しいのではないかと質問や相談を遠慮する方も少なくないと思います。身近な地域でなんでも相談できる理学療法士や作業療法士がいることはとても心強いと言われます。てくてく体操の指導を行うときも、なるべく『先生』と『患者』といった固い関係になって壁を感じないよう、円になって体操をするなど、和気あいあいとできるよう意識しています。地元の集会所では、参加者が友人や近所の方も誘って一緒に参加できるため親しみやすく、皆さん下の名前で呼び合うほどコミュニティが出来上がっているので、閉じこもりの改善や『見守り』の強化という面での効果もとても大きいと思います。」


自主運動グループ参加者の声

▲ 「てくてく」「フレイルチェック」に関するアンケート調査票

2020年に参加者約1,000名のうち548名を対象にてくてく体操等の満足度アンケートを行いました。結果として、てくてく体操等の内容や理学療法士によるサポート、フレイルチェックについて、多くの参加者からとても満足しているとの回答が得られ、参加者の約85%にフレイルが周知できていることが分かりました。特にフレイル予防で大切な健康づくりへの意識について、参加者の90%以上が「高くなった」と答えています。てくてく体操等に参加して得られた効果として最も回答が多かったのが「友人や仲間が増えた(69.0%)」で、次に「元気が出た(49.5%)」「外出する機会が増えた(44.1%)」と続き、精神的な効果を感じた方がとても多く、参加者の社会参加を促せていることが確認できました。また、身体的な効果として、「歩いたり立ったりするのが楽になった(39.3%)」「膝や腰の痛みが減った(32.6%)」「躓きや転倒が減った(31.5%)」などの回答がありました。

田村さん:
「参加者への介入頻度はとても重要です。介入回数が少ないと健康への意識が低下し、運動を継続しなくなります。自主的に運動を行っているグループは紀の川市以外にも数多くありますが、介入回数が少ないとグループ自体が自然消滅してしまうといったことも聞いています。一方、介入頻度が多すぎると、参加者は理学療法士がいなければ体操活動ができなくなってしまうといった意見もあります。理学療法士の介入頻度について、回答者の82%が『ちょうどよい』と答えています。」

後編では介護予防事業について更に詳しくご紹介します。コロナ禍での活動の変化についても伺っています。

,

春日部第一薬局 -漢方・自然療法による健康相談-

機種モデル:InBody770


1977年に埼玉県春日部市に開局された春日部第一薬局は、漢方薬や自然薬を取り扱う地域密着型の専門店・相談薬局です。幅広い年代を対象に、主にダイエット・子宝・アトピーなどの皮膚病に関する相談を行っており、一人一人の体質に合わせた漢方・サプリメント・健康食品を処方しています。40年以上に渡る豊富な知識や経験による実力が評価され、「漢方・相談」「子宝」「アトピー」の3部門で、2015年から6年間連続で全国実力薬局100選に選ばれています。その評判から、地元の方だけでなく全国各地や海外から一時帰国している方まで、世界各地からお客様が来店されています。

▲ 全国実力薬局100選は全国5万5千軒以上の薬局の中で高い実績をあげている薬局を各分野別に100社ずつ選定


継続して実践できる提案


▲ 関口 恭子先生(左)、矢野間 克成先生(右)

管理栄養士である関口 恭子先生は主に食事指導を担当しています。健康な体は食事から作られるため、全ての相談において体質に適した食事のアドバイスを行っています。関口先生は大学で栄養学を学び、栄養士の資格を取得しましたが、大学卒業後はアパレル関係の会社に就職しました。しかし、外見だけではなく、内面からの美しさも大切と考えるようになり、国家資格の管理栄養士を取得して2005年から春日部第一薬局で働き始めました。その後、取り扱っている商品をお客様に合わせて幅広く提案するために、医薬品登録販売者、日本臨床栄養協会認定のNR・サプリメントアドバイザー(健康食品に関する適切な情報を提供)、生活習慣病アドバイザー、ダイエットカウンセラーの資格を取得しました。

関口先生:
「一人ひとりの体質に合わせて体に合う食材・合わない食材を伝えていますが、重要なのはその人がどれだけ実践できるかだと思います。食事は毎日摂るものであり、生活スタイルによっては実践できないこともあります。基本的な栄養バランスや体質を考慮した食事内容をお伝えした上で、その方が実践できるベストな方法を相談しながら一緒に探すように心掛けています。」

主にダイエット相談を担当している矢野間 克成先生は、2011年から春日部第一薬局で働いています。それ以前はお笑い芸人として5年程活動していました。しかし、2011年に起こった東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにして、人の死や親孝行について考えるようになり、両親が経営している春日部第一薬局に戻ることを決意しました。その後、矢野間先生は医薬品登録販売者と漢方ダイエットカウンセラーの資格を取得し、これまでに1,500人以上のダイエット相談を担当してきました。

矢野間先生:
「ダイエットは一生涯続くことなので、モチベーションを維持させることがとても重要です。結果が出ている方はモチベーションが下がることはないので問題ありませんが、結果が出にくい方は特に、モチベーションを維持していただく為にも我々のサポートが必要になってきます。そのような方へは、問題点を一緒に探すことも重要ですが、小さな変化でも見つけ出して褒めてあげることを心掛けています。小さな変化を見つけるにはInBodyが役立っていますし、お客様の改善点を褒めるトーク力はお笑い芸人時代の経験が役立っています。お客様が焦らず楽しくダイエットできるようなカウンセリングを心掛けています。」


カウンセリングに役立つツール


▲ ダイエット相談におけるカウンセリングの様子

春日部第一薬局で販売している商品は、体に良いものならメーカーやブランドを問わずに厳選されたものです。

関口先生:
「新しい商品を導入する際は、必ず該当商品の情報を徹底的に調べてから仕入れており、これは創業当初から変わらない方針です。主にダイエット相談で活用している体成分分析装置を導入したときも同様に、“良い機器にこだわって正確な情報を伝えたい” という思いがありました。」

春日部第一薬局は20年前からダイエット相談を受けており、その当時は他社の体成分分析装置を使用していました。しかし、2005年頃に春日部第一薬局の代表である矢野間 道明先生が、主に病院で導入されている医療機器の体成分分析装置があると知人から紹介を受けたのが、InBodyを導入するきっかけとなりました。話を聞いた矢野間先生はInBodyの精度に関する情報を収集し吟味した結果、これだけ高精度で体成分を測定できる機器は他にないと考え、当時の最新型であったInBody720を導入しました。現在は2014年に後継機として発売されたInBody770が使用されています。


▲ ダイエット相談で使用されているグラフ化体重日記

ダイエット相談では、起床後(トイレ前)・朝食直後・夕食直後・就寝直前の体重と、3食の食事内容を初回の相談時に渡された用紙に記入する、グラフ化体重日記を任意で記録してもらっています。これは体重の変動を意識してもらうためのものでありますが、体重の変化を見るだけでは体の中で起きた変化が分からないので、ここでInBodyを測定してその変化を確認します。


一人一人に合わせた指導


▲ 左: 過体重肥満型 右: 標準体重肥満型(隠れ肥満)

ダイエット相談の初回カウンセリングでは、先ずInBodyを測定して現在の筋肉量、体脂肪量、体型評価を基に目標を決めます。筋肉量と体脂肪量が多い過体重肥満型に該当した方(上図左)は、体脂肪量を月にどれくらいのペースで減少させるかを決めます。また、体脂肪量の割合が多い標準体重の隠れ肥満型に該当した方(上図右)は体脂肪量の減少だけではなく、筋肉量の増加も目指します。1ヶ月目は週に1回、若しくは10日に1回通ってもらい、2ヶ月目以降は2週に1回通ってもらいます。来店時は毎回InBody測定を行い、前回と今回の測定結果を比較して体成分の変化を確認するようにします。

矢野間先生:
「例えば、2週間で筋肉量を維持しながら体脂肪量が減少している方は、順調に体脂肪量が改善しているため、服薬や食事を継続するように伝えています。その一方で、体脂肪量はそのままで筋肉量が増加して体重が増えている方は、筋肉量は維持しながら体脂肪量を減らせる処方と一緒に食事指導のアドバイスを行っています。また、変化が停滞している方に関しては、前回の測定結果と比較するとモチベーションが下がりやすいので、1~2ヶ月前か初回測定時の結果と比較することで長期にわたって改善されている点を探して伝えています。」

このようにInBodyで測定した体成分結果の変化から処方する漢方や食事指導を変えています。女性ホルモンの状態を整えて食欲をコントロールしたり、冷え性・むくみ・貧血などの悩みを改善させたりする漢方や、筋肉量が少ない高齢者には筋肉量の増加を促す漢方などを数種類組み合わせて処方します。勿論、処方するのは漢方だけではなく、サプリメントや健康食品が含まれることもあり、年代や体質に合わせたもの、美容やアンチエイジングなどの要望に合わせたものを選択して提供します。

矢野間先生:
「ダイエットを始めて何回か通われ、1週間や10日程度の測定結果を比較すると、体脂肪量は変わらずに体重と筋肉量が減少している変化を見ることがあります。しかし、筋肉量は短期間では減少しないため、InBodyが測定する筋肉量の主な構成成分である水分が減少したことを説明し、筋肉量が減少したわけではなく、むくみが改善したことをお伝えします。InBodyはこのようなむくみを発見することができるので、お客様も説明に納得していただけます。」


▲ むくみが改善すると、体内の余分な水分が減少するため、筋肉量だけではなく細胞外水分比も低下

※取材を基に作成したイメージグラフ

むくみとは筋肉組織に余分な水分が溜まった状態を指します。筋肉量は体の水分を含んで構成されているため、むくみのある人がInBodyで測定すると実際よりも多い筋肉量が計測され、体の水分バランスを示す細胞外水分比(ECW/TBW)は血漿や間質液などの細胞外水分量が多くなる形で高くなります。むくみを改善する漢方などで体内の余分な水分が減少してむくみが改善すると、筋肉組織の余分な水分は減少して、むくみがあるときよりも筋肉量は少なく計測されます。筋肉量だけを見ると、筋肉が減ってしまったように見えますが、これは筋肉量の減少ではなく、筋肉から余分な水分がなくなったことを意味し、水分バランスが改善することで細胞外水分比も低くなります。つまり、筋肉量と細胞外水分比を一緒に見ることで、むくみの改善度を評価することができます。

また、食事指導では記録してもらった内容に対して栄養バランスだけではなく、体質に合った食事のアドバイスを行っています。例えば、生トマトは体を冷やす食材であり、夏の時期に摂取する食材としては適していますが、冷え性の方が冬場に摂取し過ぎてしまうと余計に体を冷やすことにもなります。また、皮膚病でトマトが合わない方もいるため、食材の説明も疾患や悩みに合わせて行っています。

▲ 体型評価における「痩せ」の評価

矢野間先生:
「ダイエット相談に来られる方の中には主観的に太っていると思い込み、より痩せたいという拒食症に近い状態になっている方もいます。そのような方は、InBodyの体型評価で “痩せ” と評価されますが、この項目を説明することで、現状を自覚していただけます。”太っている自分は綺麗じゃない” という考えが強いので、体重減少ではない体重増加を目指す逆ダイエットに抵抗を持つ人もいますが、適切な食事を摂って綺麗に健康を維持できるように指導をします。」


体重減量だけでないダイエット相談

ダイエットにおいて目標とした体重まで減量することはもちろん重要なことです。実際に、春日部第一薬局でダイエット相談を行った方の中には、約1年で30kgの減量に成功し、良い結婚相手と出会うことができたなど、ダイエットで人生が変わった方もいます。ホームページYouTubeではダイエット相談の体験談が公開されています。

一方、春日部第一薬局のダイエット相談には体重減量だけではなく、健康維持や美容・アンチエイジングを目的に来店される方もいます。体重減少だけではなく、維持や管理もダイエットだと気づかせてくれた60代女性のお話を伺いました。

矢野間先生:
「その女性は目標としていた体重減量10kgのうち、6kgしか減量できませんでしたが、ずっとここに通い続けてくれていました。当時はダイエット相談を始めてから2~3年目で、結果を出すカウンセリングや指導ができていないと考え、申し訳ない気持ちもあったのでそろそろダイエットを止めませんかと声を掛けました。しかし、その女性は相談のために来店して話をすることが習慣になっており、体重減少だけではなく維持や管理のために来ていると言いました。その言葉を聞いて、ただ体重を落とすことが重要ではなく、その人に適したペースでダイエットを進められるようにアドバイスをすることが、本来の薬局における健康相談のカウンセリングだと気づきました。それ以来、ダイエット相談では期間を設けておらず、本人が納得するまで通い続けてもらっています。」

中には6~7年通い続ける常連の方もおり、痩せるだけではなく美容やアンチエイジングを目的とした商品を購入されることがあります。春日部第一薬局で商品を購入された方は、無料でInBodyを測定することができ、商品を購入しなくても有料(1回1000円)で測定サービスを受けられます。継続的に測定される方も多く、健康管理の習慣づけができています。また、春日部第一薬局が「InBody測定ができる施設」に公開されて以来、InBody測定を目的に来店される方も増えました。


▲ 産後ダイエット相談を目的に来店された、赤ちゃん連れのお母さんがInBody測定をしている様子

最近は関口先生がご自身の出産経験を活かして、産後ダイエット・ケアや育児・食事相談なども行っています。

関口先生:
「最近の産後の女性は育児をしながら働いている人も多いため、体調が優れない中でも無理していることがとても多いです。そんな女性の頑張っている姿を応援したいという思いから産後ダイエットの相談などを始めました。産後は体脂肪量が減少しにくい体質に変わったり、育児・仕事などで運動する時間を確保できなかったりしますが、漢方の処方や食事指導をすることで、本格的に相談を始めてから1ヶ月間で4.8kgの減量に成功した方もいます。」


身近な存在を目指す漢方薬局

春日部第一薬局に来店されるきっかけはホームページ経由が多いですが、知人の紹介やSNSの口コミを経由して来店される方もおり、昔よりも漢方が身近になってきています。

関口先生:
「病院で診てもらうほどではない不調な時に、気軽に相談できる場となり、漢方を選択肢の1つとして考えていただければ嬉しいです。また、近年では予防医学が重視されており、私たちのような漢方薬局がお役に立てると思っています。事実、食事の大切さなどの健康に関する情報はインターネットから簡単に知ることができますが、中には古い情報や間違った情報も混じっているので、最新の正確な情報は専門家から聞くことが一番確実です。そのため、これからは人々の役に立つような正しい情報を専門家の立場として、春日部第一薬局に通っていただいている方だけでなくホームページやSNSからも発信していきたいです。」

,

BODY ARCHI(ボディアーキ) -セルフエステによる理想の体質づくり-

機種モデル:InBody470

▲ BODY ARCHI 渋谷桜丘店の店内

BODY ARCHIは札幌・東京・神奈川・埼玉・名古屋・大阪エリアで計20店舗(2020年10月時点)を運営している、「エステ」と「ジム」を共存させた新感覚の定額制セルフエステスタジオです。一般のエステサロンは資格を持つエステティシャンによって施術が行われるため、価格が高く気軽に通えない印象がありますが、セルフエステは自分自身でエステマシンを利用して好きな部位を施術できるので、リーズナブルな価格とともに気軽に通えるのがメリットです。BODY ARCHIは全店舗が完全個室制になっており、各個室には最先端エステマシン「フォースカッター」が導入されています。フォースカッターは1台4役の多機能・高技術(Wラジオ波、EMS/吸引、ポレーション、LED)を搭載したエステマシンです。BODY ARCHIはこのエステマシンをセルフエステ用にカスタマイズしており、初めての方でも個室に配置されているタブレット端末でエステマシンの操作方法を動画で確認して、利用することができます。


▲ 各個室に置かれているタブレット端末でエステマシンの効果的な使用法を確認

また、エステの効果を高めるためのホームケアとしてシリカウォーター・サプリ・化粧品の物販だけでなく、個人のお悩みに合わせたホームエクササイズの動画もYouTubeで定期的に配信しています。このように、BODY ARCHIはリーズナブルな価格で女性共通の悩みである「ボディメイク」「健康」「美容」を、日常生活も含めてトータルでサポートすることを目指しています。単純なダイエットだけではなく、美肌作りを目的に来店されています。


『自分らしさ』を追求する


▲ 嶋田 美緒さん

2020年10月1日に株式会社ボディアーキ・ジャパンの取締役に就任された嶋田 美緒さんは、主に社内の人材育成に携わっています。それ以前はグループ会社の株式会社ネクシィーズグループで、社長室に在籍し、社長秘書として12年間活躍してきました。秘書の業務では、様々な企業の経営者と接するだけでなく、人材育成など組織マネジメントに関わることも多かったことから、現職の人材育成担当として抜擢されました。現在、BODY ARCHIは2年間で20店舗の展開など順調な成長を遂げていますが、更なる事業拡大のためには店長やエリアマネージャーなどの経営人材が必要です。嶋田さんはそのような人材を育成する役割を担っています。

「大学は芸術学部デザイン工芸学科に在籍し、芸術や美術を学びながら美術の教職や学芸員の資格を取得してきました。その当時から『美しさとは何だろう?』と考えており、自分の中で ”心が動くかどうか” という答えに至りました。これは美容やファッションにおいても同じことが言え、”流行にとらわれない自分らしさ”が素敵な女性像だと考え、自分らしさを持つようになりました。このような私の人間性とBODY ARCHI事業のコンセプトである “私の自信は、私自身でつくる。” が合致しており、セルフエステ事業を始めると聞いたときは興奮しました。女性初の役員としても事業に関わることができるので、事業を通して女性が活躍して輝く社会を作っていきたいと考えています。」


体の変化を数値化する


▲ 最先端のエステマシン「フォースカッター」

エステマシン「フォースカッター」は、顔・二の腕・お腹周り・太ももなど気になる部位の理想的なボディメイクだけではなく、使用する特殊ヘッドを付け替えることで、冷え性や肩こりなどの悩みを改善させることもできます。他社ではプロのエステティシャンが施術を行った部位を触ったりすることでエステの効果を測っていますが、BODY ARCHIはセルフエステのため、会員自身が各個室に置いてあるメジャーで各部位の周囲長を測定して体の変化を確かめます。メジャーは簡易的な効果測定方法ですが、毎回の測定位置を固定させないと測定の再現性が低くなり、正確な数値の変化を調べることが難しくなります。そこで、体の変化をより敏感に実感してもらうためにもメジャー以外の測定ツールが必要となり、2019年7月にInBody470第1号機を渋谷桜丘店に設置しました。現在は全店舗にInBodyが導入されています。


▲ InBody470の結果用紙とInBodyアプリ画面

「筋肉量・体脂肪量・栄養評価の数値化は説得力があり、自身の体の変化を自覚させてくれます。InBody測定は手順が簡単なため、お客様には月に2回セルフで測定するように推奨しています。初回を除いて、測定結果は基本的に印刷しておらず、会員が測定後に本体に表示されるQRコードを読み取りInBodyアプリで管理しています。そのため、予約を管理するBODY ARCHI会員専用アプリからInBody測定結果が確認でき、会員専用アプリの利便性をアピールすることにも役立っています。また、InBodyの結果用紙やアプリ画面のレイアウトはスタイリッシュで視覚的に分かりやすいです。」

 


▲ 初回無料体験時のInBody測定の様子

BODY ARCHIの初回無料体験でも、InBody測定を行います。まずはInBody測定で、見た目では分からない体の中身を体成分で把握し、個人に合った目標を設定します。例えば、体重・筋肉量・体脂肪量から体験者の体型を評価することができ、エステマシンのヘッドを当てる部位や使用するヘッドの種類の参考にすることができます。


▲ 体重は標準的だが、体重を占める筋肉量の割合が少なく体脂肪量の割合が多い隠れ肥満体型のC型

「一番の理想は体重・筋肉量・体脂肪量の棒グラフの先端を繋げた形がD型になることです。この形がC型の方は体脂肪量を減らすだけではリバウンドや体調の悪化に繋がるため、筋肉量も増やす必要があることを説明します。また、ヒアリングでお腹周りが気になる場合は内臓脂肪を燃焼させる効果のあるWラジオ波のヘッドを使用し、筋肉量を増やしたい場合はEMSのヘッドを使用するようになど、目的にあったマシンの使い方をアドバイスしています。」


▲ 内臓脂肪を燃焼する効果があるWラジオ波


理想的な体型・体調・美しさをつくる

さらに、BODY ARCHIではボディメイクチャレンジというキャンペーンを開催し、見た目の体の変化や美しさを客観的にも評価しています。これは季節ごとに顔・二の腕・お腹・太ももからテーマを一つ設けて、会員がその部位の周囲長と写真を投稿すると、BODY ARCHIが一番美しく変化している人を審査して表彰するという催しです。BODY ARCHIはセルフエステであるからこそ、会員に体の変化を自覚させて、理想の体型になるためのモチベーションを維持させる工夫に取り組んでいます。その結果、会員の月間来店回数は1人当たり約4回(週1回ペース)を記録しており、セルフエステの習慣づけに成功しています。

エステマシン「フォースカッター」は体脂肪だけではなく、筋肉にもアプローチすることができます。EMSヘッドは電気を利用して、普段使わない筋肉に直接アプローチすることで筋肉量の増加を促します。筋肉量の増加は肩こりを改善させたり、基礎代謝が上がることで太りにくい体質へと変えたりします。また、筋肉量の増加は肌質を改善させる効果もあります。体中に張り巡らされている毛細血管は筋肉によって支えられており、皮膚組織にも存在します。毛細血管は体内の老廃物の排出や肌のターンオーバーに関与しているため、筋肉量の増加は健康的な毛細血管を形成し、皮膚のしわ・しみ・たるみを改善させると言われています。

「私自身がフルマラソンを走っているために、筋肉量の増加はメリットしかないと感じていますが、会員の中には筋肉が増えると、男性のような筋肉質の体型になるのではないかと懸念している方が多いです。その都度、肩こりを改善させるなどのメリットをお伝えしていますが、現在は新感覚のセルフエステを体験して堪能してもらう段階で、全会員をサポートできていない部分があります。これから徐々にサポートできる体制を整えながら、BODY ARCHIでできることを会員にどんどん発信していきたいです。」


▲ 遺伝子解析サービス

また、BODY ARCHIは日常生活からサポートするために、遺伝子解析サービスを提供しています。これは口内の粘膜細胞を採取してDNAを調べることで、一生涯変わらない自分本来の体質や遺伝子リスクを知ることができます。体質型遺伝子は8タイプに分類され、その結果から栄養学情報と照合させた100兆パターンにも及ぶ組み合わせの中から、自分に適した健康アドバイスが提供されます。最大70ページにもわたる情報量の中には、自分に適したエステマシンの施術方法だけでなく、体質的に太りやすい食材や理想的な食事・運動も記載されています。この情報を元に、生活スタイルを改善していくことで、より効率的に理想的な体型・体調・美しさに近づくことができます。


終わりに

BODY ARCHIは2020年12月までに東京エリアで2店舗、福岡エリアで1店舗の開設を予定しており、2021年12月までに55店舗、2022年12月までに100店舗の開設を計画しています。

「BODY ARCHIは定額制のセルフエステ・初心者でも簡単に操作できるエステマシン・InBody測定・遺伝子解析サービスなど、他社にはない設備とサービスを整えているため、どの年代においても女性が根本的に持っている願望に寄り添うことができます。今のBODY ARCHIは女性が自分らしく美しく輝くためのお手伝いをすることで、『あると便利なサービス・会社』という存在になってきました。これからは人材育成にも力を入れ、女性が活躍できる社会づくりに貢献しながら、BODY ARCHIを『なくてはならないサービス・会社』という存在に成長させたいと考えています。」

,

順天堂大学 -ロコモプロジェクトから”筋活”を啓発-

機種モデル:InBody730

順天堂大学は現在、ロコモティブシンドローム(運動器症候群; 以下ロコモ)を予防・改善するための研究開発に取り組んでいます。ロコモとは骨、関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下している状態のことを指します。この研究開発はセンター・オブ・イノベーション(Center of Innovation; 以下COI)プログラムの中で、立命館大学および順天堂大学が進めている「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」プロジェクトの一つです。順天堂大学は2014年から本格的に参画し、ロコモの発症予防と進展予防の2つを事業化する取り組みを始めました。
※COIプログラム: 10年後の目指すべき社会像を見据えたビジョン主導型のチャレンジ・ハイリスクな研究開発を最長9年間支援することを目的に、文部科学省が2013年から開始


研究者としての道のり


▲ 沢田 秀司先生

COIプロジェクト室の博士研究員である沢田 秀司先生は、早稲田大学大学院先進理工学研究科で博士(生命科学)の学位を取得しています。本プロジェクトには2017年5月から参加し、主にロコモ予防に適した運動プログラムの開発に従事してきました。また、健康運動指導士や日本陸上競技連盟公認ジュニアコーチ(日本スポーツ協会公認陸上競技コーチ1)の立場として、医療機関や民間企業、学校などでも運動・トレーニングプログラムの作成や運動指導を行ってきました。

「中学生の頃から陸上競技に携わっており、トレーニングを通して人として成長できることを経験してきました。大学院修了後は、患者さんの状態の改善に直接関わることができる医療現場での仕事を経験したいと考え、民間の医療機関に就職しました。大学や大学院では疫学研究や基礎研究を経験してきたので、今後応用研究に取り組むためには現場で経験を積むことも必要であると考えたのもあります。しかし、就職後も学会活動を続けていましたが、民間の医療機関に勤めながら研究活動を継続することはとても大変だと感じていました。その頃に参加した学会で、学生時代に面識のあった順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の町田 修一教授と再会し、COIプロジェクトでの取組内容を紹介していただきました。非常に関心のある内容であり、やはり研究を続けたいという思いが根底にあったため、研究活動に専念できる環境は魅力的に思いました。その後、研究員募集の縁にも恵まれ、博士研究員として採用していただける運びとなりました。これまで周りの先生方に研究者として育ててもらったからこそできる仕事をしたいと考えており、影響力のあるアカデミックの立場から情報を発信できることは、自分の使命を果たすことに繋がるのではないかと考えています。」


手探りの状態で始まった運動プログラムの開発


▲「ロコモ度テスト」ツールである、2ステップテスト用マットと立ち上がりテスト用ボックス

ロコモ予防の運動プログラム開発は2014年から進められてきましたが、当時はロコモ予防に効果的な運動について、具体的なプログラムは確立されていませんでした。従って、様々な試行錯誤を重ねながら、効果的な運動の内容に関する検討が行われ、沢田先生が博士研究員として着任された2017年には、運動プログラムの骨組みはある程度定まっていました。その後は、プログラムの有用性を更に検討することを目的に、行政機関などとも連携し、運動教室を開催してきました。そのようにして確立されたのが、“ロコモ予防運動プログラム”です。このプログラムは、自体重やゴムチューブを用いて行う筋力トレーニングを中心とし、漸増的に運動負荷を上げていく12週間の運動プログラムとなっています。最初は4種類のトレーニングから開始し、ゆとりのあるセット数や休憩時間を設けていますが、徐々にトレーニングの種類やセット数を増やし、最終的には9種類のトレーニングを15回×3セット行います。

また、運動の効果を評価するために、筋力や身体機能、ロコモ度、体成分などの評価を目的とする体力測定も行っており、その評価にInBodyも活用しています。こうした体力測定は、運動教室の卒業生や地域在住の一般の方などを対象として現在も定期的に開催しており、これまでに1,000人以上のデータが蓄積されています。参加者には体力測定の実施後に、大学独自で作成したフィードバックレポートを渡しています。

▲ 順天堂大学オリジナルのフィードバックレポート


運動プログラムの評価指標

「InBody730の結果は情報量が多く、短時間で全ての項目を参加者に伝えきれないので、一般的に馴染みのある体重や筋肉量、体脂肪率の数値だけをピックアップしています。勿論、研究においては部位別筋肉量やSMI、細胞内外水分量なども活用し、解析しています。」

▲ Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS, 2019)によるサルコペニア診断基準のSMIカットオフ値は、男性: 7.0kg/m²、女性: 5.7kg/m²で、サルコペニア(筋肉減少症)の評価指数としてよく活用される

「12週間の運動プログラムに参加していただいたことで、30秒椅子立ち上がりテストや大腿四頭筋の筋厚がそれぞれ約10%改善するなど、身体機能や体成分に効果が表れることを確認してきました。こうした客観的なデータで示される結果に加え、参加者からは『前より身体が動くようになり、生活しやすくなった』など主観的な好評をいただいています。一方、InBodyで評価する筋肉量は殆ど変わらない事例が多いですが、60~70代を中心とする参加者達が12週間筋肉量を維持できていること自体が良い結果であるため、体成分においても良い影響を及ぼしていると言えます。運動の成果や継続の必要性を把握する上で、体成分の評価はとても重要だと考えています。今後は筋肉量の補正方法や測定によって得られるデータの解析方法を工夫するなど、最適な評価指標を確立し、体成分の変化についてより詳細に確認したいと思っています。」
▲ 筋肉量は50代前後から加齢に伴って減少傾向にあるが、12週間の運動教室は60~70代を中心とする参加者の筋肉量を維持させる (履歴グラフは取材を基に作成したイメージグラフ)
※参照した統計調査は「Age-dependent changes in skeletal muscle mass and visceral fat area in Japanese adults from 40 to 79 years-of-age」

「秋頃に始めて冬に終了するという形で運動教室を実施することが多いですが、その場合はInBody測定時の気温によって水分均衡が影響を受け、筋肉量に変化を与えてしまう可能性もあります。コントロール群を設けて比較するなどし、気温の影響を排除することも視野に入れる必要があると考えています。」

▲ 筋肉量は化学的に体水分とタンパク質の融合体であるので、体水分量の減少は筋肉量の減少に繋がる

12週間の運動教室は参加者から好評だったため、千葉県印西市にある順天堂大学さくらキャンパス周辺の印西市・酒々井町・富里市・成田市などの市町村と連携し、行政との連携事業としても開催されるようになりました。その他にも、神奈川県にある介護サービス付き高齢者向け住宅でも監修した運動教室が開催されるようになるなど、様々なところで高齢者の方が体を動かすことに興味・関心を持つきっかけを提供しています。


ロコモ予防事業の成果

ロコモ予防事業は、運動機能の改善を図る運動プログラムの開発だけでなく、一例としてロコモの評価や運動誘導に関するアプリ開発にも携わっています。

➤ ロコモニタープラス (iOS専用)
日本整形外科学会が提唱する3つのロコモ度テスト(ロコモ25、2ステップテスト、立ち上がりテスト)をアプリ上で簡単に実施することができ、1日の歩数や座っている時間などの活動データを24時間自動で測定・モニタリングすることも可能です。また、これらのデータを分析し、個人に最適な健康改善プログラムを提案するだけでなく、生活アドバイスや腰痛・膝痛の予防に関するコンテンツまで、幅広い内容を提供します。このアプリは順天堂大学が弘前大学・立命館大学・筑波大学・京都大学と共同開発し、2018年に正式リリースされました。

➤ Biosignal Art (2020年8月28日現在、PCおよびAndroidのChrome専用)
トレーニングをより正しくより楽しく実施し、コロナ禍の中でも健康を維持してほしいという思いから、順天堂大学(運動監修)・立命館大学(運動解析技術開発)・東京藝術大学(音楽監修)が共同開発したウェブアプリです。カメラで使用者のトレーニング動作をチェックし、正しい動作をしたときと間違った動作をしたときの違いが音楽で表現されるような仕組みとなっているため、改善点に気づき易く、適切な動作で運動を行うサポートをしてくれます。

他にも、2020年度には「筋肉量や筋力を向上させるための活動=”筋活”」の重要性や具体的な取り組みに関する情報を発信するため、『順大さくら“筋活”講座』のホームページを開設し、オンライン公開講座も開始しました。


▲ 運動教室の参加者に超高齢社会における様々な健康問題を説明中

「特に今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行したために、外出の自粛が多くなることで運動不足の状態が続き、ロコモに陥る方が増えてしまうと想定されます。それを予防するため、我々が開発してきた運動プログラムの映像とガイドブックを公開しており、ホームページで無料の会員登録をすれば誰でも利用することができます。これまでは対面式の教室を通して運動指導をしてきましたが、1つの教室で対応できる人数には制限がありました。しかし、この機会にオンラインでの運動指導法が確立できれば、色々な地域に我々の運動プログラムの裾野を広め、より多くの方々に運動の機会を提供することができます。将来的には、健康運動指導士などの運動指導者の方々にも、このプログラムを活用していただけたらと考えています。」


ロコモ予防に留まらない “筋活”

ロコモ予防において重要なことは、運動不足が自分の体に及ぼしてしまう悪影響を理解することです。

「運動はすぐに効果を実感できるわけではなく、また運動不足の影響もすぐに体に現れるわけではありません。時間をかけて徐々に変化するため、長期間運動しない状態が続いてしまうと、気付かない内に身体機能が落ち、ロコモに陥ってしまいます。このような運動不足をどうしたら防げるのかを考えたとき、運動することの重要性と必要性を理解してもらうまで、根気よくサポートすることが大切だと思いました。また、ロコモは若い世代も軽視できる問題ではなく、若い頃から体を動かさない状態が続くと、高齢期よりも前の段階でロコモになってしまいます。 “勉強や仕事ができても、体を思うように動かせないと健康も保てず、興味のあることにも挑戦できない人生になってしまう” ということを、若い世代にも伝えたいです。そして、この運動不足の解消は、何歳であっても手遅れということはありません。運動や筋力トレーニングも勉強と同じで、今からでも始めれば、現状より改善することができます。そうした努力がもたらす成果に気付き、運動を生活の一部として認識してもらえるよう、ロコモ予防の事業に全力を尽くしていきたいです。また、これまでCOIプロジェクトではロコモに焦点を当てていましたが、今後はより広い定義で “筋活” の重要性を伝えていく必要があると考えています。」

沢田先生は、運動が健康に必要であると理解しているからこそ、また身体機能を高めることの重要性を理解しているからこそ、2009年11月3日に「1日最低5kmは走る」という目標を掲げ、今日に至るまで3952日間、1日も欠かすことなく継続しています(2020年8月28日現在)。

「運動が体に作用するメカニズムは未だ明確になっていない部分が多いため、今後も研究者の立場として、解明に向けて貢献していきたいと考えています。また、運動指導者の立場としては、運動に対して興味・関心を持つ人を増やしていきたいと考えています。残念ながら、運動する上での目標を掲げたとしても、それに向かって適切な運動を継続できている人は少ないのが現状です。こうした問題を解決するためにも、エビデンスに基づいた情報を発信し続けていきたいです。」

,

大阪河﨑リハビリテーション大学 -産官学連携による認知症予防活動-

機種モデル:InBody270

大阪河﨑リハビリテーション大学は2006年に大阪・貝塚市に開校されたリハビリテーション専門職の教育に特化した大学です。前身の河﨑医療技術専門学校から数えると20年以上、リハビリに携わる人材の育成に尽力しています。2013年5月から大学の所在地である貝塚市と【「市民の健康及び社会福祉の充実」に関する連携協定】を締結して産官学連携を行い、市や企業と協力して健康福祉活動を行っています。その活動の一つに、「つげさん認知症予防プロジェクト」という活動があります。

▲「つげさん認知症予防プロジェクト」の紹介動画。南海電鉄貝塚駅内の「まちの駅 かいづか」にて放映。

「つげさん認知症予防プロジェクト」は、大阪河﨑リハビリテーション大学と貝塚市福祉部高齢介護課、不二製油株式会社が参画して実施しています。そのプロジェクトのリーダーとして、大阪河﨑リハビリテーション大学理学療法学専攻の今岡 真和先生が統括しています。

今岡先生が理学療法士の仕事を知ったきっかけは、高校の友人が交通事故に遭った際、そのリハビリの過程を見守ったことでした。高校卒業後は、京都府にある陸上自衛隊福知山駐屯地の衛生科で働き始めました。衛生科で選択できる職種の中には、看護師、救急救命士などもありましたが、勤務と並行して理学療法士の資格を取得する制度が存在しなかったため、先生は自衛隊を退職し、関西医療学園専門学校へ入学、理学療法士の資格を取得しました。専門学校を卒業した後、回復期病棟がある一般病院にて約2年勤務しました。その後、老健施設で7年半勤務しながら、大阪府立大学大学院にて研究活動を行って博士号(保健学)を修めました。老健施設では要介護・要支援の高齢者のリハビリを担当していましたが、利用者の多くが既に要介護度の高い方であり、リハビリの効果を十分に得られる前に亡くなってしまうことも珍しくありませんでした。この経験から、要介護・要支援になる前の、予防を目的とした理学療法に注力するようになりました。そのため、高齢期の予防領域において国内トップランナーである愛知県大府市の国立長寿医療研究センターにて特任研究員として勤務し、予防としての理学療法について知見を深めました。その後、2017年より現職である大阪河﨑リハビリテーション大学の理学療法学専攻の助教として赴任します。先生は老年学・公衆衛生学・地域理学療法学を専門とし、特に地域在住高齢者への理学療法に力を入れて活動しています。

▲ 今岡 真和先生

「理学療法士の仕事といえば、病気やケガを持っている方に対して運動・物理療法を行うイメージが強いかと思いますが、最近はまだ身体に症状が現れていない健康な方に対して、病気や疾患を予防するためのアプローチも行います。自治体・福祉施設・企業と連携して、健康な身体を維持していただけるように様々なイベントや運動教室を開催しています。」


InBodyとの出会い

「InBody S10は以前勤めていた老健施設で初めて使いました。体成分を計測してサルコペニアの診断¹⁾²⁾を行う際、入所されている方の約70%が車いすを使用していることから、立位だけでなく仰臥位・座位でも測定できるところが良かったです。」

一方、老健施設で理学療法士ができるリハビリに対して、今岡先生はもどかしさも感じていました。
「要介護の方は、リハビリを行っても年間で1~2%くらいの筋肉量しか改善しません。特に老健施設の入所者は要介護者の中でも重度の方ばかりで、理学療法を行うにも動くことさえ難しく、必要な運動量が確保できません。また、認知症を合併していることも多く、効果のある運動を指導しても正しい動きができなかったり、運動すること自体を忘れてしまったりします。付きっきりで指導する場合、制度上、週2回までしかリハビリを行うことができません。そのため、筋肉量の増加というよりは、筋肉量をどれだけ維持できるのかがポイントになってきます。終末期に差し掛かり亡くなるまでの間、いかに穏やかに過ごしてもらえるかを考えていました。」

このような経験から、先生は “要介護・要支援になる手前のフレイルでの予防活動にもっと力を入れるべきではないか? ” と考え、現在の活動に至りました。


産官学連携による健康推進事業

地域在住高齢者の疾病予防に取り組みたいと考えていた今岡先生は、大阪河﨑リハビリテーション大学に赴任後、「つげさん認知症予防プロジェクト」を立ち上げました。その中でも「つげさん元気アップ教室」は毎年開催されており、今年で3年目を迎えました。「つげさん元気アップ教室」は全12回で構成されており、初回に事前検査、第2回から第11回では約1時間の体操教室を行います。運動機能や認知機能を向上させて認知症を予防することを目的に、体操だけではなく認知機能トレーニングも導入しています。そして、最終回に事後検査を行って、3ヶ月間の取り組みの成果を確認します。

「つげさん体操」は、貝塚市が市制70周年を記念し、「貝塚市民の歌」に合わせて考案した体操で、貝塚市のイメージキャラクターである「つげさん」を冠しています。「つげサンバ」は今岡先生が監修した体操で、貝塚市出身のシンガーソングライター池田 夢見さんが歌う「つげサンバ」というオリジナルソングに乗せ、地元名産品のタオルを用いた簡単な運動を組み合わせて楽しく行える体操です。「つげさん元気アップ体操」では、これらの体操を含め、計4種類の体操を実施します。また、体操は参加者の運動機能に合わせて行えるよう、3段階の難易度が用意されており、椅子に座って行える体操も用意されています。

▲ 貝塚市イメージキャラクター つげさん

それ以前は、貝塚市との公民連携活動として、大学が認知症予防を目的とした測定会を各町会単位で行っていましたが、測定会の開催許可が降りた地域でのみしか実施できませんでした。そこで、より多くの方に参加してもらえるよう、貝塚市と大学から市民全体へ呼びかけました。そして、貝塚市の中央・山手・浜手地区の各圏域にある公民館や福祉センターに依頼し、参加者それぞれの家から近い最寄りの施設で参加できる形になりました。産業からの支援として泉州地域にゆかりのある不二製油株式会社がこの活動の支援をしています。

「自治体と共同でイベントを開催することのメリットは信頼です。私立大学だけでイベントを開催すると、どうしても研究色が強くなってしまい、参加者に対して被験者になるという印象を与えがちです。しかし、市と大学が協力して、市民の方々に向けた健康づくりの機会をサポートできれば、市と大学は信頼と専門性という点でお互いにメリットがあると思います。私たちの場合、貝塚市の高齢介護課の方がとても熱心に協力してくださったことも、イベント開催へと繋がる重要なポイントだったと思います。」

近年、認知機能と運動機能の関係が注目されていることから、従来の認知症予防のための機能測定会だけでなく、予防のための体操教室も一緒に開催することになりました。

「これまでの測定会では、認知症に関わる要因を調査することはできましたが、調査だけで終わっていました。理学療法士の専門性を活かして、実際に認知症を予防するために何ができるか、一歩踏み込んだ取り組みをすべきだと感じました。」

教室の期間を3ヶ月にしたのは、1回きりの体操教室では十分な効果が得られないためです。一定期間運動に取り組むことで、効果を十分に感じてもらいます。また、自治体側からすると、1年間の活動を四半期毎に区切って管理していることが多いため、3ヶ月という期間が重要なポイントの一つになります。最終的な目標は3ヶ月間の体操教室を通じて運動を習慣づけ、各自治体で自主的に体操を行う活動や、運動グループを活性化させて家族・町会・婦人会単位でも様々な運動を行ってもらうことです。

「3ヶ月間の教室終了後、体操をはじめとした運動を自主的に行っているグループがあるか大学で確認します。1年後に運動を継続しているか確認をすると、実際に続けているグループは10%未満しかなく、運動を継続させることの難しさを感じます。そのため、運動を続けていただけるように、オリジナル体操のDVDや体操でも使用できるタオルを配布しています。」

▲ 左:オリジナル体操DVD  右:配布しているタオル


体操教室におけるInBodyの活用方法

➤ InBody270測定風景

「つげさん元気アップ教室」では3ヶ月間の体操教室の最初と最後の回にInBody270による測定を行っています。これに加えて、教室が終了してから3ヶ月後の健診時にもInBody測定を行います。多い時は1日に約120名の測定を行うため、測定がスムーズに進むようにInBody測定だけでなく、骨密度やロコモチェックのための歩行力測定など裸足での測定が必要なものをひとまとめにする工夫をしています。

「毎年冬(1~3月)に体操教室を行い、夏に「ヘルスチェック」という高齢者向けの健診を行っています。InBody測定だけでなく、身長測定、骨密度、ロコモチェック、足型測定、学生と1対1で行う認知機能テストなども行います。この健診に教室参加者をお呼びして、教室終了後にも自主的に体操を継続することが筋肉量にどう影響するのかを確認していただきます。体操教室の前後を比較すると筋肉量は増加しますが、これまでの傾向から言うと、健診時は教室終了時よりも筋肉量がやや減少する傾向が見られます。自主的な運動だけでは筋肉量の維持が難しいことが示されたこともあり、健診にご参加いただいた方には改めて運動の重要性を説明するのですが、ここでもInBodyで測定した数値を活用しています。」

運動の習慣化のためには➀介入回数を増やすこと ➁動機付けを行うことが大切です。➀のみを重視して介入回数を増やしすぎてしまうと、高齢者人口が増加していく中で、教える側の人数やお金が足りなくなってしまいます。従って、どれだけ手軽に楽しく、専門家がいなくても運動を続けられるかに直結する➁がポイントになります。

「InBodyの測定項目ではSMIと部位別筋肉量をよく使用します。体操教室の参加者には事前検査でInBodyを測定した後、私が結果用紙の見方を簡単に説明します。ヘルスチェックでは、別日に福祉センターを借りて、健診の各測定結果の説明会を開きます。高齢者の方を対象にInBodyのたくさんある測定項目を一度に説明することは難しいため、主要項目をメインに理解していただきます。」

体成分を詳しく分析し、様々な項目で構成されるInBodyの結果用紙は医療施設や研究者には好まれますが、高齢者からすると測定項目が多すぎてどの項目を見たら良いのか区別がつきにくいです。そこで今岡先生は、高齢者向けに結果用紙を説明する資料を独自に作成しています。また、InBodyの結果用紙は必ず理学療法士の資格を持った教員が説明していますが、これは無資格の方や学生が説明をして解釈の誤解を招くことを防ぐためです。

▲ 今岡先生が作成する結果用紙の見方資料

「3ヶ月間の体操教室の成果として、参加者の平均SMIが2%増加しました³⁾。期間中にウォーキングや筋トレを始めたことで運動量が増加した方もいれば、教室を途中で休んでしまった方もいる中での成果です。体操教室を機に、運動量を増やしてフレイルを防ぐ活動に取り組む方が増えていくことは、まさにこの体操教室の目指すところです。リピーターの方や、別のイベントに参加された方で、以前お渡しした結果用紙を持って来られる方もいらっしゃいます。前回と比べて今回はこうだった、といったように数値に関心を持ってもらえることは、運動へのモチベーションに繋がると思います。体操教室の事後アンケートでも、InBodyで筋肉量などの数値を見られて良かったという声が多いです。また、InBody結果用紙の紙は硬く、デザインがしっかりしているため、こんなに良いものを測ってもらえたと、高齢者の方はより一層喜ばれます。」

また、フレイル調査の体重減少に関する項目として、筋肉量が減少してフレイルが進行したのか、体脂肪量が減少して痩せたのかを確認する必要があります。この時もInBodyの測定結果をエビデンスとして使用しています。


学生の実習の場としての位置づけ

▲ ヘルスチェックのポスター

「夏に行うヘルスチェックには、毎年約300名の希望者が参加します。会場は公民館や福祉センターを借りて、大学が主催します。市民の皆様には、約2万世帯への町会報や新聞の折り込みチラシで開催の周知を行います。」

ヘルスチェックで行うInBodyや骨密度などの様々な測定は、学生が主体となって実施します。1回のイベントに3年生を中心とした約30名が実習として参加します。理学療法士を目指す学生は運動機能測定を、作業療法士を目指す学生は認知機能テストや生活習慣に関するアンケートを行います。このように各専攻分野に合った実習を行うことで、学生の専門性を伸ばしています。体操教室・ヘルスチェックなどのイベント活動は学びの場としての機能面もあり、学生は貴重な実習経験を積むことができます。

▲ 毎年夏に開催されるヘルスチェックの風景

「ヘルスチェックは学生だけでなく、ボランティアスタッフ⁴⁾の方にも補助をお願いしています。募集をかけて応募いただいた方々には、事前に測定方法や運動について説明する講習会を3日間受けていだきます。測定には直接関係ありませんが、高齢者の健康づくりのために必要な知識や運動なども教えます。スタッフの方々には、自宅に近い公民館や福祉センターでのヘルスチェックを定期的に手伝ってもらっています。」
▲ 学長によるボランティアスタッフ養成の講習会風景

体操教室では、参加者のお手本となる体操インストラクターもプロのインストラクターから体操指導を受けた学生が担当しています。今後、社会に出てリハビリを行うときに運動指導ができるように、学習指導の一環として任せています。体操インストラクターはプロに依頼すればより質の高い体操教室を行えますが、大学は医療機関ではなく教育機関であることを意識しています。プロのインストラクターは体操教室のはじめの数回だけ、高齢者への指導を行っています。

「体操の見本がうまい学生・指導がうまい学生を、僕らも高齢者の方も求めてはいません。時には振り付けを間違えることもありますが、世代間交流を行うことは運動を続けるモチベーションに繋がると思います。学生の中には、体操教室で仲良くなった参加者の方から地域のお祭りに誘っていただくなど、体操教室の後も関わりが続いている学生もいます。」


フレイル予防のために広がる健康福祉活動

「つげさん認知症予防プロジェクト」は産官学連携における健康福祉活動のモデルケースとなっています。今岡先生は他の自治体へ体操教室の取り組みを紹介する講演活動も随時行っています。昨年は「いのち輝く未来社会デザイン」の取り組みで、大阪万博誘致のワーキンググループにて取り組み内容の発表を行いました。他にも、町会単位・校区単位や市外からの講演依頼も受けることが多く、昨年のクリスマスは貝塚市に隣接する岸和田市で認知症予防の講演とInBody測定を行いました。講演とInBody測定を一緒に行うと、参加者の反応がとても良く、大変好評をいただいています。大阪府からも健康福祉活動の先駆的な取り組みとして評価され、昨年の第4回大阪府健康づくりアワード地域部門では大阪河﨑リハビリテーション大学が最優秀賞を受賞しています。
▲ これまで健康福祉活動で受賞された賞の数々

「自治体のみ・大学のみではこういった健康福祉活動を行っていくことは難しく、産官学の連携が大事になってきます。自治体はマンパワーが足りていませんが、大学は学生のマンパワーはあるものの広報活動や地域との繋がりに弱いため、周知活動や活動場所を提供していただくなど自治体のサポートが必要です。体操教室や健診を通じて、フレイルの方や認知機能が低い方が見つかった場合、大学でまとめたデータが貝塚市の高齢介護課を通じて地域包括センターに共有されます。そして、貝塚市は地域包括センターに在籍する地域のソーシャルワーカーやケアマネジャーに、対象の高齢者の方を定期的に訪問するように要請します。最近はビッグデータやAIの活用が注目されていますが、私たちが実際にできることは測定を通じてフレイルや認知症の高齢者の方を発見し、専門職に繋いでいくことです。過去には認知機能テストの点数が低い方の認知症の可能性を疑い、地域包括センターに連絡して実際に訪問で確認していただくと、認知症ではないと思われていた方が実は認知症だった、というようなケースもありました。」

▲ 大学・貝塚市・地域包括センターと高齢者の関わり

厚生労働省は2020年4月より、75歳以上の後期高齢者を対象にフレイル検診を義務化しました。15項目による問診票を用いますが、それ以外の検診の内容は各自治体に委ねられます。ただ検診を行うだけでなく、どうすればフレイルを予防・改善することができるのか、どうやって大学・貝塚市・サポート企業が協力してフレイルへの取り組みを更に強化するのか、現在、市の高齢介護課と話し合っています。

「これまでデータを取った中で、興味深い点がありました。フレイルに該当する人は、そうでない人よりも就労している割合が高いという結果が示されたことです。従来のフレイルのイメージは、家に籠っている方や虚弱な方だと思います。フレイルの下位項目に『最近疲れやすいですか? 』『最近、あまり気分がのらないときがありますか? 』『運動習慣がありますか? 』というような質問がありますが、就労していると当然疲れやすく、運動習慣もないことでフレイルに該当しやすくなってしまいます。こういう傾向から今後、高齢者の社会参加を考えるにあたり、高齢期の働き方などを検討していく必要があります。」

第一興商からオリジナル体操の収載に関する依頼があり、今年の夏にはカラオケ機器に「つげサンバ」が収録されます。近年、若者の間ではカラオケ離れが進んでいますが、高齢者にとっては貴重なコミュニケーションの場です。そういった背景の中で、高齢者の方にもっとカラオケを楽しんでもらいたいという意図から、今岡先生に声が掛かりました。曲中では、学生が体操を実際に行っている映像が流れる予定で、先日都内での撮影を完了したばかりです。


終わりに

「高齢者の方はアクセスできる場所が限られています。InBodyを使って健康状態を管理しようと思うと、医療機関や大学のような研究施設、スポーツジムで測定をするしか方法がありません。公民館や校区毎にある地域包括センターにInBodyが設置され、もっと気軽にInBody測定ができる社会になってほしいと考えています。また、小学生の身体計測でも身長・体重は測定しますが、その中身は一体どうなっているのかまで確認することが、当たり前の世の中に変わっていくべきだと思います。」

これから理学療法士を目指す方に向けて、今岡先生は病院など一つの場所に限定して経験を積むのではなく、様々なフィールドに出て活動をしてほしいと言います。
「理学療法士は今後、更に予防の分野に進出していくと思います。疾病・疾患がある方だけでなく、地域在住高齢者の方をもっと知ってもらい、地域にどんどん出て活躍してほしいです。病院で働いている理学療法士さんでも、声をかけてもらえれば勉強会や講演会を行いますよ、という方はいらっしゃいますが、自分から日時・場所を決めて開催しようと動ける人はなかなかいません。また、患者は入院している限り、病気を治したいと思っているので医者やコメディカルの言うことをよく聞きます。一方、地域在住高齢者の方はまだ病気にかかっているわけではないので、理学療法士の指示に従ってもらうことが難しい場合があります。そういった方々とコミュニケーションを取る能力を是非培ってほしいです。お金になる活動ではないですが、この活動が10年後、更にその先まで継続すると、社会にとって大きな財産となることを意識してほしいです。最近では、中高年の難聴がアルツハイマーや認知症の一番のリスクになると報告されており、中高年からの予防活動・定期的な運動習慣の重要性も示されています。地域の方向けに活動する時は、InBodyのように定量評価ができる機器やテストが必要不可欠です。エビデンスとして認められている数値を専門的に正しく理解・活用し、その人の行動や生活習慣、考え方を変える提案ができる人になってほしいです。」

「私の座右の銘は ”Above and Beyond” です。”期待以上に/予想以上に” という意味ですが、今の取り組みができるだけ、”期待以上に/予想以上に” 広がってほしい、”期待以上に/予想以上に” 高くまで伝わってほしいと思っています。先日、府内の富田林市の保健センターに伺った際、私たちの活動が紹介されたリーフレットを目にした時はとても誇らしかったです。現在、大阪府内でも広がりつつありますが、もっと関西や国内の他の地域まで広がってほしいです。研究活動を行うことで、アカデミックな分野でも色んな方に活動を知ってもらいたいです。そして、私たちの活動が各地の健康福祉活動に活かされて、地域在住高齢者の方の『楽しく生きる』ことに役立つことを願っています。健康に楽しく生きてほしいと言いながら、毎晩晩酌してしまっている自分がいるんですけどね。笑」

▲ ヘルスチェックに参加した学生・ボランティアスタッフの集合写真

 


参考文献
1. 今岡 真和ら. 介護老人保健施設入所者の転倒予防介入効果検証~準ランダム化比較試験~. 日本転倒予防学会誌.2015:1(3) 29-36.
2. Masakazu Imaoka et al., Low-frequency Exercise and Vitamin D Supplementation Reduce Falls Among Institutionalized Frail Elderly. International Journal of Gerontology. 2016:10(4) 202-206.
3. Masakazu Imaoka et al., Effect of Multicomponent Exercise and Nutrition Support on the Cognitive Function of Older Adults: A Randomized Controlled Trial. Clinical Interventions in Aging. 2019:14 2145–2153.
4. 今岡 真和ら. 産官学連携による認知症予防ボランティア養成講座の成果と課題. 大阪河﨑リハビリテーション大学紀要.2019:13 3-13.

,

日本体育大学スポーツキュアセンター -選手の競技パフォーマンスを支える-

機種モデル:InBody770


日本体育大学の横浜・健志台キャンパス内にあるスポーツキュアセンター横浜・健志台接骨院(以下、Sport Cure Center; SCC)は、2015年に保健医療学部附属の臨床実習施設として開院されました。柔道整復師の資格を取得し、医療の立場からアスリートに貢献したいと考えている学生の臨床実習の場となっています。SCCには様々な評価機器・治療機器は勿論、競技復帰のためのトレーニングスペース・機器も備わっており、競技特性を考慮して怪我の再発を予防するトレーニング指導も行われています。横浜・健志台キャンパスでは、ラグビー、サッカーやレスリング、陸上、体操など様々な種目のクラブ活動が行われており、クラブに所属している学生の多くがキャンパス内や近隣にある寮で生活しています。SCCもキャンパス内にあるため、怪我をしてしまった学生はすぐに専門家による適切な応急手当を受けることができます。そして治療から、競技復帰までのアスレティックリハビリテーション、再発予防までのトータルサポートを地域密着型ならぬアスリート密着型として提供しています。また、近隣の住民向けに「腰痛さようなら体操」「めざせ!トップアスリート」などの公開講座も定期的に開催することで、これまでアスリートの治療で培ってきた知識や技術を地域社会に還元すると共に、臨床実習施設としての役割も充実させています。


接骨院の開院前からの携わり


SCCの院長である伊藤 譲先生は、日本体育大学保健医療学部整復医療学科の教授でもあります。伊藤先生は鍼灸師免許取得後、鍼灸学の修士課程を修め、卒業後には鍼灸院開業へと進路を考えていました。しかし、はりやきゅうは一般的に痛い・怖いという印象が強く、鍼灸治療の経験がない患者が自発的に鍼灸院に来院することはほとんどありません。そのため、手技・物理療法などの施術も選択できる鍼灸接骨院での開業を目指し、柔道整復師の国家資格を取得しましたが、恩師の誘いにより教員の道を選択しました。その後、大阪医科大学大学院医学研究科で博士課程を修め、柔道整復師を養成する大学で教鞭を執り、2014年4月に開設された日本体育大学保健医療学部の教授に就任しました。翌年10月には臨床実習施設となる接骨院を開院することになり、先生は施設の図面・名称の提案から、導入する評価・医療機器の選定まで携わりました。伊藤先生は資格マニアと言われるくらい様々な資格を保有しており、柔道整復師の他に、はり師・きゅう師・JSPO公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)・JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)・健康運動指導士などの資格を取得しています。

「一般的に資格はスキルの証です。私は現在、柔道整復師、JSPO-ATとJATI-ATIを養成する学科の教員ですので、これら以外の資格を取得して新しく何かを始めるということはありません。勿論、知識や技術は習得できますが、私は資格の特性や勉強法を学生さんにアドバイスすることを目的として資格を取っています。今後も時間の許す限り、スポーツや健康に関する資格を取得しようと思います。だんだん年をとってきたので資格取得の勉強は頭のトレーニングにもなります。」


採択された信頼性のある評価機器

「SCCでは、患者さんが施術を受けて良かったと、施術の効果を実感してもらうことを重要視しています。そのためには患者さんの身体から得られる情報を数値化する必要があります。根拠に基づく柔道整復術(Evidence based Judo therapy; EBJT)を推進するためにも、測定値が信頼できる評価機器を導入しています。」

SCCには、軟部組織の硬さを評価できるエラストグラフィー機能を持った超音波観察装置や、筋力測定器・足底圧測定器・重心動揺計・筋電計・姿勢測定器・骨密度測定器・AGEs測定器など十分な評価機器が置かれており、InBody770も開院時から導入されています。
「BIA機器はメーカーによって体成分の算出に使用している公式が異なるので、同じ測定者を測定した場合でも体成分の結果に差が生じてしまいます。そのため、同じメーカーで測定した結果同士でない限り、比較や変化の追跡が難しくなります。また、BIA機器によっては年齢・性別・人種・アスリートなどの統計的な情報によって、体成分の結果を補正してしまいますが、InBodyは身長・体重・インピーダンスのみで測定値を算出しているため結果が補正されません。」

伊藤先生は以前の上司がBIA法による体成分の研究に取り組んでいたこともあり、BIA機器に精通していました。そのため、周りの施設やスポーツ業界に導入されているBIA機器の普及度とレファランスに基づいた精度を考慮した結果、最終的にInBodyを採択しました。また、2005年から同キャンパス内のスポーツトレーニングセンターに、InBodyが導入されていたことも決め手の1つになりました。


怪我から競技復帰までのサポート

怪我により手術をしたアスリートは医師と連携をとりながら、SCCでリハビリテーションを受けています。その中には毎日来院されるアスリートも多く、アスリートにとって信頼できる施設であることが伝わってきます。InBodyはリハビリテーションにおいて回復状態の評価に活用されており、主に次の2つのことを確認しています。

① 負傷部位における筋肉量と質の回復状態
リハビリテーションを始めて負傷部位や身体を動かすことができるようになると、筋肉は段々引き締まって負傷前の状態まで回復してきます。負傷部位の筋肉量や筋肉の質を示す細胞外水分比などを参考にその変化を確認します。細胞外水分比の基準値は0.380(標準範囲:0.360~0.400)ですが、アスリートは筋肉が引き締まった状態なので、普段からこの数値を下回っていることが多いです。逆に、長期のオフ期間や負傷部位では細胞外水分比の数値が上がり、筋肉の質が低下していることを反映します。

▼ 野球部所属 右脚前十字靭帯損傷のケース
右脚筋肉量が増えて細胞外水分比が減少した結果から、右脚筋肉が段々引き締まる変化を確認できます。

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

②四肢における左右筋肉量のバランス
従来のリハビリテーションは負傷部位を中心に行われてきたため、反対部位よりも筋力が強くなったり、競技とは関係のない筋肉が増えてしまったりする恐れがありました。筋肉量・筋力が左右どちらかに偏って増えるトレーニングを行わないために、筋肉量の左右バランスを確認します。

▼ 野球部所属 右脚前十字靭帯損傷のケース
左右の筋肉量に3%以上の差があり、やや不均衡な状態となっています。


※棒グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。


自立したコンディショニング

体重別で階級が分かれる、ウエイト制のアスリートの中には、InBody測定を目的に来院するアスリートもいます。
「アスリートは試合に向けて、コンディショニングの1つとしてInBodyを測定しに来ます。競技レベルの高いアスリートは総じてコンディショニングの達人です。継続して定期的に測定するだけではなく、調子の良いときや悪いときに測定することで、自覚的な調子をInBodyの数値で確認します。このように利用することで、更にセルフコンディショニングの精度が向上します。施術だけではなく、身体の評価を目的に来院するほど、InBodyを含めた評価機器はアスリートから信頼されています。現在は、ウエイト管理が厳しいアスリートが測定していますが、本来なら全アスリートがコンディショニングの1つとして評価する必要があります。」

▼ レスリング部所属 ウエイトコントロール活用のケース
体重77kg及び体脂肪率10%前後のコンディションを維持できています。

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

最近は、部活の監督・コーチがアスリートのコンディションを把握するため、部活単位でアスリートを測定する機会が増えてきました。InBodyは体成分結果の履歴を残すことができるので、過去と現在の状態をモニタリングできます。


大学構内にあるSCCの存在意義


SCCの開院前、アスリートは怪我の治療やコンディショニングのために、練習後の限られた時間を使って近隣の治療施設に通わなければなりませんでした。しかし、キャンパス内にSCCが開院した現在では、通院のための時間を費やすことなく、損傷の程度を問わず、身体の不調や練習前のテーピングなども含めた処置を専門家から受けることができます。また、骨折や脱臼といった大きな怪我も適切な応急手当を行い、患者の希望を前提に損傷部位などに応じた医療機関を紹介しています。
「SCCには、スポーツによる怪我で悩んだ経験から柔道整復師の道に進んだスタッフが大勢います。そのため、彼らは怪我から復帰まで身体のトータルサポートだけではなく、アスリートに寄り添いながら、怪我に伴うメンタルの状態を理解することができます。」

更に、2020年4月からは保健医療学部に、新たな博士課程(保健医療学研究科運動器柔道整復学専攻)が新設されます。
「これまでも整復医療学科及び大学院修士課程保健医療学研究科(高度実践柔道整復師コース)の臨床研究施設としての役割を担ってきましたが、これからもInBodyを含めた評価機器を用いて柔道整復術に対する客観的な評価を実施していきます。その積み重ねが根拠に基づく柔道整復術(EBJT)につながり、接骨院全体における治療レベルの水準が高まることを期待します。そして、SCCには多数の評価機器が導入されているので、近隣の接骨院に通う患者さんの評価だけを担う機能、すなわち近隣の接骨院から評価の依頼を受けて評価結果をお返しするといういわば検査機関としての機能をもたせることで、施設同士の交流・協力関係を構築していきたいと考えています。」

,

JTマーヴェラス -測定の習慣化によるメリット-

機種モデル:InBody470


©2020 JTマーヴェラス

▲ 2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 優勝


JTマーヴェラスは兵庫県と大阪府にホームタウンを持ち、バレーボールV.LEAGUEで活躍するJTの女子バレーボールチームです。1956年に設立され、黒鷲旗で優勝5回と準優勝5回、現リーグの前身であるV・プレミアリーグで優勝1回と準優勝3回、現在のリーグであるV.LEAGUE DIVISION1では2019-20シーズン優勝など、何度もタイトルを獲得している強豪チームです。また、JTマーヴェラスから3名の選手が2020年度バレーボール女子日本代表チームに選出されており、東京オリンピックでの代表入りも期待されています。


実業団トレーナーとしての30年間の道のり

▲ 上村宗男トレーナー

JTマーヴェラスの上村 宗男トレーナーは、選手の治療と体のケアを管理するメディカルトレーナーです。JTマーヴェラスに赴任して7年目になりますが、赴任前はハンドボール部や陸上部などの他競技でも実業団トレーナーとしての実績があり、これらの経験をトータルすると実業団スポーツチームで30年間も勤務しているベテランのトレーナーです。学生時代に陸上の短距離選手だったことから、自然とトレーナーの道に進みました。日本体育大学へ進学して専門知識を学びましたが、上村トレーナーが大学を卒業された当時は、まだ ”トレーナー” という職業が日本で定着していない時代でした。最初は選手をケアするためのトレーニングルーム自体の設置やストレッチを指導することから始めました。上村トレーナーは、日本におけるトレーナーという仕事の礎作りとその普及に携わってきたひとりであると言えます。トレーナーという肩書の中には、柔道整復師・はり師・きゅう師・アスレチックトレーナー・上級トレーニング指導者(JATI-AATI)など様々な資格が含まれています。


女子バレーボール選手のコンディショニング管理法

上村トレーナーがJTマーヴェラスに赴任したことが、チームにInBodyを導入するきっかけとなりました。InBody無しでコンディショニングを行うことになると、体重のみでの指導となります。特に、女子選手では体重に関してあまりに厳しく管理してしまうと、拒食症・過食症・ホルモンバランス異常・精神的ダメージなどの原因となり、体調のコントロールが出来なくなってしまうという不安もあります。上村トレーナーがチームに働きかけたことで、2013年にInBody430が、2018年にInBody470が導入されました。

選手は毎朝InBodyで体成分を測定して体調チェックを行います。InBody測定の他に、血圧・体温・ヘモグロビン推定値(貧血指標)を測定・記録していきます。これらのデータは、選手とトレーナーだけでなく監督・栄養士・S&Cコーチらにも共有されます。選手はInBodyのデータを各自のスマートフォンからでも、InBodyアプリを通して確認することができます。

「在籍しているほとんどの選手が、自主的にInBodyを測定しています。女子バレーは6月から9月がトレーニング期、10月から4月がリーグ戦やカップ戦、5月がオフシーズンという1年間を過ごしますが、1年中を通して体成分を安定させている選手もいます。勿論、一部の選手や新人選手は体成分の変動を経験していますが、リーグ戦の開幕時期の10月には体成分の状態も最も良い状態に合わせてきます。毎日測定しているからこそ、選手自身もどのような体成分がベストパフォーマンスを発揮できるのか、自分に合った状態であるのかを擦り合わせていくことができます。」


怪我とInBodyの関連性

「1日単位の僅かな変化では気づきにくい点も、1年間や数年間分でデータ全体の推移を見渡すと、怪我が原因となった不調な期間が、体成分の明らかな違いとして目に見えてくることがあります。ある選手は膝の手術がきっかけで、体成分が別人のように大きく変わったことがあります。リハビリから復帰に向けての約半年で、体脂肪量が大きく増加する形で体重が約10kgも増加してしまいました。手術の影響で運動量が減ってしまったことも要因でした。筋肉でなく体脂肪の増加で体重が増えてしまうと、プレーにキレがなくなるなどパフォーマンスにも支障が出てしまいます。彼女は手術とリハビリを乗り越えて、崩れてしまった体成分を約5年間かけて徐々に戻していきました。」

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

「スポーツには怪我が付き物です。中には手術を経験してリハビリが必要な選手や、毎日体のケアが必要な選手もいます。今後はInBodyの部位別筋肉量や筋肉均衡のデータから怪我の状態やリハビリの効果を確認し、体成分が変化するタイミングから治療や完全復帰の目安を検討する形の活用も考えています。部位別筋肉量の左右の違いを追っていけば、怪我の状態も見れると感じています。」


プロバレーボール選手の体成分

バレーボール選手といえば、高身長でスラリとした体型を連想しますが、実際の体成分はどういう特徴があるのでしょうか?  一般女性と、JTマーヴェラス、セルビア女子代表(国際大会メダル常連の強豪チーム)の体成分を比較してみましょう。


一般人と比べてみると、身長だけでも15cm-30cm高いことが分かります。身長が高い分、体重と骨格筋量(筋肉量)が多いことは勿論ですが、体脂肪量が少ないことには驚きです。体脂肪率は骨格筋量(筋肉量)が増えると相対的に低くなるため、体脂肪率が低いことは想定されますが、プロバレーボール選手は体脂肪量そのものの重さ自体も少ないことが特徴です。体脂肪量が少ない状態で骨格筋量を増やすことで、驚異的なジャンプ力が発揮できるのかもしれません。

※一般女性のデータは「InBody臨床DB」、セルビア女子代表のデータは「Descriptive Body Composition Profile in Female Olympic Volleyball Medalists Defined Using Multichannel Bioimpedance Measurement Rio 2016 Team Case Study」より引用・改変


選手とトレーナーの信頼関係

2名の選手にも、InBodyと上村トレーナーのお話を伺いました。セッターの柴田 真果選手は、JTマーヴェラスに入団して3年目(競技歴17年)の選手です。InBodyを活用したコンディショニングの成功事例について聞くことができました。

【セッター 柴田 真果選手 ➤ 】
「 ”体脂肪量を落とす” という体成分の目標を掲げて、トレーニングをした時期がありました。そこから1年半かけて体重を7kg落とすことができて、今でもその状態をキープできています。筋肉量も少し落ちてしまいましたが、体脂肪量を中心に落とすことができました。ちょうど怪我をしていて、この間の6ヶ月間はトレーニングをメインにしていた時期でもありました。栄養面では三食の食事量は変えずに、間食での甘いものを控えるようにしました。主にバイクでの有酸素運動を行って、体脂肪量を落としていきました。今ではInBodyアプリで1ヶ月単位、1週間単位、毎日でも自分の体がどうなっているのか体成分履歴で目に見えてわかるので、更にコンディション管理がしやすくなりました。」

「上村トレーナーはとてもマメな方で、選手全員の結果を一括で管理されています。体成分の変化も何日前はどうだったか、数年前のこの時期はどうだったかという情報まで教えてくれます。朝は練習前のテーピングで誰よりも早く体育館に来てくれて、帰りも練習後のマッサージやケアをしてもらっているので一番遅いです。負担を掛けてしまっていると感じますが、毎日毎日本当にありがたいです。」

二人目の選手はJTマーヴェラス6年目(競技歴17年)の、アウトサイドヒッター田中 瑞稀選手です。田中選手は高校卒業後からチームに所属し、InBodyの使用歴も長い選手です。

【アウトサイドヒッター 田中 瑞稀選手 ➤ 】
「どのようなトレーニングを行えば骨格筋量が維持できる、これだけの食事量を取ってしまうと2日後には体脂肪量がどれだけ上がってしまうなどの感覚が身に付いてきました。体脂肪率が20%以上で体重が重い時期では、体が動かないという訳ではなかったのですが、プレーのキレが今一つでした。筋肉量は52kg以上、体脂肪率は18%以下にすると良いコンディションで動きやすいので、この数値を目安に維持するようにしています。」

「上村トレーナーは体の細かいところまで気づいてくれます。筋肉のことだけでなく、女性アスリートの問題や生活面のインナーケア、精神面までもトータルでしっかりサポートしてくれます。上村トレーナーの人柄もあって、新人の選手もすぐに打ち解けていますし、選手との壁はまったくありません。」

上村トレーナーの話題になると、お二人ともこれまで以上にない笑顔で話される姿がとても印象的でした。チームスポーツにおいて、チームメイト間の信頼関係が重要なことは勿論ですが、選手と監督・コーチ・栄養士・トレーナーなどチームスタッフ間との信頼関係も必要です。選手と上村トレーナーの信頼関係は、JTマーヴェラスが強豪チームであることの一要因でもあります。InBodyはコンディショニングツールの一つとして、選手とトレーナー間の橋渡し、信頼関係構築の一助も担っています。


終わりに

「日本代表に選ばれている選手も3名いますが、ナショナルチームに入ると試合ばかりで調整が難しく、体調やコンディションがどうしても落ちてしまいます。選手たちには勿論頑張ってほしいですが、JTマーヴェラスのメディカルトレーナーとしては彼女たちの体調がどうしても心配になります。プレー中に怪我を負うこともなく、無事チームに戻ってきて欲しいです。2019-20 V.リーグ、チームは優勝しましたが、これで終わりではありません。気を緩めることなく、連覇を狙っていきます。」